表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/26

異世界の覚醒と不確かな記憶

目を開けた瞬間、視界が霞んでいる。耳に届くのは、遠くから聞こえる木々のざわめきと、何かの足音が重なる音。それが現実の音だと、最初は理解できなかった。


風間真の記憶と、ルーファウスの意識が交錯する。頭の中には不明瞭な感覚が渦巻いていたが、しばらくしてようやく自分がどこにいるのか、そして何が起こったのかを理解し始める。


「そうか、これが異世界転生か…」


目の前には広がる森。高い木々が空を遮り、周囲を包み込む静寂の中に、かすかな風の音と葉の揺れる音だけが響いている。この場所が、見知らぬ世界のどこかだということは分かる。しかし、なぜ自分がここにいるのかは、まだ整理がつかない。


周囲を見渡し、まずは自分の体を確認した。手足の感覚ははっきりしている。だが、何か違和感がある。それは、見たことのない肌の色や髪の感触ではない。むしろそれは、もっと深い部分から来ているものだった。


「俺…いや、俺たちは、誰だ?」


声を出すと、それは自分の声ではなく、どこか遠くから聞こえてきたような、違和感を伴った響きがした。ルーファウスの声、だろうか。風間真の心が確かにそこに存在し、しかし、もう一つの意識も強く感じる。


思わずふたたび手を顔に当てた。目をこすって視界をはっきりさせようとするが、鏡も水面も見当たらない。重なり合った自分の姿を確認する手立てがないのだ。


「どうなってるんだ、これは…」


記憶の中で、風間真の一部がルーファウスの過去を追いかける。どこかの街、異世界のどこかで、あの青年が生きていたはずだ。それが、今の自分にどう繋がるのかを理解しようとするが、ひとしきり思考を巡らせても、その感覚はまだ掴めない。


足元に目を落とすと、そこには泥だらけの靴が見えた。それがまるで自分のもののように感じられ、胸に違和感が広がる。確かにルーファウスの体だろう。でも、どこかカリモノノ体と繋がっている感覚が拭えない。


それと同時に、記憶の隙間が目の前に広がる。どこかで見たことがある風景、聞いたことがある名前。それは、今の自分の記憶にははっきりしない。しかし、確かに風間真の中で動き始めていた。


風間真が現代日本で過ごした記憶が薄れることはなかったが、同時にこの異世界で何が起きているのかを理解する必要があった。少しずつ、周囲の世界に注意を払いながら、慎重に動き出す。


「ルーファウスとして…ここでどう生きていく?」


自分が何者で、どこにいるのか。今すぐに答えを出すことはできないが、まずは自分の足元を確かめる必要がある。今は、目の前の現実を少しずつ整理して、歩んでいくしかない。


頭を振って、再び周囲の状況を確認した。森の中で、自分がなぜ目を覚ましたのか。森の外へと続く道がどこにあり、どこに繋がっているのか、今の自分にできるのは一息つける安全な場所に向かうことこそ、この世界で生きるその小さな一歩だ。


「まずは、この場所を…」


どこかで生活していたルーファウスの記憶の片鱗を頼りに、目の前にある現実をひとつずつ受け入れていくしかなかった。


だが、その背後にある不安と違和感。それも、またどこかで深く感じ取っていた。記憶の欠片とともに、少しずつ自分を取り戻すことができるだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
風間真とルーファウスの間で揺れる心情がリアルで、主人公の混乱に共感できる展開です。最初から最後まで、一気に引き込まれる内容でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ