第5話 番組収録 2日目
番組編もついに終幕!
藍人の俳優としての意気込みは...
温泉から出てきた僕は体重計に乗った、
藍人「体重に問題なしと。」
監督「女優かお前は。」
すると、後から出てきた監督にそんなことを言われる。
藍人「人によっては気にするんです。体型維持が大事なことくらいわかりますよね?」
監督「まぁそうだけどよ。お前はあんまり気にしなくても良さそうだぞ。」
藍人「そうですかね?」
確かに普段から沢山食べる方ではないが、それでも不安なものは不安である。もしかしたら無意識のうちに食べてたりするかもしれない。
監督「それより、ちゃっちゃと髪乾かせ。この後夕飯だろ?」
そう監督に急かされながらも、僕は髪を乾かし夕食を食べに向かった。
指定された場所に向かうと、既に栞さんが待っていた。
栞「あっ!藍人さーん。」
彼女も温泉に入ったのだろう。服が変わっていて周りのスタッフも目を取られる。
栞「(バスローブ姿を見れるなんて!あ、鼻血でそう。)」
藍人「どうも。」
そして僕は栞さんの隣に座り、そのまま夕食の分の撮影をした。
撮影が終わり、スタッフやマネージャーも一緒に夕食を食べていた頃、
栞「すみません、少しお手洗いへ。」
そう言って栞さんがその部屋を後にした。
監督「よお藍人、飲んでるかぁ?」
藍人「未成年ですよ。てか監督は飲んでいいんですか?」
監督「大丈夫、これノンアルだし。」
藍人「えぇ。(なら今のくだりなんだったんだよ。)」
監督「にしても、お前も昔に比べて丸くなったなぁ。昔なら俺の事避け続けてただろうに。」
藍人「まぁ、そうかもですね。」
確かに、あの頃は色々あったし。気持ちの整理とかもついてなかったからな。
藍人「....もうお腹いっぱいなので、部屋に戻りますね。」
監督「おう、じゃあまた明日な。」
そう言って僕は部屋を後にした。
部屋に戻っている道中、
藍人「(ん?あれは)」
そこには外で夜風を浴びている栞さんが見えた。
藍人「(こうして見ると、すごい絵になるよなぁ。)」
何となく気になった僕は栞さんへ声をかける。
藍人「こんなところに長くいたら風邪ひきますよ。」
栞「うわ!あ、藍人さん。」
藍人「どうしました?何やら悩んでいたように見えたのですが。」
栞「いえ、そんな大したことでは。」
そう言って栞さんは少しうつむいた。その時に気づいてしまった。これは話したく無いものなのだろうと。
藍人「ああ、すみません。言いにくいならいいんです。」
しばらく気まずい雰囲気が漂い、この場を離れようと思った時、
栞「藍人さんは、なんで俳優になったんですか。」
栞さんが急にこんなことを聞いてきた。
藍人「俳優になった理由ですか。」
栞「あ、言いにくいならいいんですよ。」
藍人「いえ、別にそんなことないですよ。」
そうして僕は話し始めた。
藍人「僕の両親は顔が良くて、テレビとかにもよく出てたんですよ。そんな2人の間に生まれたので僕も当然のようにテレビに出ることになりました。その時に拾ってくれたのが今の監督なんです。そこから年齢と共に少しずつドラマや映画に出ることが多くなりました。」
栞「そうだったんですね。辛いとか思わなかったんですか?」
藍人「まぁ大変な時もありましたよ。実際中学校はあまり思い出などがないので。」
栞「それは、大変でしたね。」
藍人「でも、今の監督には感謝してますよ。僕がここまで成長出来たのは監督のおかげなので。それに」
少し間を置いて僕が言う。
藍人「こんな僕のファンのためにも、期待に応えないと行けませんしね。」
栞「!!」
藍人「?どうしました。」
栞「い、いえ。なんでも。すみません、私戻りますね。」
そう言って栞さんはスタスタとみんなの所へ戻って行った。はて、何かしてしまっただろうか。
藍人「僕も戻るか。」
栞「(...あの笑顔は反則ですよ。)」
私はお手洗いの洗面所で顔を洗っていた。鏡に映る自分の顔がとても赤くなっていた。
栞「にしても、藍人さんって自分から俳優になった訳じゃなかったんだなぁ。」
少し意外とだったが、別に特別珍しいという訳でもない。ただ、そう言う人に限ってやる気がなかったりすることもある。
栞「(でも藍人さん。ファンのためにって言ってたな。)」
あの人は自分がなりたくてなった訳でもないのに、見てくれている人のために精一杯頑張っているんだ。
栞「....ほんと、この仕事受けて良かった。」
さて、怪しまれるのも面倒だし、そろそろ戻ろうかな。
翌日、身だしなみを整えて最後の撮影に向かう。
藍人「監督、おはようございます。」
監督「おお、おはよう(ふぁぁ〜)」
監督は酷く眠そうにしていた。一体あの後どんだけ遅くまで起きてたんだろうか。
栞「おはようございます、監督。藍人さん。」
監督「おお、おはよう栞ちゃん。」
藍人「栞さん。おはようございます。」
監督「どうだい栞ちゃん。この番組は。」
栞さんは少し考えるてから言う。
栞「最初は不安でしたけど、とても楽しかったです!」
監督「....そうかい。それが聞けて良かったよ。」
栞「じゃあ、最後の撮影もお願いします!」
監督「ああ、よろしくね。」
そう言って栞さんは戻って行った。
監督「いい子だな。しっかりしてるし、将来有望だな。」
藍人「...ええ、そうですね。」
その後、僕達は2日目の撮影をした。と言っても、どこかに巡るとかではなくお土産を買うシーンや感想を言い合う程度だった。そして僕らは草津を去った。
スタッフ「はいOKです。お疲れ様でした。」
栞「お疲れ様です。」
この後は各自解散となっている。そのため、帰ろうとした時、
栞「藍人さん!」
栞さんが後ろから声をかけてきた。
栞「今回はありがとうございました!またお願いします!」
彼女はそう満面の笑みで言った。
藍人「いえ、こちらこそありがとうございました。また機会があればお願いします。」
栞「はい!ではまた。」
そう言って彼女は去っていった。
監督「ん?どうした。熱か?」
藍人「...いえ。」
その時、僕の顔は少し赤くなっていたそうだ。
次回!
忘れてた定期テスト