第37話 あけおめ、ことよろ。
第4章開幕!
クリスマスから数日がたち、時期的には年末となっていた。
藍人「はぁー。やっぱ年末はこたつだよねー。」
僕はこたつの中で丸くなりながら年末を迎える準備を整えていた。やはり年末はこたつに限るなぁ。と、そんなことを考えていた時、スマホに着信が来た。
藍人「ん?誰だろ。」
電話をかけてきたのは栞さんだった。
栞「もしもーし。元気してる?」
藍人「はい、元気ですよ。栞さんはどうですか?」
栞「大丈夫だよー。まぁしばらくは恥ずかしさで丸くなってたけど。」
藍人「あ、あははははは……」
時は僕の誕生日会とクリスマスパーティーのあった12月25日まで遡る。
その日の朝、目が覚めた時に僕は目を疑った。なぜなら、
藍人「(なんだこの状況。)」
僕は栞さんと共にソファで寝てしまっていたのだ。
大和「お、起きたか。」
藍人「父さん?起きてたなら声くらいかけろよ。」
大和「なんか面白かったし。」
こんなに親に対して拳をぶつけたくなったのは初めてだ。
栞「う、うーん。」
その時、栞さんが目を覚ます。状況を把握したのか、その顔は見る見る赤くなっていた。
栞「な、なななななな!」
藍人「栞さん!?ちょっと落ち着いて!」
栞さんが取り乱し、足をバタバタと動かす。そのうちの何発かが僕にあたり、僕は必死に落ち着けようとする。
大和「ああ、盛り上がってるとこ悪いんだが…」
そう言って父さんが指をさした方向に僕は目を向ける。そこには怒りをむき出しにした颯太、蓮、陽菜の栞さんファン三人衆がいた。
大和「彼らが聞きたいことがあるって。」
三人衆「さぁ、聞かせてもらおうか?」
藍人「(あ、これ死んだ。)」
その後、僕は三人に怒り交じりの質問をされ、栞さんは他の人達からいじられまくっていたのだった。
藍人「あの時は大変でしたね。」
栞「ほんとだよー。全く困っちゃうなー。私恋愛は経験したことないし。」
?「え?栞が恋愛?」
その時、スマホから栞さん以外の人の声が聞こえた。
栞「ちょ、今電話中だって。」
?「栞が恋愛だって!?聞きたい聞きたい!」
スマホ越しに着々と人が集まっているのがわかる。
栞「ご、ごめん!ちょっと騒がしくなっちゃいそうだから切るね!また来年!」
そう言ってぶつりと電話は切られた。
藍人「こんな時まで大変そうだなぁ。」
というか、さっきの声、聞いたことあるような…
栞「全く。電話中に話しかけないでよ。」
美波「えー、切っちゃったの?つまんないのー。」
結衣「ねえねえ、今のって彼氏?」
私の家には、今メンバーが来ている。新年会を開きたいとのことだ。
奏「恋愛って、私もしていいの?」
梨乃「アイドルに恋愛は無縁なんだよ。奏。」
栞「だから違うからー!」
私としても、年の瀬に誰かと入れるのは嬉しいのだが、こうも騒がしいと落ち着かない。
結衣「にしても、今年は色々あったよね。」
美波「そうだね。あの藍人さんともお仕事できたし、いいお店も教えてもらったし。」
私を含め、ここの全員は藍人さんのファンなため、その話になると止まらなくなる。
奏「藍人さん。いい人だった。」
梨乃「そうだね。私も付き合うならあんな感じの完璧人間がいいなー。」
そんな会話をしていると、時刻が迫ってきていたになっていた。
梨乃「あ、もうすぐ今年も終わるね。」
結衣「年越しそば食べちゃわないと。」
栞「それもそうだね。」
そういえば、颯太くんたちは年越しを一緒にするって言ってたけど、監督とかはどう過ごしてるんだろ。
その頃、とあるBARでは、二人の客がお酒を飲みながら年越しを待っていた。
煌雅「おーいマスター。この人にお冷を。」
響「うう、ヒック。」
マスター「かしこまりました。」
そうしてマスターがお冷を持ってきて、酔っている響さんに飲ませる。
マスター「全く、物好きですね。こんなBARで年越しをするなんて。」
煌雅「いや、他に行く当てもないしな。それに、新年を友人と迎えられることなんて滅多にないからな。」
マスター「…そうですか。」
そして話は変わり、今年にあった出来事を話し始めた。
マスター「今年はいい番組作れました?」
煌雅「まあまあだな。藍人も高校生になってできることが増えたし、こっから再加速だな。」
マスター「そうですか。しかし、あの時ここで手伝ってくれてた頃が懐かしいです。」
煌雅「まぁあの頃はまだ何が起きるかわからなかったからな。」
思い出に浸っていると、時間が迫っているのが分かった。
煌雅「お、あと10分か。じゃあ、ジャンプの準備するか。」
マスター「いやなんでですか?」
煌雅「よく言うだろ?年の初めに地面にいませんでしたーってやつ。」
マスター「なんですかそれ。」
煌雅「いいからいいから。」
あきれるマスターを無視し、監督が腕をつかむ。
マスター「あっ!…全く(こういうところは変わらないんだよなぁ。)」
響「うぅ、頭が。あれ?もう年越しですか?私も混ぜてください!」
そうしてカウントダウンが始まる。
大和・心美・鈴「5!」
美波・結衣・奏・梨乃「4!」
煌雅・響・マスター「3!」
栞「2!」
藍人「1!」
ゴーン。
鐘の音がテレビ越しに響き渡る。新しい年の幕開けだ。
大和「よっしゃあ!新年あけおめ!」
心美「あけおめ!」
藍人「いや、そこは明けましておめでとうって言おうよ。」
鈴「現代化してるなー。」
梨乃「あけおめ!ことよろ!」
美波「今年はもっと売れるぞー!」
奏「私も、頑張る!」
美波「おっ、奏がやる気だ!珍しい!」
栞「…ふふっ!」
結衣「ん?どうしたの、栞。」
栞「いや、今年はいい年になりそうだなって。」
煌雅「よし、じゃあ祝いの酒を頼むわ!」
マスター「わかりました。でも飲みすぎないでくださいよ。」
響「私も飲みます!」
煌雅・マスター「それは駄目。」
響「なんで!?」
こうして各自楽しみながら新年を迎えたのだった。
藍人「ふぁ~~~。眠い。」
鈴「ほら、しっかりしなよ。じゃないとお金くすねるぞ?」
藍人「堂々と盗みの宣言をしないで。」
新年早々何言ってんだこの人は。
大和「ほら、そろそろつくぞ。」
新年の朝。僕らは、神社に初詣に来ていた。正直僕はこういう人が多いのはあまり好きではないので、早く帰りたいと思っている。
心美「鈴と藍人は何をお願いするの?」
鈴「就職!」
藍人「リアルだね。」
大学生は大変そうだ。
鈴「そういうあんたは何お願いするの?」
藍人「うーん。シンプルに売れますようにとか?」
大和「お前も大概だな。よし、じゃあさっさと済ませるか。」
そう言って僕らは賽銭箱の前にいき、賽銭を入れた後手を合わせて祈った。
藍人「.....よし、終わったよ。」
心美「じゃあ引き上げましょうか。」
大和「いや待て!まだおみくじ引いがある!」
鈴「行くよ!お父さん!」
藍人「なんて純粋なんだ。」
この人たち心はまだ小学生なんじゃないか?
大和「さて、どれにするか。」
父さんが悩んでいた時、
栞「あれ?大和さん?」
なんと後ろから栞さんが声をかけてきたのだ。
大和「栞ちゃん。君も来てたんだ。」
栞「はい。今日はメンバーも一緒ですよ。今ちょっと迷子なんですけど。」
そう言って栞さんが辺りを見渡すと、少し遠くにいた僕と目が合った。
栞「あ、総司くーん!」
藍人「よく分かるなぁ。まぁまぁ距離あるけど。」
心美「にしても、ほんとに予感が当たるとはね。危機察知能力高いわね。」
僕は念には念をといつもの様に変装をしていた。もし3人と一緒にいられる所を見られたら大変だからだ。
藍人「あけましておめでとうございます。栞さん。」
栞「こちらこそ、あけましておめでとう。今年もよろしくね!」
鈴「こんな弟だけど、これからもよろしくね。」
藍人「なんで姉さんにそう言われるんだ。」
こっちのセリフじゃい。
大和「さて、じゃあおみくじ引くか。」
そう言ってお父さん達がおみくじを引く。
大和「栞ちゃんもいいよ。好きなの引きな。」
栞「いいんですか?ありがとうございます。」
藍人「僕も引こ。」
そうして全員が引き終わり、運のお披露目となる。
大和「中吉か。まぁまぁだな。」
鈴「末吉。ついてないなー。」
心美「私は小吉よ。今のところ私たちつまらない結果ね。」
おみくじにつまらないとかあるのだろうか?
栞「あっ!私大吉でした!」
鈴「おっ、良かったじゃん。やっぱり持ってるね。」
大和「さてさて、総司はどうだ?」
藍人「......」
栞「?総司くん?どうしたの?」
藍人「あの、これなんですよ。」
そう言って僕はおみくじを広げる。
鈴「だ、大凶。」
心美「ほんとにあるのね。」
大和「ハッハッハッ!これは今年、波乱の予感だな。」
栞「えっと。ドンマイ!」
藍人「(まさか大凶引くなんて。)」
今年、なんかとんでもなく嫌な予感がする。頼むから平和であってくれ。
次回
嫌な予感が的中する?




