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第32話 秘かな恋

撮影もラストスパート!

 僕が皆に演技を教え始めて、1か月近くがたった。辛そうになったら、監督や僕が支えながら撮影していき、今日、ついに最後の撮影となった。


 栞「あわあわあわあわあわあわあわ。」


 美波「何あわあわしてるの。」


 梨乃「まったく、困ったリーダーだよ。」


 奏「なんか私より人見知りに見えてきた。」


 結衣「奏にそこまで言われるって相当だよ?しっかり!」


 栞「だ、だってー。」


 藍人「(ほんと、この人は緊張しやすいな。)」


 どうやら、今日は特別なゲストが来るらしい。いったい誰なんだろうか。


 煌雅「おー集まってるな。」


 藍人「あ、監督。今日来る人って誰なんですか?」


 煌雅「ん?ああ、ゲストのことか。もう来てるじゃないか。」


 そういって監督が僕を指さした。


 藍人「え?」


 煌雅「今回のゲストは、お前だ。藍人。」


 その言葉を聞いた途端、僕はきょとんとしてしまった。


 栞「ど、どういうことです?」


 煌雅「この映画の監督から、こんなに教えてもらってるのに出さないのは忍びない、って言われてな。本人は依頼した時から決めてたらしいぞ。」


 知ってたなら一言いっといてくれよ!


 結衣「ってことは、まじで藍人さんと撮影できるんですか?」


 美波「私たちにも春が……」


 奏「春は自然に来るよ?」


 梨乃「奏、そういうことじゃないよ。」


 栞「私、もう死んでもいい!」


 藍人「(……忘れてた。この人たち僕のファンだった。)」


 まあ演技を教える上で台本には目を通してるけど。


 煌雅「じゃ、さっさと始めるか!」


 こうして、僕は急遽この映画に出ることになった。






 藍人「(しかし、どうしたものか。)」


 今回の映画は、さえない男子高生が五人の女子高生に巻きこまれながら学園生活を送るというもの。アニメやドラマのほうがよくね?と思った顔知れないがそれは言ってはいけない。


 煌雅「おーい、藍人。そろそろとるぞー。」


 藍人「はーい。」


 ま、監督からは普通でいいって言われてるし、ありのままの僕を演じるか。


 ~撮影中~


 藍人「おい、ちょっと待ってよ。なんでお前らはそんなに元気なんだ」


 栞「そりゃやる気に満ち溢れてるからね。」


 結衣「あ、課題忘れた!」


 奏「これ、良かったら。」


 結衣「ありがとー奏。恩に着るよ!」


 梨乃「奏、甘やかしちゃだめだよ。」


 美波「奏、後で私にも見せて。」


 梨乃「みーなーみー?」


 今、僕らは最後のシーンの撮影をしている。このシーンが終わったら、打ち上げの話が出ている。場所はあの『お悩みBAR』だ。


 煌雅「よし、OKだ。皆、今日までご苦労だった。」


 撮影が終わった瞬間、5人が力が抜けたのか、その場に座り込む。


 結衣「はぁーーーーー。疲れた。」


 奏「も、もうしばらく動きたくない。」


 美波「何日か休暇ほしいね。」


 響「一応一週間くらい休暇を上げる話は耳にしましたよ?」


 梨乃「ほんと?ラッキー!」


 栞「頑張ったかいがあったね。」


 藍人「(ふぅ、疲れた。)」


 僕が休憩していると、響さんが声をかけてきた。


 響「藍人さん。今回は本当にありがとうございました。」


 藍人「いえいえ、僕はたいしたことはしてないですよ。」


 響「いえ、藍人さんがいなければ皆の演技はひどいままで終わってましたし、ほんとに感謝しかないです。」


 藍人「そういっていただけると嬉しいです。」


 煌雅「おーい藍人、打上げ行くぞー。」


 藍人「はーい。」


 そのまま僕は監督に連れられ、『お悩みBAR』に向かったのだった。


 ~移動中~


 マスター「いらっしゃい。今日は大人数ですね。」


 煌雅「だから貸し切りにしたんだ。いい酒頼むぜ。」


 響「今日は私も飲むぞー!」


 栞「なにこのお洒落なBAR。始めてきた!」


 結衣「ふふん、私は来たことあるよ。」


 美波「私も!」


 奏「二人とも、ここの常連なの?」


 マスター「いえ、まだ数回しか来てませんね。」


 梨乃「あんまり変わらないじゃん!」


 藍人「(元気だなー。)」


 ~二時間後~


 栞「だーかーらー!リーダーの私がセンターなのはしょうがないでしょ!」


 梨乃「じゃあリーダ変わってよ!」


 栞「無茶言わないでよ。」


 藍人「(酔ってない?)マスター、彼女たちにお酒出しました?」


 マスター「実は、少しだけ飲ませてほしいといわれてしまって。」


 藍人「なんてこった。」


 梨乃「結衣、美波。楽しんでる?」


 結衣「げっ、絡み漏斗?」


 美波「結衣、任せるね。」


 結衣「ちょ、美波!?」


 奏「あ、藍人さん。かくまってください。」


 響「奏ー、あんたはほんといいこだね。」


 藍人「あー、そういうことですか。」


 煌雅「おい、お前もこっちに来て飲め!」


 マスター「ちょ、帰りに運転できなくなるって!」


 酔ってる人による絡みにより、何人かが被害を受けていた。


 栞「藍人さーん。こっちに来てくださいよー!」


 というか、栞さん少ししか飲んでないんだよな?お酒弱すぎるでしょ。


 藍人「奏さん。どうします?」


 奏さんのほうを見ると、梨乃さんたちに捕まっていた。


 藍人「(いつの間に?)」


 栞「藍人さーん。ちょっと聞いてくださいよ。」


 少し目を離した隙に、栞さんが隣に座っていた。


 栞「えへへ、藍人さんの隣だー。」


 藍人「(これはかなり酔ってるな。)」


 今後栞さんのお酒事情は気を付けよう。


 栞「実は私、最近恋してるかもなんですー。」


 藍人「そうなんですか。青春ですね。」


 しかし、突然だな。栞さんが好きな人って誰なんだろ。


 栞「月下総司って人なんですけどー。」


 藍人「……え?」

次回

栞の恋愛事情?

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