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第30話 天才の本音

天才に不自由がない。果たして本当にそうかな?

煌雅「お前が教え始めてから、全員の出来が良くなっているな。」


藍人「それは何よりです。」


煌雅「他の役者も褒めてたぞ。最初の頃が嘘みたいだと。」


藍人「みんな一生懸命やってますからね。(まぁ元々素質はあったけど。)」


あれから数日が経ち、撮影も後半に差し掛かった。奏さんと梨乃さんは自身の欠点を克服したことで演技の出来も良くなっていった。そして結衣さんと美波さんはと言うと、


結衣「おかえり、2人とも。」


美波「改めて歓迎するよ。これからよろしくね。」


藍人「(やはり上手だ。2人は4人の中では飲み込みが特に早いな。)」


2人はグループの中では色んなことができる天才として括られることが多い。栞さんが目立ちがちだが、4人もテレビに出ることはある。そこでの企画で2人はいつも初見とは思えない結果を残して、度々話題になっていた。


響「やっぱりあの2人はなんでも出来るのかしらね。」


その時、響さんが差し入れを持ってきた。


響「みんな、少し休憩にしましょう。これ、よかったら食べてください。」


栞「ほんと?ありがとう!」


結衣「これってドーナツじゃん。響さん、毒でも仕込んでるの?」


響「失礼ね。そんなことしないわよ。」


そして5人がドーナツを取った後、響さんがこちらに向かってきた。


響「良ければ2人もどうですか?」


煌雅「いいんですか?ありがとうございます。」


そう言った監督は少し上機嫌になった。


藍人「ありがとうございます。頂きます。(全く、この人は食べ物でつられるんだから。)」


ちなみに僕も甘いものは好きである。特にケーキとか。え?女子っぽいって?それを言って無事だった人は居ないよ?


響「あっ、もうこんな時間。結衣ちゃん、美波ちゃん。そろそろ行くわよ。」


2人「はーい。」


藍人「あれ?この後何かあるんですか?」


響「あぁ、2人はこの後モデルの撮影があるんです。」


藍人「へぇ、アイドルなのにモデルですか。」


響「あの2人は何でもできるって印象がついてしまっているので、こんな感じの仕事もよくあるんですよ。」


煌雅「聞いたことはありましたが、やっぱり大変そうですね。」


響「まぁあの2人も楽しそうなので、2人がそれでいいならいいのですが。」


そんな会話をしていると、2人の準備が出来たようだ。


響「では、私は2人の付き添いに行くので。」


藍人「はい、お疲れ様です。」


そう言って響さんは去っていった。


藍人「あの、栞さん。響さんって栞さんのマネージャーじゃありませんでした?」


栞「そうだったんですけど、最近大幅な人事異動があったらしく、響さん1人で私達を担当することになったそうなんですよ。」


煌雅「そんなことが?あまりに多忙じゃないですか?」


栞「仕事一筋の人ですから。休んで欲しいとは思ってるんですけどね。」


藍人「(響さんも心配だが、結衣さんと美波さんも不安だな。)」


楽しんでるなら問題ないという考えでは、見落とすところが増えてしまう。もっと他の観点も見なければ.....









美波「ふぅ、疲れた。」


結衣「お疲れ。いる?」


そう言って結衣がエナドリを渡してきた。


美波「ありがとう。今日どれくらいまでかかるんだっけ。」


結衣「確か22時とかだった気がする。」


美波「そう。(キッついな。)」


私達は、グループ内で"天才"というキャラが定着しつつある。度々テレビに出ると何かしら結果を残してきた。最初は褒めて貰えて嬉しかった。でも、


「美波ちゃん、今度のライブも期待してるよ!」


「結衣さん、次のライブも絶対に行きます!」


次第にその声は、絶対に失敗出来ないという責任感に上乗せされていった。"天才"とは、皆が思うほどいいものでは無い。少なくとも、私達は自身の天才というキャラを好んだことは1度もない。


カメラマン「2人とも、そろそろ撮影するよー。」


結衣「はーい。美波、行ける?」


美波「うん。大丈夫。」


でも、ファンの為にも辛い顔は見せられない。少なくとも、内のリーダーは辛そうな顔は見せなかった。


2人「(笑顔は絶やしてはいけない!)」


そう思って2人は撮影に戻った。








カメラマン「はい、お疲れ様です。」


結衣・美波「お疲れ様です。」


2人はそう言って、控え室に戻り、帰る支度を済ませていた。


響「お疲れ様です、2人とも。車が来てるので、送りますよ。」


結衣「車?珍しいね。」


美波「何か企んでるの?」


響「ほんと失礼ですね。いいから早く来てください。」


そう言われて、私達は言われるがままに車の所まで連れていかれた。


美波「この車誰の?」


結衣「内の事務所の車じゃないよね?」


そう疑問を問いかけると、車の窓が開いて、中にいる人が見えた。


煌雅「どうもー。お疲れ様です。」


藍人「お迎えに来ました。」


結衣・美波「.......はい?」


目の前の光景に理解が追いつかない。何故藍人さんがここに?


藍人「さぁ、3人とも乗ってください。行きますよ。」


結衣「えっ、行くってどこにですか?」


藍人「それは秘密....(ちょっとしたサプライズだよ。)」

次回

2人によるサプライズが始まる。

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