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第24話 成功の為に

男役が足りないなんて。一体どうすれば?

栞「こ、ここ入る必要ある?」

瑠香「もちろん!これはあったら入っちゃうでしょ。」

その時僕らはお化け屋敷の列に並んでいた。

栞「ね、ねぇ総司くん?君はお化けとか平気な方?」

藍人「まぁ、多少驚きはしますけど大丈夫な方ですかね。」

栞「そ、そっかー。」

栞さんは怖いものが苦手なのだう。怖い話の時も怖くて寝れないと言っていたし。

そうこうしてる間に、僕らの順番は回って来た。

瑠香「よし!行ってみよー!」

藍人「やけにテンション高いですね。お化け屋敷好きなんですか?」

瑠香「お化け屋敷ってよりは、ホラー系が好きなんだ。総司くんはどう?」

藍人「僕は普通ですかね。」

栞「ガクガクブルブル。」

栞さんが怯えながら歩いていく。

藍人「栞さん?無理はしない方が...」

栞「え!?いや?大丈夫だよ?」

そう言って栞さんが大きく1歩前進した時、

お化け「うがぁぁぁぁ!」

栞「キャーーーー!」

タイミングよくお化けが姿を現した。それを見た栞さんは駆け足で出口へ向かっていった。

藍人「行っちゃいましたね。」

瑠香「うん。なんか悪いことしちゃったなぁ。早く出て他の場所行こうか。」

藍人「わかりました。」

そして僕らも栞さんの後を追うように出口へと向かった。

栞「はぁ、はぁ。心臓飛び出たかと思った。」

瑠香「ごめんね。お詫びじゃないけど、なんか甘い物でも奢るよ。」

栞「ほんと!ありがとう!」

藍人「(切り替えが早い。)」

栞さん、食べ物に釣られがちだな。

瑠香「よし!そうと決まれば早速行こー!」

そうして移動しようとした時、瑠香さんのスマホが鳴った。

瑠香「あれ?誰からだろう。」

電話の相手は陽菜さんだった。

瑠香「もしもし陽菜?どうしたの?」

陽菜「瑠香!大変なの!さっき蓮くんが脚立から落ちて、足が酷く腫れちゃったの。それ以外に大した怪我はないんだけど、演劇の男役が足りなくなっちゃったの!」

瑠香「え!やばいじゃん!とりあえずそっちに行くよ!」

栞「どうしたの?」

瑠香「それが.....」

電話の内容を聞いた僕たちは瑠香さんと共に保健室に向かった。



〜少年少女移動〜



瑠香「陽菜。来たよ。」

陽菜「瑠香!」

瑠香さんが保健室のドアを開けると、そこには蓮と陽菜さんがいた。

藍人「蓮、大丈夫か?」

蓮「あぁ、総司に栞さん。心配かけてすまん。」

栞「私達のことは気にしないで。それより、歩けるの?」

蓮「いや、厳しいですね。それどころか立てるかも怪しくて。」

栞「そっか。」

瑠香「陽菜、今から他のクラスメイトに代役とかは頼めないの?」

陽菜「無理だよ。蓮は結構出番も多いし、セリフだってある。今から全部を覚えるのは無理だよ。」

瑠香「でも、このままじゃ劇が。」

陽菜さんや蓮だって劇を成功させたいだろうし、瑠香さんもずっと応援してきたんだから成功を願ってるに決まってる。

栞「総司くん。どうしよう。」

藍人「そうですね....(どうする。今から台本を覚えて直ぐに舞台に立てる人なんているのか?)」

僕は必死に思考を巡らせた。すると、たった一つだけ打開策が浮かんだ。

藍人「(....仕方がない。)僕に一つ、考えがあります。」

瑠香「ほんと!?」

藍人「えぇ。たった一つだけ、この状況を何とかできる方法があるんです。」

蓮「総司.....わかった。そこまで言うなら、お前の作戦を信じる。」

栞「私も!総司くんならやってくれる!」

陽菜「(2人がそこまで言うなんて...)わかった。私も信じる。」

藍人「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと行ってきます。」

そう言って僕は保健室を後にした。

瑠香「(一体何をする気なの?)」

藍人「もしもし?お願いがあるんですけど....」







栞「総司くん。大丈夫かな?」

瑠香「開演まで後5分。間に合うといいけど。」

私達は客席に座りながら、総司くんの作戦が上手くいくことを願っていた。

その頃舞台裏では

陽菜「あと5分しかない!早く来て!」

陽菜さんと他の生徒達がおどおどしながら待っていた。その時、

?「呼ばれたのはここで合ってますか?」

陽菜「......え!?」

そして開演時間となり、舞台上の幕が開かれる。

瑠香「始まった!」

栞「(お願い!間に合って!)」

この演劇の内容は、しがない一般市民の男性がお城のお姫様に恋をして、彼女と結ばれるために奮闘する物語だ。陽菜ちゃんはお姫様の役で、蓮くんはお姫様のそばに居る執事の役立った。

陽菜「きゃあ!」

栞「そろそろ来るよ。」

このシーンは、お城から抜け出してきてしまったお姫様が盗賊に襲われ、主人公はそれを影で見守ることしか出来ない状況の中、執事が颯爽とやってきて助けるシーンである。

盗賊「お姫様よ。ちょっと俺らと一緒に来てもらおうか。」

陽菜「いや、離して!」

瑠香「(次だ!)」

執事のセリフのシーンが来た時、

?「汚い手でお嬢様に触れるな。」

栞「....え?(この声。)」

その声が体育館中に響いた。私はその声に聞き覚えがあった。忘れるはずもない。私にアイドルを続けるきっかけをくれたあの人の声だ。

?「貴様らの相手はこの私だ!」

その言葉と共に執事役の人が出てきた。

藍人「お嬢様、遅れてしまい申し訳ありません。」

栞「え!?(あ、藍人さん!?)」

そこには間違いなく藍人さんがいたのだ。

生徒達

「ねぇ!あれって。」

「俳優の皇藍人じゃない?」

「まじじゃねぇか。生で見るの初めてだ。」

蓮「おいおい、まじかよ。」

瑠香「ど、どうして藍人さんが?」

栞「これが総司くんの作戦ってこと?」

藍人「さぁ、かかってきなさい。」

盗賊「舐めんな!」

そうしてアクションシーンが入ると、藍人さんはその美しい身のこなしで相手の攻撃を捌き、盗賊達を返り討ちにした。

盗賊「く、くそ!覚えてろ!」

そう言って盗賊達は去っていった。

藍人「さぁ、お嬢様。お城に戻りますよ。」

そう言って藍人さんが手を伸ばした。

陽菜「え、えぇ。(こんなの萎縮しちゃうよ。)」

そうして2人は舞台袖にはけて行った。

栞「藍人さんが来るなんて。」

瑠香「ねぇ栞さん。総司くんって何者なの?」

栞「.....さぁ?」

正直、関わりを持ってから半年以上経つが、彼への謎は増える一方である。

栞「(一体、どうやって。)」

その後も劇は問題なく続き、無事に大成功で幕を閉じることが出来た。




生徒達

「あの、藍人さん!握手してください!」

「こっちにはサインを!」

「こっちも!」

藍人「うーん。(どうしよこの状況。)」

劇が終わったあと、僕は沢山の生徒たちに囲まれていた。

藍人「(あーあ。やっぱりやめときゃ良かったかな。)」

僕の考えた作戦は僕が皇藍人として、劇にでることだ。

保健室を出た後、僕は監督に電話をかけていた。

藍人「【事情説明】...なので、監督から呼ばれてやってきたという風にして欲しいんです。」

煌雅「なるほどな。了解した。任せとけ!」

そういうわけで、僕は監督に呼ばれてここに来たということになっている。

煌雅「はいはい皆んなー。こいつこの後ちょっと忙しくてね。ごめんけど、ここでお別れだ。」

藍人「では皆さん。失礼します。」

そう言って僕らはその場を後にした。



〜男2人移動中〜



藍人「助かりました。ありがとうございます。」

煌雅「いいってことよ。美味い飯を作ってくれた礼だ。それより、栞ちゃん達にはどう言って誤魔化すつもりだ?」

藍人「監督を探しまくって、見つけた時にお願いしたって感じで行きます。」

煌雅「それ、怪しまれないか?」

藍人「まぁ、何とかなるでしょう。」

煌雅「お前って、こういうところは雑なんだよな。」

藍人「即興なんで許してくださいよ。...っし、できたっと。」

そうして僕は再び月下総司の姿に戻る。

藍人「じゃあ監督、僕はこれで。」

煌雅「おう。お疲れ様。」

そうして監督と別れた僕は栞さん達の所へ向かった。



〜少年移動中〜



栞「あ、いた!総司くん!」

その時、僕を見つけた栞さんがこっちに向かって来るのが見えた。

総司「栞さん。劇、何とかなったみたいですね。」

栞「うん。陽菜ちゃん達も喜んでたよ。まぁそれと同じくらい驚いてたけど。」

藍人「あ、あはは。(まぁそりゃそうか。)」

誰だって俳優が突然現れたら驚くだろう。

栞「にしても藍人さんを呼びつけるなんて。どうやったの?」

藍人「監督さんを探して何とかお願いしてみたんですよ。」

栞「....それって、監督がOKだしてくれなかったらどうしてたの?」

藍人「僕が出てました!」

栞「......」

その言葉を聞いた栞さんが僕の背後に回り、背中をポカポカと叩き始めた。

藍人「し、栞さん。ちょ、や、やめてください。」

栞「......はぁ。まぁ今回は何とかなったし、許してあげるよ。」

すると栞さんが拳を下ろして、顔を見てこう言った。

栞「ありがとう!演劇を成功させてくれて。」

藍人「......僕は何もしてませんよ。」

あの劇が成功したのは、あのクラスメイトたちの努力があったからに他ならない。僕が入ろうが蓮が入ってようが、結果は変わらなかっだろう。でも、

藍人「(喜んで貰えたなら、やってよかったかな。)」

その時、スマホに着信が来た。

藍人「『今から打ち上げやるけどくる?』って瑠香さんから来てますね。」

栞「打ち上げ!?行こう行こう!」

そう言って栞さんが僕の腕を掴んで走り出す。

藍人「(全く、ほんとに元気な人だなぁ。)」

こうして、高校一年生の文化祭は幕を閉じたのだった。

次回!

第3章開幕!

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