第15話 思わぬ遭遇
またまた撮影開始!しかし思わぬ出来事が?
栞「あわあわあわあわあわ。」
?「あわあわしてる場合じゃないですよ。」
栞「しょうがないじゃん!まさかまた藍人さんと旅行できるなんて思ってなかったんだから。」
?「全く、しっかりしてください。」
彼女は北条響。私の所属しているアイドルグループのマネージャーで、1番私と関わりが深いマネージャーである。
響「そろそろ藍人さんが来る頃合いです。しっかりファンからアイドルに切り替えてください。」
栞「わ、わかってるよ!」
スタッフ「藍人さん到着しましたー。」
その時、藍人さんが車から出てきた。
藍人「全く、行きは電車とかでいいでしょ。」
監督「周りの乗客への対応とかが出てくるからダメだ。」
藍人「ならしょうがないですね。」
そう言いながら藍人さんがこちらに近寄ってくる。
藍人「こんにちは。まさかまたこの撮影で会えるとは。」
栞「こちらこそ驚きでしたよ。今回もよろしくお願いします。(また会えた!リアル藍人だ!最高すぎ!)」
監督「よし、じゃあ説明するぞー。って思ったが、お前らはいらないな。前回と同じ感じでOKだ。」
栞「了解です。」
藍人「ちなみに、今回の要望の時にどんなコメントが来てたんですか?」
監督「いやな、あの後の出演者達から最初は誰だったって質問されてな。それに応えたら最初の回を見逃した人達が多かったらしく、もう一度やって欲しいと。」
藍人「な、なるほど。(別に僕じゃなくてもいいような。)」
栞「(ナイス視聴者!)」
監督「よし、じゃあぼちぼち始めるか。」
こうして撮影が始まった。
栞「はぁ、はぁ。つ、疲れました。」
藍人「そうですね。少し休みましょうか。」
僕らは撮影で富士山に登ってた。
藍人「どうぞ、水です。」
栞「あ、ありがとうございます。(藍人さんがくれた水!家宝にしたいけど、喉乾いたし.....)」
藍人「(さて、僕も一休みするか。)」
栞「藍人さんの高校も夏休みに入ったんですか?」
藍人「えぇ、その分撮影が多いですが。」
栞「大変ですよね。(ということは藍人さんの作品が多く見られるということ!夏休み、最高!)」
そんな会話をしていると、僕達に声をかけてくる人がいた。まぁ俳優やアイドルがいたら声もかけたくなるだろう。
?「あれ?栞さん!?」
藍人「(....…ん?)」
しかしその声には妙に聞き覚えがあった。
藍人「(まさか...)」
僕は恐る恐る声のした方向を向いた。
颯太「やっぱり栞さんだ。どうしたんですかこんなところで。」
藍人「.......(まじか。)」
そこには僕らの知っている颯太がいた。
智穂「颯太ー、速すぎだって。」
海斗「あいつ、体力はめっちゃあるな。」
蓮「陸上部入ってくんないかな。」
栞「え?皆!」
藍人「(嘘だと言ってくれ!)」
なんで知り合いがこんなに揃うんだ!
栞「どうしてここに?」
海斗「陸上部員で体力作りしようと思ってね。体育祭の走りを見て颯太も誘ってみたんだ。総司くんも誘って見たんだけど、あいにく今日は留守らしくて。」
藍人「(そりゃ撮影あるからな!)」
蓮「ところで、横にいる人って。」
栞「あぁ、撮影の共演者の皇藍人さんだよ。」
藍人「ど、どうも。」
智穂「え、まじ?本物?」
颯太「(皇藍人!貴様また栞さんと...)」
海斗「颯太、落ち着け。」
監督「おーいお前ら、そろそろ行くぞー。って、どうした?」
蓮「あ、あなたは!橘煌雅監督!?」
煌雅「あぁ、そうだけど。」
智穂「どうも!体育祭の時に話しかけた佐久間智穂です!」
颯太「同じ久遠颯太です。」
煌雅「あぁ、あの時の。」
そう言って監督がこっちを見る。やめて、バレるから。
煌雅「よし!これも何かの縁だな。良かったらみんなも一緒に登るか?」
海斗「え?いいんですか?撮影中なんじゃ。」
煌雅「なんか面白そうだしいいって!」
藍人「(ノリが軽いぞ監督!)」
智穂「なら、お言葉に甘えさせてもらいます。」
蓮「テレビに出るなんて、もう一生ないだろうな。」
颯太「こんなことあるんだな。」
栞「じゃあ皆、行こうか!(折角藍人さんと2人で登山できると思ったのにーー!)」
藍人「よ、よろしくね。(なんてこった。)」
こうして、藍人として初めてクラスメイトと行動することになったのだった。
藍人「そろそろ着きますね。」
栞「ぜぇ、はぁ。つ、疲れた。」
颯太「大丈夫か?智穂。」
智穂「な、なんであんたはそんなに元気なのよ。」
蓮「が。い、しき、が。」
海斗「蓮ーー!」
藍人「だ、大丈夫?」
海斗「こいつ、短距離はすごいんですけど、体力が少なくて。」
颯太「おい!見てみろよ!」
そう言われ、皆が颯太の方を向くと、そこには絶景と呼ぶにふさわしい景色が広がっていた。
智穂「これは....」
海斗「いい景色だな。」
蓮「の、登った甲斐があるな。」
海斗「おい、蓮!しっかり!」
栞「うわぁ....すごいですね!藍人さん!」
藍人「........」
栞「?どうしました?」
藍人「あ、いや別に。」
つい景色に見とれてしまった。そういえば、友達と何処かに行くなんてなかったな。
藍人「(いいな、こういうのも。)」
煌雅「ふっ、いい顔してるじゃねえか。」
藍人「そうですか?」
煌雅「あぁ。よし!じゃあそろそら下山するか。」
蓮「す、少し休憩しません?」
海斗「俺も賛成。」
智穂「わ、私も。」
颯太「お前ら体力ねぇなぁ。」
蓮・智穂・海斗「お前が異常なだけだ!」
栞「あはは、すみません騒がしくて。」
藍人「いえ、大丈夫ですよ。(慣れてるし。)」
そうして僕らは少し山頂で休んでから下山し、宿泊地へ向かうのだった。
藍人「(で、こんな奇跡ある?)」
颯太「いやぁ、まさか宿泊場所まで一緒だったとは!」
智穂「こんなこともあるんだね。」
藍人「(普通はねぇよ!)」
煌雅「なら折角だし、飯も一緒に食うか?」
颯太「いいんですか!ぜひ!」
栞「もうこれ友達との旅行だね。」
海斗「総司くん。羨ましがるだろうなー。」
藍人「(大丈夫!本人いるから!)」
まぁ今は藍人だけど。
煌雅「じゃあ20時くらいに来てくれ。」
颯太・智穂・蓮・海斗「はーい。」
そうして僕らはそれぞれの部屋に分かれた。
栞「はぁ、疲れた。」
私はそのままベットに飛び込む。
栞「まさか、あの4人と会うとはね。」
今回の撮影、つめつめの予定を何とか空けた。そこまでしてでも藍人さんに会いたかったからだ。あの人は、私の憧れであり、恩人でもある。そしてあの日、
藍人『こんな僕のファンのためにも、期待に応えないといけませんしね。』
そんなあの人だから、私はファンになったんだ。
栞「(今度、総司くんも紹介しよ!)」
さて、そろそろお風呂いこうかな。汗かいちゃったしね。
次回!
栞が藍人のファンの理由が....