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仲間になる二人 異世界二十六日目

予告なく修正することがあります。

 そんな二人を見ていたもう一組の未成年の男女が、恐る恐ると言った感じで近づいて来た。


「僕じゃない、俺はギルス。彼女はエレンですだ。」

「ですだ?」


 アデルの金色の眼が妖しく光り、軽くカインに触れて顔を落とした。その後、ギルスは狼人族だと言い、エレンは猫人族と明かした。


「二人は転生者ね。二人の思惑に乗ってみる?」

「はあ、たまにはのんびり異世界ライフを楽しみたいものだ。」


 カインとアデルは思念だけで会話し、二人以外には聞こえる事は無かった。ギルスは百七十センチを越える狼人族で、身体強化魔法は使えるが剣士を自称していると話した。百六十センチ近いエレンは猫人族のアーチャーで、こちらも魔法を使えることを隠していた。


「この世界では魔法を使える人間は貴族のみらしい。貴族以外が魔法を使えると、色々と面倒な事になるらしい。二人は魔法を使えるのか。」

「私達は魔法は使えないわ。」

「それに設定したアバターでもない。」


 ギルスの問いに答えるアデル。ギルスの横に立つエレンの小声での呟きを、カインとアデルは聞き取っていた。


「キャラ設定と違う姿に転生したのね。貴方達を転生させたのは何者かしら。」


 さらりと言ったアデルの言葉に、ギルスとエレンの眼が大きく見開かれる。悪戯猫の様に笑みを浮かべるアデル。


「二人も転生者なんだね。」

「しっ、声がでかい。」


 興奮した様に話すギルスを、カインが低い声で窘める。それから、ギルスとエレンは転生した経緯と、天啓の事を話し始めた。


「僕が向こうで死んだのは三十五歳の時だ。」

「私は二十九歳。神様の手違いで転生させられたと聞いた。」


 四人は広場の横に置かれているテーブルへと移動して、ギルスとエレンの話を聞くことにした。二人は地球に住んでいて、よく遊んでいたゲームの世界観に似たこの世界に転生して来たと言った。

 ギルスは鬼人族を選び、エレンはダークエルフを選んだとも説明した。そして、転生する際に神と名乗る女性から、好きに生きる様にと言われていた。

 ところが、数日前に二人の夢に同じ女神が現れて、カインとアデルに会う様に言われたと告白した。


「僕は剣道と柔道をやっていて、どちらも三段だった。」

「警官か。」

「警官だった。」


 突っ込んだカインはギルスの答えに固まった。

 エレンは幼少の頃から空手を習っており、大学ではアーチェリー部に所属していたと語った。


「ゲームでは魔法職だったのに、人目を気にして練習出来ないからレベルが上がっていないの。」

「俺も実戦経験が少なくて、この養成所に入る事にしたのだ。」


 二人の話を聞いたカインとアデルは二人とパーティーを組むことを了承し、夜は宿屋で今後の打ち合わせをする流れになった。各人で宿屋の厨房から、料理を離れに運び込んで食事を摂りながらの話し合いとなった。


「俺はスペインからで、エレンはスイスから日本に留学して、日本国籍を取って就職したんだ。」

「難しかったでしょ。当時の総理大臣は誰かしら。」

「申請すれば簡単に国籍を変える事が出来たの。総理は金浦溜蔵だったわ。」

「俺がいた時は風林大介だ。」

「裏金溜ぞうに不倫大好き。誰!それ!」

「金浦溜蔵に風林大介よ。似ているけど違うでしょ。別の日本と言う事ね。」


 ギルスとエレンが答えた総理大臣の名は、カインとアデルの知る人物ではなかった。アデルが並行世界、パラレルワールドが存在すると説明し、怒っている様なカインを宥めた。

 その後、部屋にある魔道具を見て興奮するエレンを放置して、明日からの授業についての話になった、狩人養成所は午後から授業があるが、知識が有れば出席する必要がなかった。戦闘訓練に重点を置いているのか、教師は専門職が携わっていた。

 カインとアデルは授業には出る気はなく、三か月後の卒業試験を受けると説明した。


「貴方達も一緒に卒業試験を受けて貰うわ。それまでは、実戦で訓練してもらう。近くにダンジョンがあるから、そこなら安心して魔法も使えるわ。」

「合流しろって天啓に変わって、クエストは達成した事でいいのかな。」

「私達には天啓は無かったし、事前に連絡も無かった。気が付けばこの姿でこの世界。」

「この代償はその存在をもって払わせてやる。」


 低く静かにされど、硬い決意のこもった声で呟くカインを、ギルスとエレンは顔を引き攣らせながら見詰めた。何処かの光が満ちる部屋で、人型が椅子から転げ落ちた。


「二人も転生者なんだよね。」

「私達は転移者ね。流石にこんな姿にされたのは初めてよ。」

「カインの赤い眼と、アデルの金色の眼は魔族なの。」


 カインとアデルがギルドカード見せると、二人は交互にカードと目の前の二人に目を動かした。アデルはそんな様子が面白かったのか、鈴の様な笑い声を上げた。


「地球も中々にファンタジーなのよ。」

「二人の魔法はそのうち見せて貰うにして、当面の武器と防具が必要だな。明日は武器と防具を探しに行こう。」


 翌日、四人で町を巡って一軒の武器屋に入った。壁一面に剣や戦斧、槍や盾が飾られてあった。中には様々な鎧が並び、ギルスは目を輝かせて眺めていた。


「鉄製の武器ばかりね。鎧は革鎧にしてね。防御力よりも機動性を重視。メインはカインに出してもらうとして、ナイフは使いやすい物を選ぶ事。」

「二人は慣れているみたいだ。」

「向こうでも戦場に身を置いていたからな。平和な国ばかりではなかったろ。」

「てっきり、日本人かと思っていたけど、違ったのかしら。」

「表ばかりが国じゃないのよ。裏の世界もあると言う事よ。」


 カインとアデルの言葉に、ギルスとエレンは首を傾げた。革鎧とナイフを買って、初日の授業に出る事にした。

 授業は薬になる薬草や鉱物、野獣と魔獣の違いなど一般的なものだった。その後、得意な武器毎に指導者を選んでの練習となった。カインはエレンと一緒に弓矢の訓練に、アデルはギルスと剣の訓練に向かった。


「この弓を使うといい。」

「コンパウンドボウ。私はリカーブボウしか使った事がないのだけど。」

「それはデメリットを無くしてある。丈夫で壊れにくく、僅かな力で射程は五百メートル。」


 エレンは目を丸くして、手の中の弓を見詰めた。カインは日本古来の大きな弓を手にしていた。三十メートル程の距離にある的を、エレンは見事に中心に矢を集めた。そして、カインの放った矢は、的を貫通して百メートル程後ろの壁に突き刺さった。周囲の人間が驚いた表情を浮かべる中、カインはエレンと共に訓練から抜け出した。

 一方、アデルはギルスに一振りの日本刀を渡した。


「千手院藤吉作、銘を天狼丸。国宝級の逸品よ。」


 凄いと呟いてギルスは、目の前にあった直径十センチほどの木を切り付けた。逆袈裟に振り下ろした刀身は、僅かな抵抗もなく木を擦り抜けた。ゆっくりと木はずれて、砂煙を上げて地面に転がった。

 見ていた者達から溜息が漏れる。それほどにギルスの斬撃は綺麗だった。アデルはレイピアを抜くと、無造作に数度振った。金属音を鳴らしてレイピアを収めると、木が数か所で斬らて落ちた。こちらも溜息を聞きながら、ギルスを伴って訓練場を後にした。


「授業と訓練を受ける必要はないわね。」

「三か月後の試験に合格して、黒鉄等級を貰うとするか。」

「そうね、二人には私達の訓練を受けて貰う。厳しいけど付いて来てね。」


 アデルの言葉にギルスとエレンはごくりと喉を鳴らした。養成所に残った連中の中には、危険な目で四人を睨む者達がいた。


「見せ場があって羨ましいのじゃ。何時になったら出る事ができるのじゃ。」

空♂:初めはギルスとエレンを別の種族にしようかと思ったのだ。

ア♀:どうして戻したの。

空♂:うにゅう、何となくなのだ。

ア♀:出た。行き当たりばったり。

空♂:うにゃ、まだまだ続きます。

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