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魔王、仲間を募る 異世界百十三日目

予告なく修正することがあります。

 村を出たニーナ達は何事もなく街道を進み、大きな湖の湖畔に高い城壁に囲まれた町へと到着した。町へと入るために検問を受けるため、長い行列の最後尾で馬車を止めた。


「うにゅう、待っている間に日が暮れるのじゃ。」

「大丈夫だろ。十人ぐらいで聴取しているから、すぐに順番が回ってくる。」


 苛立たし気に零すニーナに、エレンが優しい顔で答えた。エレンの言った通り、十分ほどでニーナ達に順番が回って来た。


「狩人組合か。皆、成人したばかりなのに、白銀等級とは凄いな。」


 近衛騎士の一人がニーナ達のギルドカードを、一枚ずつ四角い箱に付いたガラス面にかざした。四角い箱の上部に青い文字で名前と年齢、職業が表示された。


「あれってQRコードかしら。ここの管理者は一体、何を考えているのかしら。」

「何も考えていないのかもな。」


 呆れ気味のアデルの言葉に、カインが同じく呆れ気味に答えた。ギルスとエレンもギルドカードに浮かんだ模様を見て、驚きの表情を浮かべて小声で囁き合っていた。


「はい、全員問題無し。早めに宿を決める事だ。余裕があるなら黒熊亭がお勧めだ。余裕がないなら北地区だが、ギルドの宿泊施設を使え。北地区は治安が悪いし、最近ではお前達位の子どもが消えると報告が来ておる。」

「それは北地区だけかしら。」

「北地区からの報告が多いが、他の地区でも数件の報告が上がっている。俺達は誘拐を疑っている。国では禁止されているが、裏で奴隷を持つ連中もいるからな。」

「私達、余裕があるから黒熊亭に行ってみるわ。」


 ニーナ達は東門から町に入り、東地区の狩人組合に顔を出した。ニーナ達が扉を開けると、中にいた全員の視線が突き刺さる。恵まれた容姿が多いニーナ達を見て口元を歪ませる男達は、カインを見て背中に氷でも入れられた様に小さく震えてから視線を戻した。ニーナがこの町へ滞在する事を告げる間、カインは掲示板の依頼を確認していた。

 依頼を受けずにニーナ達は宿屋へと向かった。宿屋に入るとニーナ達より小さな女の子が出迎えた。


「ようこそ、黒熊亭へ。お食事ですか。それとも、宿泊ですか。」

「宿泊なのじゃ。」

「カインはギルスとね。私達は五人で一部屋ね。」

「はい、空きががあります。六人部屋と二人部屋をお使いください。二人部屋は大銅貨七枚で、六人部屋は銀貨一枚です。お食事は一階が食堂になっています。美味しいですよ。」


 カインとギルスは三階の階段前の部屋に入り、アデルはニーナ達と最奥の部屋へ入った。カインはすぐに部屋を出ると町へと消え、一人になったギルスはニーナ達の部屋へとやって来た。暫くすると、ノックがあり、ドアを開けると眉間にしわを刻んだカインがいた。


「この町は比較的、差別意識が低いようだ。だが、亜人種の殆どが北地区に追いやられている。」

「うにゅう、みんな同じ人間なのじゃ。」

「ですが、ゴブリンやオーガの中には、人間を食べる者達も居る事は事実です。」

「ん、魔王様も戦った。」

「うにゃっ、あれは攻めて来たから迎撃したのじゃ。」


 脱線しかけたニーナ達をアデルが遮って、カインが町を回って得た情報を話し始めた。南地区に裕福層と貴族が住み、東地区と西地区に商人や職人が住んでいた。南地区に近い所に高級店があり、北地区に近づくごとにリーズナブルな店になっていた。そして、町の周囲にオークの集落があり、農業を営んで町へ作物を供給していた。都市壁の外にあると言う事は、モンスターに襲われる可能性がある。ゴブリンやオーガで狩人を職業にする連中も、都市壁の外に掘立小屋の様な住居に住んでいた。


「誘拐の標的は見た目重視のようだ。単独行動はするな。」

「物資の調達にはギルスが必ず同行して。」

「荷物持ちにされるな。」

「荷物を持っていたら護衛の役目が出来ないでしょ。カイン、マジックバックを出して。」


 カインが数種類の鞄を出すと、ニーナ達は眼を見開いた。アデルが二つの袋を選ぶと、残りを黙ってカインが収納した。


「さっきの全部がマジックバッグなのですか。」

「カインは沢山、持っているのじゃ。」

「はいはい、こっちが時間停止型でこの部屋ぐらいの容量よ。こっちは時間経過があるけど、この部屋の倍くらいの容量があるの。」


 受け取ったティアが素早く二つの袋を持ちかえて、ニーナ達に背を向けてゴソゴソと始めた。向き直ったティアは、勢いよく袋を握った手を突き出した。


「どっち。」

「うにゅにゅう、こっちが時間停止なのじゃ。」

「むう。」

「ティアにも判らないのね。カイン、目印を付けて。」

「手を入れれば判る。冷たく感じた方が時間停止型だ。」


 面倒臭そうに答えたカインは、アデルに睨まれて渋々、袋に赤い布を巻いた。夕方になるまでニーナ達は部屋で過ごし、カインとアデルは狩人組合に出掛けた。


「パーティーメンバーの募集を依頼して来たわ。」

「うにょ、必要ないのじゃ。妾と四天王、カインとアデルで充分なのじゃ。」

「私とカインは転移者。貴方達は数百年も寝ていたお寝坊さん。ギルスとエレンはお寝坊さんに加えて転移者ね。三か月以上経ったけど、私達はこの世界に疎いのよ。常識を知る人間が必要よ。」


アデルの言う通り、ニーナ達の行動は周りを驚かせることが多かった。ギルスとエレンもこの世界で育ったが、辺境にいた為か偏った知識を持っていた。そこで、カインとアデルは相談して、生粋のこの世界で育った者を加えようと考えた。


「辺境ではなくある程度の規模がある町で育った人間。吟遊詩人とか商人なんかが良いわね。」

「俺は必要ないと言ったがな。」

「カインが一番、必要なのじゃ。」

「ん、同意。」

「ティアもね。」


 カインとティアを見ていた全員が、ニーナの言葉に大きく頷いた。翌日、狩人組合を訪れたニーナ達に、希望者が出ていないことが告げられた。その後、ニーナとミリアンはギルスを伴って市場を巡り、カインは町の中を見て回った。

 数日を町周辺のクエストをこなして過ごすと、狩人組合から希望者が出たと連絡があった。


「希望者は三人です。男性二名、女性が一名です。」


 アデルが全員との面談を希望して、ギルスが実力を試す相手にされた。全員で狩人組合の裏にある修練場に向かい、加入希望者の面接をする事になった。


「ふっふっふ、妾が見極めるのじゃ。五天王が爆誕するかも知れないのじゃ。」

空♂:のんびり投稿するのだ。

ア♀:のんびりし過ぎよ。

空♂:定まらぬ方向性が、やっと定まったのだ。

ア♀:普通、色々と決めてから始めるのでないの。

空♂:ストーリーを柔軟に進めるのだ。

ア♀:行き当たりばったり・・・貴方の習性なのね。

空♂:まだまだ、続きます。

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