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いつもの二人 異世界十日目

予告なく修正することがあります。

 街道に出た二人は近くの町を目指して歩いていた。

 何時の間にか、カインの肩にはサドルバッグが揺れ、背中の背負子には大量の毛皮が乗っている。街道へ出るまでの途中で、カインが狩った狼の毛皮だ。

 遠くに町の外壁が見えてきた時、二人は歩みを止めて顔を上げた。


「どうしていつも、テンプレがあるのだろう。」

「知らない。でも、助けが必要よ。」


 何処か疲れた様に呟くカインを、少し嬉しそうなアデルが目で促す。溜息を吐いたカインが走り出すと、アデルが同じ速度で追い駆けた。二人の前には飾りは少ないものの、扉に紋章が描かれた箱馬車を、数体の魔物が囲んでいた。


「下級悪魔と劣化種。護衛の五人では力不足ね。」

「助ければいいのだろう。俺は何時も損な役回りだ。」


 背負子を降ろしたカインは地を這う様に近づくと、一体のレッサーデーモンをナイフで切り付けた。動きを止めた一体に気付いたもう一体の首を、黒いナイフが擦り抜ける。最初の一体が縦に二つになると、カインは三体目の頭部にナイフを突き入れた。ようやく、四体目がカインに気付いた様に振り向いた瞬間、独楽の様に回るカインのナイフが首を薙いだ。

 三体が黒い灰の様に消えていく中、一回り大きな個体がカインを見た。


「何が起こった。お、お前は何だ。」

「狩人。」


 振り下ろされた剣をカインは半身なって躱しながら、擦れ違い様に悪魔の首をナイフが薙いだ。呆けた様な表情を浮かべる悪魔に、カインは無表情に止めの一撃を叩き込んだ。

 護衛と思しき5人の騎士は動く事も忘れ、黒衣の狩人を見詰めているだけだった。腰裏にナイフを収めたカインは魔石を集めて、アデルに預けていたサドルバッグに詰め込んだ。

 尚も呆然としている騎士に、捨て犬に向ける様な視線を送る。町へと歩き始めた時、馬車の扉が勢いよく開いて豪華なドレスを吐き出した。


「御助力、感謝いたします。」

「あっ、面倒なやつだ。」

「悪魔族をいとも簡単に倒してしまわれるとは、さぞ高位の戦士様ではないでしょうか。」

「通りすがりの旅人です。ごきげんよう。」


 笑いをかみ殺すアデルを睨み付けて、カインは右手を上げてドレス姿に背を向けた。ドレス姿は小走りに近づいて、カインのマントを掴んだ。大きな溜息を吐いてカインは歩みを止め、あからさまに顔をしかめて振り向いた。そこには金髪の少女が薄い桃色のドレスに身を包んで、英雄に出会った様な輝いた眼をして立っていた。


「私はファインナルの領主が長女、マーガレット・ファインナルです。是非、お礼をさせて下さい。」

「気にするな。」


 振り返らずに去ろうとするカインを、マーガレットは尚も引き留める。このまま別れるのは貴族の名折れだとか、義理がどうの、義務が何とかと、早口でまくし立てた。

 マーガレットを数メートル引きずった所で、カインが溜息を吐いて折れた。そして、一行は町へと向かった。町の入り口に付くと、厳つい大男が二人を見て目を細めた。


「二人か。親はいないのか。」

「二人だ。親は死んだ。あの山の麓に住んでいたが、魔物に襲われて全滅。俺達だけが生き残った。」

「入らずの森近くは危険だからな。それは気の毒にな。身分証はあるか。」

「ない。持ち出せた物はこれで全部だ。」

「お二人の入町税は伯爵家が支払います。そして、二人の身分も当家が保証いたします。」


 大男に恐れも無くマーガレットが告げると、周りの護衛達が慌て始めた。助けてもらったとはいえ、見ず知らずの男女を容易く信用することは出来なかった。そんな護衛達の気持ちを読んだのか、アデルが入町税の支払いだけを頼んだ。


「これはハンターウルフの皮か。傷も無いな。商人ギルドに持ち込むと良いぞ。」

「身分証は各ギルドに登録するのが良いのですわ。登録時にもお金が必要ですから、これを持って行って下さいまし。今は手持ちがこれしかありませんので後程、然るべくお礼をさせていただきますわ。」


 マーガレットはソフトボールぐらいの革袋を差し出し、カインは無言で受け取りバッグへと入れた。その後、身分証について聞き、良心的な宿屋の情報を貰った。大男によると身分証は一定規模の町にある自警団や、各組合で発行してもらえるとのことだった。身分証は紙の様に薄い魔法金属で、名前と職業、ランクが刻まれる。真実の石板に手を置くと、名前と職業、ステータスが刻まれると言う。身分証を持たない旅人は、最低限のチェックが義務付けられていた。


「ここでは石板なのね。ステータスチェックの魔道具ね。どこも同じね。」

「世界の声でなければいいさ。スキルを得るごとに頭に直接、アナウンスされては敵わない。」


カインがそっと石板に手を置くと、名前と職業、ステータスが映し出された。じっと見詰める大男は、感嘆の溜息を漏らしてカインを見た。


「十四歳の割には大したステータスだな。ステータスだけなら、一人前と言えるな。後、一年で成人とは思えん。」


微妙な表情を浮かべて石板から離れるカインと変わり、アデルが石板に手を置いてステータスが映し出された。大男は再度、感嘆の溜息を吐いた。


「お嬢ちゃんも中々のステータスだな。これで十四歳とわな。二人とも将来が楽しみだな。魔力は無いものの、狩人にしても盗賊にしても、トップクラスに成れるはずだ。」

「はあっ!」


 アデルの後ろでカインが驚いた様に声を上げ、その場にいた者の視線を集めた。少し怒りを含んだアデルの視線が、ステータスを覗き見るカインを貫いた。


「十四歳だと。ロリバ・・・ぐほっ!」


 アデルの肘鉄を喰らって、身を折るカインは咳き込んだ。すまし顔で大男から町の情報を聞いたアデルは、尚も呟くゼンの腕を引っ張って詰所を後にした。教えてもらった宿屋に向かい、十日の宿代を払い部屋を取った。宿屋の食堂で二人は遅めの昼食を頼んだ。


「一泊大銅貨七枚。小銅貨、銅貨、大銅貨。次は銀貨、金貨ね。この皮袋、金貨が百枚ぐらい入っているわ。」

「他国の貨幣は含有量によって、多少の上下が有るそうだ。一泊大銅貨七枚、七千円程度って事か。」

「無理矢理、換算すればね。私達と価値基準が違うから、何が高くて何が安いのか判らない。このステーキが銅貨七枚なら安いと思うけど。」


 二人は大きなステーキと野菜がたっぷり入ったスープとパンを頼んで、今後の方針を話し合っていた。宿屋の娘が追加の料理を運んで来た。


「まだなのじゃ。もう少しなのじゃ。」

空♂:取り敢えず、最初の町に到着。

ア♀:お約束のハプニング。当然、ギルドでもやるのよね。

空♂:当然、ありふれた物語だから。まだまだ、続きます。

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