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魔王、脱出を画策する 魔王二十四日目

予告なく修正することがあります。

 更に数日が過ぎた。

 ニーナ達は外の様子を窺いながら、強力なモンスターが居なくなることを祈っていた。そんな僅かな祈りも虚しく、モンスターが移動することはなかった。

 ティアは使い魔を再び放ち、魔王城の周辺を念入りに調べた。少しでも安全に抜け出せる道は無いかと。その結果、とあるダンジョンの最奥に存在する魔王城の周辺は、様々なモンスターが集まり縄張り争いを繰り広げた場所でもあると判明した。


「ダンジョンに入り込んだモンスターが、縄張り争いを続けた結果、強力なモンスターが残って居座っている状態の様ですね。」

「うにゅう、これは蠱毒の呪法のモンスターバージョンなのじゃ。種族進化までして強くなっているのじゃ。あのキメラも更にモンスターを取り込んで、凄い事になっておるのじゃ。」

「ん、獣王種。」


 更に数日が過ぎ、部屋を苛立し気にうろついていたニーナが、立ち止まって顔を上げて手の平を打った。座り込んで絶望を張り付けたミリアンとティアが、目を輝かせるニーナを見て首を傾げた。


「助けを呼ぶのじゃ。きっと、ギルスとエレンも復活しておるのじゃ。」

「お二人は城にはいませんでした。はっ!もしかすると、外の世界にいるかもしれないと。」

「その通りなのじゃ。きっと、かつての強い姿のままなのじゃ。」

「ん、探す。」


 ティアは使い魔をダンジョンの外に放ち、周辺の町や村を念入りに調べ始めた。手掛かりの無い捜索は、町や村を回る事で改めて人族以外の差別を見る事になった。

 そして、一つの映像がファインナルの中へと入った。

 幾つかの建物を回り、映像は狩人養成所の中を映した。丁度、カインが大男の首を斬り付けた場面であった。


「にょわあ。いきなり、斬りよったのじゃ。」

「仕掛けたのは大男の様ですが、赤い眼の少年の敵では無かったのでしょう。」

「ん、冷静か。」


 慌てるニーナと冷静な分析をするミリアンを見て、ティアは棒読みで突っ込みを入れた。尚も、辺りを映し出す映像が、一組の男女を拡大して止まった。

 そこには、灰銀色の髪の精悍な顔つきと長めの犬歯が特徴的な少年と、同じく灰銀食のロングヘアーをなびかせる美少女がいた。


「ギルスとエレンの魔力なのじゃ。ふっふっふ、二人に助けてもらうのじゃ。」

「魔王様。よくご覧になって下さい。お二人の姿が変わっています。」

「ん、縮んだ。」


 喜ぶニーナはミリアンの言葉に映像を凝視し、ティアの言葉と同時に大きく目と口を開いて固まった。映像はエレンに近づくと、跳び上がったのか上下に激しく揺れた。暫く揺れた映像は、ギルスの横顔をアップにしていた。


「鼠にエレンは駄目々々なのじゃ。エレンは猫人族なのじゃ。」

「鼠は猫人族にとって、狩人ゲームの討伐対象でしかありません。」

「エレンは指で小さい玉を弾いて、鼠を大量に駆逐していたのじゃ。」

「狩をするエレン様の笑顔は素敵でした。」

「ん、現実を見る。」


 遠い目で会話するニーナとミリアンに、ティアの気だる気な一言が突き刺さる。ギルスとエレンを映していた映像が、次々とブラックアウトすると消えて行った。幾つかの映像は高い所から撮影してるものにかわり、苦笑するギルスと辺りを見渡すエレンを映していた。


「鼠がエレン様に駆逐された様です。何匹かは鳥に捕食され、屋根の上から撮る事に成功した様です。」

「一匹はギルスの頭に乗ったのじゃ。エレンもギルスの頭を叩く事はしないのじゃ?」

「ん、微妙。」


 暫くの間、ニーナ達は映像を黙って見て動かなかった。そして、ニーナとミリアンが同時に、映像を見詰めるティアに顔を向けた。何事かと後ずさるティア。


「早くギルスとエレンに助けを求めるのじゃ。城に来るように伝えるのじゃ。」

「ん、ミリ。」

「はっ、鼠や鳥は話す事が出来ない・・・から?」

「ん、正解。正解者に拍手。」


 切実な表情で訴えるニーナの言葉に、ティアはさも当然と言った表情で答える。そして、重大な発見をしたようなミリアンの言葉に、満面の笑みを浮かべて拍手した。


「使えんのじゃぁ。出られないのじゃぁ。退屈なのじゃぁ。」

「あっ、ダンジョン探索の授業もある様です。ここに来る可能性もあります。」

「やって来ない可能性もあるのじゃ。」

「ん、動いた。」


 ギルスとエレンは移動してカインとアデルに近づいた。言葉を交わしている間、映像にはアデルの金色の瞳が映っていた。夕方になりカイン達は宿屋に戻って、四人でテーブルを囲んだ。食事を口に運んでいる間も、アデルの金色の瞳が真っ直ぐ映像に映る。


「あの女は妾達が見ていることに気付いておるのじゃ。」

「使い魔である事はばれているようですね。魔力の流れが見えているのでしょうか。」

「恐らく、高レベルの魔法師なのじゃ。」

「ですが、貴族ではありません。狩人になるのですから。」


 ニーナ達はアデルが鼠を、ティアの使い魔だと気付いている推測した。養成所から宿屋までの道中、映像がアデルを映すと必ず視線が合った。使い魔は言葉は伝えられないが、会話を聞くことは出来た。


「ギルスとエレンはあの二人とパーティーを組んだのじゃ。」

「カインと言う者は残忍な男ですね。無言で無表情に首を斬りましたよ。」

「魔王軍にもいたのじゃ。敵には情け容赦なく殲滅する奴が。」

「あの方は、向かって来る敵には容赦なかったですが、逃げる敵を追い駆ける事はありませんでした。」

「ん、腹減り減り。」


 何処か懐かしむ様な表情で話すニーナとミリアンは、空気を読まないティアの言葉に苦笑を浮かべた。調理場でミリアンが数種類の料理を作り、ニーナ達は言葉少なく夕食を摂った。

 翌日、ギルスとエレンは狩人養成所には行かず、カインとアデルと一緒に近くの森に向かった。薬草を採取する四人は、数匹の狼と遭遇した。剣を抜くギルスと少し怯えた表情のエレン。薬草を採取し続けるアデルと、溜息交じりにナイフを手にしたカイン。

 次の瞬間、カインの姿が消えると、狼の首に赤い線が浮かび上がる。五体の狼が崩れ落ちるのと、ギルスとエレンがへたり込むのが同時だった。


「魔王様。見えましたか。私はあの者の動きが見えませんでした。」

「ん、神速。」

「妾にも見えなかったのじゃ。五体のハンターウルフが同時に倒れた様に見えたのじゃ。」

「ギルス様とエレン様も弱体化していると御見受けします。」

「ん、弱々。」


 五体のモンスターを瞬殺したカインと、ハンターウルフに怯えたギルスとエレン。ニーナ達はギルスとエレンの置かれている状況を理解すると同時に、自分達の状況を改めて理解した様だった。


「しかし、妾は諦めないのじゃ!退かないのじゃ!省みぬのじゃ!」

空♂:もうすぐ合、流するのだ。

ア♀:二作目は読む人間も少ないわね。改変すると言っていたのに二作目?

空♂:うにゃ、改稿はするのだ。多分・・・

ア♀:期待しないで待っているわ。

空♂:まだまだ、続きます。

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