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プロローグ 第一日目

 ありふれた異世界での物語。何処にでもある在り来たりの話。剣と魔法のファンタジー。

 異世界に転移した二人は、始まりの町でダンジョンを見つける。同じく、転生した二人が仲間に加わり、ダンジョン攻略に挑む。

 ダンジョンの最奥で四人が出会ったものとは。

 かつて世界は数多の種族が、数多の地域で覇を競いあっていた。戦いの中で多くの命が散り、幾つもの勢力が消えていった。その中で、魔王が率いる魔人族と、人族の大国になった王国が残った。

 膨大な魔力と人智を超えた戦闘力を持つ魔王が、人族の中に生まれた勇者に討たれたのだ。

 長い長い混沌が終わり、争いの無い歴史が始まり数百年が過ぎた。


 一筋の光さえない漆黒の闇の中。動くものの気配は感じられない。

 血の様に紅い光が一つ灯ると、同じ色の光が何かを囲む様に灯った。その数、八個。真紅の光から時折、紫の光の筋が走る。上から見るものが居れば、八芒星と理解したかも知れない。

 その中心に淡い紫の光が生じ、徐々に濃くなっていく。光は一つの形をとり始め、まるで光の人形に見えた。蹲っていた光の人形がゆっくりと立ち上がり、首を廻らせて辺りを確認しているのか。

 それは生まれた。



 鬱蒼と茂る巨木が立ち並ぶ森の中に、突如と広がる小さな草むら。周りには大人が抱えきれない程の巨木が数えきれないほど立っているのに、円形に広がる草むらには小さな枝すら生えていない。中心には大きな黒い岩が、重厚な存在感を放っていた。

 突如、巨岩が眩い光を放ち、辺りを光で埋め尽くした。強烈な光が弱まると、二つの人影が立っていた。光が完全に収まると、サイズの合わない服を着た男女が立っていた。


「どうしてこうなった。」

「やってくれたわね。解析。」


 男と言うよりは男の子と呼ぶ方が良いだろうか。整った顔立ちをしているが、どことなく冷たく見えるのはその真紅の瞳のせいか。瞳孔らしきものはあるが、赤の中に無数の黒い点が浮かんでは消えていく。それは人間の瞳とは言い難かった。女の子の方は大きな溜息を吐くと、大きな金色の眼を輝かせた。幼さの残る顔立ちだが、将来は約束された美形。誰もが成長した女の子を見たいと思うだろう。


「時間を戻された訳ではないわね。外見を圧縮したみたい。知識はそのままだけど、HP、MPを含むステータスは身体に比例して、低下しているわ。大体、六割ね。」

「四割も低下しているのか。」

「違う。四割しか残っていないの。私は八割を解除方法の解析に回す。初級術式以外は使えなくなる。私を守ってね。」

「むう、俺は解析に多くを回せんな。全力の三割程度か。天竜なら何とかなるが、星竜にエンカウントすれば無傷とはいかんな。」

「三割で星竜に勝てるのね。この姿でも出鱈目な性能ね。私、最小限しか魔法は使わないからね。」

「むう、少しは働いて欲しいのだが。インベントリは使用可か。助かった。」


 うんざりした表情を浮かべる男の子は、何処からともなく模型のロケットを取り出した。同じく、不機嫌な表情を浮かべる女の子は、地面に座り込むと静かに目を閉じた。

 玩具のロケットが空高く消えると、男の子は巨岩を中心に幾つかの機械を置いた。


「直径一万三千キロ弱。ほぼ、俺達の世界と変わらんな。どうして、このサイズにするのかな。」

「知らないし、知る必要がある?あっ、キャラバンを見つけた。リライトする。」


 少し慌てた様に女の子を振り返った男の子は、女の子の言葉に表情を曇らせた。小さな声で女の子が呟くと、男の子は遠慮なく眉間に皺を寄せた。女の子が小さな溜息を吐き、男の子は額に手を当てて首を振った。


「これだけは慣れんな。」

「近くに町があるわ。身分証が必要みたいね。何処かのギルドに所属した方が良いみたいね。」

「冒険者か狩人、盗賊でも商人でも構わん。ギルドに所属するしかないな。」

「今回はキャラ設定するの?」

「むう、無法者、拙者?ニンニン?。」

「ニンニンって何?もう、変なロールは無しの普段通りで。私はもう少し、目と耳を飛ばして世界を見てみる。貴方は衛星を使って、物理的に世界を把握して。」

「了解。」


 二人はお互いを見て、小さく頷いた。そして、方針が決まったらしい二人は、数日を巨岩の側にテントを出して過ごした。時折、男の子が森へと消え、兎や鹿を担いで戻って来た。


「服や装備はサイズが合わないわね。フィッティング前の装備は何が有るのかしら。」

「革鎧が幾つかある。あと、雲丹黒屋の服ならあるあるが。」

「アンダーアーマーはスライムクロス。鎧を出して。」


 男の子は何もない空間から、数組の革製鎧を取り出した。暫く、目を閉じていた女の子が、笑顔を作って鎧を見た。


「問題無しね。但し、竜種は駄目よ。そっちの牛革の鎧にしましょう。私はこっちね。」

「また、俺が黒か。別にいいけど。黒のなんとかと赤のなんとかと二つ名が付くぞ。」

「二つ名が付くような事をしなければいいのよ。平凡に暮らしながら、帰還の特異点を探しましょ。」

「前回もそんな事を言って、国を滅ぼしただろう。」


 女の子は明るい赤に近いブラウンの鎧に、二本のレイピアと腰裏にコンバットナイフを装備した。男の子は黒に近いグレーの鎧を装備し、腰裏に二本の黒いナックル付きのナイフを装備した。そして、今まで使用していた様々な機械を消した二人は、マントと鍔広のトラベラーズハット被り歩き始めた。


「名前はどうするの。」

「今回はカインにするかな。」

「私は・・・アベルじゃ男ね。アデルにするかしら。」


 途中、襲って来た狼の群れを無難に狩り、皮を剥いでインベントリへ消した。森を抜けた二人は街道へと歩みを進めた。


「にゅう、出番がなかったのじゃ。」

空♂:約一年振りの再始動なのだ。

ア♀:今回はキキではなくアデル。ゼンはカインになったのね。

空♂:そして、14歳の設定なのだ。

ア♀:時間が掛かったわね。

空♂:今回は不定期に投稿するので、遅くなること間違いなし。

ア♀:最終章の書き換えもするとか言ってなかったかしら。

空♂:にょっ!それでは、ありふれた物語に御付き合い下さい。

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