9 不穏な遺跡 前編 ※挿絵有り
挿絵有りです。
遺跡の中を進んでいると、何だか先ほどまでいた前衛拠点と違いやけにピリピリとした感じがした。
人気な遺跡と言われていた割に人の気配も全くないし、異様に静かだった……この感覚には覚えがある。
昔、旅していた時通った山のボスが丁度変わったタイミングだったらしく、山の上の方の魔物達が降りてきてかなり大変なことになった覚えがある。この感覚はそれととても似ている。
少々不安ではあるが、鉄の蜘蛛の時と比べればかなりマシな感じがしたので、遺物を見つけて稼がないといけないしこのまま進むことにする。
「う~ん、遺物探せそうな所、無いなぁ」
入れそうな建物を探して歩いているが、中々入れそうな建物が無い。
扉が開かなかったり穴などが空いてない建物は防犯設備も生きてるようで、無理矢理入ろうとすると大変な目に合うらしいので無理せず入れそうな建物を探す。
一応前衛拠点で安全に入れて修復機能がある為盗っても遺物が補充される建物の場所を示す地図を他の開拓者等から売ってもらえる事も出来るらしいが今の私には全く無縁の話。
一応入れそうな小さな建物はいくつか見つけたがどれも探索済みで遺物は見当たらなかった。
そんな感じで機械獣も現れずのんびり遺跡探索していると、突然奥の方から何かが近づいてくる音がした。
どうやら私の事を標的にしたらしく、別の方向に走ったが追ってきている。
幸い鉄の蜘蛛のような危機感も無ければ大地を揺らすほど大きい機械獣でもないようだし、遺物が見当たらない腹いせついでに憂さ晴らしでもしようかしら。
「丁度いいしこの辺で迎え撃つことにしましょう」
見晴らしがよくそこそこ隠れれる遮蔽物がある良い感じの所に出た。
追ってきていた機械獣は鉄の剣のような角を生やした鹿のような機械獣の群れで、前足の付け根辺りにも小さい銃身のようなものがあった。
……ここの機械獣は群れないって聞いてたんですけど。しかもやたらと多いし…………ていうか。
「……なんで鹿?」
互いに警戒した膠着状態……機械鹿の群れの一頭が動き出したのが戦いの始まりだった。
一頭が動き出した瞬間、群れ全体が一斉に動き出した、体の大きな群れの一頭が一匹こっちに向かって突撃してくる。
更に後ろの鹿達が射線が被らないように段々と横並びになって小さな銃身から銃弾をばらまく。
よく見るとこちらに突進してきた恐らくこの群れのボスであろう大きな鹿は他の鹿に比べて体の機械部分が多めで、体の後ろの方はほとんど完全に機械になっている為、群れからの銃弾の雨を食らっても一切効いていない様子だった。
ボスの突進をかわしざまに一発蹴りを入れる、顎を狙ったが当たり所が悪く少々外れ首に当たり足が痺れた。
この鹿、思ったより機械で覆われてない部分も硬くて闘気を抑えていた状態での蹴りでは余り効果が無さそうなので銃を使う事にする。
早速銃を構えて撃とうとしたが、後ろの鹿達の弾幕に邪魔された。
鹿達が放つ銃弾は銃の弾というよりもはやただの鉄粒を飛ばしている感じで、追い剥ぎ連中が使ってた銃より弾速も遅いので威力も恐らく闘気を貫くほどではないが、無駄に闘気を消費する必要も無いので被弾をなるべく避けるがこれではボス鹿に向けて銃を打てない。
銃弾の替えは二回分しかなく、なるべく節約したいので仕方ない消費と割り切って少々強めに闘気を開放し後ろの鹿達に一瞬で近づき蹴り壊す事にする。
後ろの鹿も硬かったが、反応が鈍く少々強めに闘気を開放したおかげで難なく一蹴りで首を粉砕出来た。
半分以上の鹿を蹴り壊せたが途中で突っ込んできたボス鹿のせいで距離を取られてしまった。
「こいつ味方もろとも突撃するなんて……機械だからそういう知能は無いってワケ?」
自分で群れの一部を破壊しておいて群れを守るように立ち塞がるなんてなんなのこの鹿……!
でも他の鹿は別に気にしてる様子もないし……これが未来の獣の群れなの!?みらいこわっ!!
ただ、大分後衛を減らせたので弾幕も薄くなりこれならボスを狙い打てる隙もある。
まずは一発速攻で撃つ!闘気を纏っていないがそれなりの反動と共に拳銃から弾丸が発射され正確にボス鹿の頭を捉えた銃弾は、しかしボス鹿の頭の角で凄まじい音を立てて器用に弾かれてしまった。
これは正面から一発で仕留めるのは無理そうだな……うまく突進を誘ってうまく蹴りを入れるしかないか?剣でもあれば話は変わったが、今の私が持ってるのはこの拳銃位しかない。
……開拓者ギルドでは槍を持ってる人はおろか帯剣している人すらいなかったがはたしてろくに魔力も無く闘気を纏う人は皆無のこの未来には近接武器の類は売られてるのだろうか。
中々突進をしてこないのでボス鹿に近づいてうまく他の鹿達の弾幕の弾除けにしつつ接近戦を試みる。
基本的にこのボス鹿も角位しか危なそうな攻撃は無さそうなので弾幕を避けつつ角を避けつつ至近距離での銃で撃とうとしたり蹴りを入れる。
どうにか致命傷を与えるべく銃で柔らかそうなところを撃ち抜いてやりたいが、銃への警戒が凄くて中々当てられそうにない。
既に三発ほど無駄打ちしてしまったので弾替えを忘れた銃の中の弾数は恐らく後一回か二回なハズ……近づく前にちゃんと確認すべきだったか。
蹴りも中々決まらずうまい具合に肩の機械部分等で防がれ奴の隙には繋がらない。
弾幕を避けつつなのでたまに避け方を間違えて角の攻撃を食らいそうになるが闘気を纏って腕で弾く。闘気を纏っていてもやはり硬いのでちょっと腕が痺れてきた。
しかしこちらも防戦一方ではなく防がれているものの何発も蹴りを入れてるのが効いてきたのかボス鹿も大分動きが鈍くなってきた。
「……ここだ!」
銃で撃たれるのを警戒して細かい攻撃ばかりだったが当たらない事にしびれを切らしたのかついに大振りの角振りを繰り出した。
身を捻りながらかわしその勢いのまま素早く闘気を込めた渾身の踵蹴りを叩き込む、ついに機械も無い部分へ会心の一撃が直撃しボス鹿が大きくよろめく、すかさず拳銃を構え頭を狙い銃を銃弾を叩き込んだ。
蹴りにより態勢を大きく崩したボス鹿は銃弾を弾く事も避ける事も出来ず、銃弾は闘気を纏わなくてもかなりの威力があり頭を吹き飛ばした。
……中々強かったが、未来で進化し機械化していてもやはり所詮鹿は鹿であった。いやごめん結構しんどかったわ……恐るべし鹿……
ちょくちょく弾を打ってきて微妙にうざかった後ろの残った鹿達はボス鹿がやられた事によりかなり動揺しているように見えた。
ゆっくり遮蔽物に身を隠して拳銃に弾を装填する。
やはり最後の一発だったらしい、ちゃんと弾が入っててよかったよ……
一息ついて残りの鹿も倒すかと思い遮蔽物から飛び出した瞬間、鹿達の横の壁が鹿を巻き込みながら爆発し土煙が巻き起こる。
一体何事かと思っているととても嫌な気配がし腕に多めに闘気を纏って防御姿勢を取る。
「いった……今度は一体何なの……?」
……突然の衝撃に吹き飛ばされ気が付いたら壁に激突していた。
幸い、かなり多めに闘気を纏っていたので腕は無事ではあるがかなり痛い……ちゃんと手も動くので折れてはいないハズ。
段々土煙が晴れて敵の正体が見えてきた。
どうやらまたしても機械獣のようだが、異常に発達した前足と大きく膨れ上がった上半身、そして二足歩行をしているようだった。
見た感じ最初にこの世界で見かけたナノサイコウルフと似てるが、どうやらこいつは虎に似ている。
さしずめナノサイコタイガーといったところか……
「あー、その……随分と鍛えてるみたいね?」
虎が大きな咆哮を上げ、こちらを睨む。
……餌ならそこにいっぱい落ちてると思うんだけど、私は手出ししないからそれを食べたらどうかな?……あ、ダメ。デスヨネー…………
特に関係ないですが一時間位で考えた既にありそうなホラー?短編小説上げました。
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