8 輸送車に揺られいざ遺跡探索!
ミスズさんに宿まで送ってもらい、空いてる部屋に泊まりぐっすり眠った。
……ちなみに宿は所詮安宿だったので、特にいうことは無かった。強いて言うなら浄化魔法が恋しいって事くらいね……次はシャワーが浴びれる宿に泊まりたいわね。
そんな訳で今日は昨日ミスズさんに推薦して貰った輸送車の護衛依頼のこなす為、昨日貰ったメモに記された場所へ向かった。
「お~、かなり大きいわね!」
輸送車は鉄で出来た大きな荷馬車のようなだった。
ただ、馬車と違って引くための馬等は必要なく人が操縦するみたい。
荷台部分は両脇に座れそうな段差がある程度で、屋根もなく簡単に外を眺めれる。
この輸送車で向かうクロクモ街遺跡のすぐ近くには小さめの前衛拠点があるらしく診療所等もある為、たまにこの輸送車で荷物を運ぶので荒野に出ると結構機械獣が出てくるから護衛として開拓者も運んでくれるとかなんとか。
行きと帰り合わせての依頼で、朝早くに出発して夕方に帰るのでその間に遺跡を探索出来るが帰りの時にちゃんと輸送車に乗ってないと依頼の達成報酬は貰えないとの事なので気を付けよう。
普通は登録したての新米開拓者は乗れないらしいけど、ある程度の人物からの推薦があれば乗れるらしい、今回はミスズさんに推薦してもらい乗れる事になったわけだ。
意外とミスズさんってすごい人なのかも?
輸送車に乗り込み色々考えていたら、出発時刻になったようで輸送車が動き出す。
荒野は結構デコボコしてるところも多いはずなのにこの輸送車はかなりの速さを出しているのにあまり揺れていない。
転生する前、旅をしていた頃に乗った馬車は舗装された道を走る時ですらガタガタ揺れてよくおしりを痛めたというのに……みらいのぎじゅつすげー。
───何事も無く輸送車は荒野を進んでいる。
輸送車を狙って襲ってくる機械獣はほとんど弱い個体ばかりだし、私が持っている拳銃は小さいし他に乗ってる開拓者達が撃って仕留めている距離で撃っても大したダメージにはならなそうだし、弾を打たずにいた。
未来の物はどれも見た事が無い風景なので新鮮でつい観察、もとい周囲を見渡し警戒はしているがそれでもやはり一人だけ少女で持ってる銃も拳銃しかなく大して防衛に貢献していないように見える(まぁ実際何もしていないんだけどね!)者がいれば絡んでくるような輩は出てくる。
「おい嬢ちゃん、これはガキの遠足じゃねえんだ。武器も持ってないガキが何で輸送車に乗ってんか知らんが、てめぇみたいなガキにはこの先のクロクモ街遺跡は少々きついぜ?それともこっそり着いてきて他の開拓者のお零れを貰おうってか?悪い事言わないから帰った方がいいぜ」
隣の男が話しかけてきた。
先程から輸送車にそこそこ魔物が来ているようだが、遺跡が見える向こう側と違い見渡す限り一面の荒野である此方側はあんまり機械獣が来ず暇なのは分かるが、忠告なのか貶してるのか微妙に分からない話しかけはやめてほしい、反応に困る。
「別にお零れ狙いで行く訳じゃないわ、ちゃんと自分一人で遺跡を探索して遺物を持ち帰る予定よ。それに一応武器は持ってるわ、この拳銃をちゃんとね」
そう言って未だに一度も撃ってないミスズさんに貰った拳銃をジャケットから取り出してひらひらと見せつける。
……思ったよりこの風景を見るのを楽しんでたのかしら、邪魔をされて少しムカついて若干挑発気味になってしまったわね。
「ふん……その拳銃、ノカーセス製のDSLだろ。確かにそれだったら拳銃の中じゃかなり高いな。クロクモ街遺跡の浅瀬はあまり群れるような機械獣もいないからそれだったら十分だろうな……その銃がちゃんと使えるならの話だがな?丁度いい。お前あそこの機械獣打ってみろよ。ちゃんと銃を使えるかこの先輩開拓者が見てやろう。この護衛任務は機械獣の討伐数による追加報酬もあるからDSL用の弾だったら特殊弾でもない限り一発で仕留められれば十分元は取れるだろうさ」
う~ん、やはりどっちかというと親切心なのだろうか……まぁ断ってぐちぐち言われるのも面倒だし一発位撃っても良いか。
よく考えたら追い剝ぎの持ってた銃は興味本位で適当に試してみたけどこの拳銃はまだ使っていない。
いざって時に使えなかったら困るし試しに撃ってみよう。
そういえば銃に闘気を纏って強化できないのかしら?近接武器より威力は劣ってたけど、エルフとかは弓矢に闘気を纏わせて貫通力を上げたりしてたしこの銃にも闘気を纏わせれば強化できるんじゃないかしら。
体に纏うだけより闘気の消耗は激しくなるでしょうけど、持ってる武器の威力を上げるのはいざって時に生死を分けるだろうしで来ておいて損はないはね。とりあえず試してみましょう。
まずは弾に闘気を込めて……よし、こんなもんかしら。それじゃ銃の弾を入れ替えてっと……狙いはこんなもんかな?よし発射!
ズガーン!と大きな音を立て発射された弾は拳銃を打った時の衝撃も威力も思ったより大分大きかったけど、体に闘気を纏っていたので吹き飛ばされずに済んだ。銃の大きさ的には結構小さい気がしたがとんでもない破壊力だった。
……そういえば銃に闘気を纏うのを忘れてたわ。
エルフが弓と矢両方に闘気を纏うのには理由があったわけね……勉強になったわ。
闘気を纏わせてなかった銃はほんの少しではあるが小さなヒビが入っていた。
まぁでもあれだけの破壊力と反動があってこの程度のヒビで済んだのであればちゃんと銃本体にも闘気を纏って保護すれば問題ないわ。
今ので大体感覚は掴んだし、弓矢と違って銃自体に闘気を纏わせてそのまま銃弾の強化も出来そうね。
「な!?この距離であれ撃てるのか……しかもあの威力は特殊弾か?DSLの反動制御もちゃんと出来てるし、嬢ちゃん実は結構強いのか?疑って悪かったな……」
「気にしてないわ。まぁ、こんな見た目だもの。色々勘違いするのは仕方ないわね」
まぁ昔龍の地から追放されて旅を始めた頃は今と同じくらいの子供の姿だったし、こうやって難癖付けられる事はよくある事だったから大して気にならないわね。城に忍び込んで夜襲してくる勇者に比べれば大したことではないわ。ええ。
その後は隣の男は静かになり、遺跡につくまで風景観賞を楽しんだ。
基本濁った曇に覆われてるけどたまに隙間から太陽の光が差し込んでそれが何とも言えないのよね。
───クロクモ街遺跡はナラト街遺跡より建物は小さめの物が多いが、それでもかなりの大きさがあり、ナラト街遺跡よりも損壊具合が小さめだった。
クロクモ街遺跡前衛拠点は一応食事や医療程度は出来る程度の小さな施設しか無かったが、それなりの人数の開拓者がいた。
見た所、皆強化服のような物を着用していて、銃も強そうだ。
恐らく浅瀬より奥に用がある人たちなのだろう、何人かはこっちを向いて少々不躾に観察していたがすぐに興味を無くした。
見た感じ、私みたいな子供のような開拓者は居ないから珍しかったのかな?まぁ特に絡んでくる気配も無いし問題無し!何だか皆少し警戒してるみたいだけど気にせず早速探索に向かうとしますか。
……マオウが去った後の前衛拠点で、先ほど絡んできた男と知り合いらしき者達が少々険しい顔つきで話をしていた。
「……おい、その話本当かよ?」
「あぁ、さっき開拓者用の情報端末にも情報が載ってたし間違いない。今日はナラト街遺跡に入るのはやめた方がいい。奥の方に突然変異の機械獣が出たらしくて元々奥にいるような機械獣が浅いところまで来てるって話だ」
「折角護衛依頼ついでに行ける日だったから今日はいっぱい稼ぐかって思ってたのに、勿体無いな……まぁそのうち都市の要請を受けてきた腕の立つ開拓者も来るだろうしすぐにまた正常になるだろ。帰りの護衛依頼の時間まで今日はのんびりしておくか……」




