5 初めての遺跡探索
最下層区域を抜け荒野を通り私が転生してきた際に目覚めた遺跡、ナラト街遺跡にまた来た。
どうやらこのナラト街遺跡はあまり人が来ないらしい。
というのもこの遺跡は都市からすぐ行ける範囲には荒廃した元都市の残骸が散らばっており、探索もほとんど棲んでるためめぼしい遺物は無くあまり強い機械獣などは出ない。
少し奥にいけばまだ遺物等があるようだが、遺跡の防衛施設が暴走状態で機能していたり強大な機械獣がわんさか出るのでかなり危険で誰も近寄らないのだとか。
つまり近場は何も無く奥は難易度が高すぎるのでわざわざ奥の方まで行く者は少ないというか全くいないようだ。
じゃあわざわざ行く理由なくない?って思ったけど一応私が転生してきた場所だし、もしかしたら古城の瓦礫の破片とか古城近くに暮らしてた他の民の痕跡とか、森の果物とか美味しい草とかがあったりしないかなって思ってね。
あの狼みたいなでかい機械獣とかも最初見た時はデカくて驚いたけどよく考えたら私の闘気を貫ける程の攻撃は持ってなさそうだし遺跡の奥に遺物を取りに行っても良いかもね。
そういえば携帯食を食べてから大分経ったからか体内の魔力がほんのり回復してるので、転生前と同様食事を摂れば魔力が無くなるまで使わなければ問題ないだろう。
万が一の場合でも、角に内包されてる竜気を体内魔力に無理矢理変換すれば少しならば大丈夫ね。
変換効率が悪くて燃費が悪すぎるから滅多にしないけど転生の秘術の際に竜気を扱うコツはある程度掴んだからたぶん大丈夫!
────荒廃した都市を奥に向かって歩いていると崩壊した地面から少し小奇麗な床が見える。
最近崩落したばかりなのか人が来たような形跡もなく、もしかしたらこの先には未発見の遺物が眠ってるのかもしれないと少し心が躍る。
人里離れた場所の古城で長い間のんびり暮らしていたが、こういう冒険が嫌いってわけではない。古城に棲む前とか時々人の国や魔族領を旅していた。
そこらへんの遺跡等で見かけた神竜大戦時代のよくわからないガラクタとかとんでもない力を秘めた盾とかを集めて古城の地下とかに適当に置いておいたらある日、大爆発を起こして古城が半壊して周りの民からめちゃくちゃ怒られたりしたっけ……
崩壊した所から入れる細い道を進むと扉が並ぶ通路に出た。
早速手前の緑色の何かのマークが描いてある部屋に入ろうと思ったら、扉が壊れているのか開く気配が無いので無理矢理力を込めてこじあげる。
部屋の中には大量の箱やら丸い鉄の筒のような物やらがいっぱい棚に置いてあった。
「物置かしら?」
とりあえず手前から色々探ってみようと思い、開けた箱の中には透明な紙に包まれた白い布?がいっぱい入ってあった。
携帯食の紙を開けてから気づいたけど、よく見たらこの透明な紙や携帯食の銀の紙は、端がギザギザしておりここからねじると簡単に開けれる事に気が付いた。
白い布の裏側にはひんやりしたねばねばがくっついており少し触れた指先からは何とも言えない感覚が……匂いを嗅いだらなんかスーッとする匂いで……
「……あんまり好きな匂いではないわね」
他にも小さな小瓶にドロッとした緑の液体が入っていたり白い粒が入ってる軽くて透明な鉄のような筒があった。恐らくここは錬金術師の作った物が置いてある場所なのだろう。
小瓶の液体は見覚えがある。たしか人の国でよく見る冒険者達が腰にぶら下げていたり薬屋で見かけた回復ポーションとか言うのにそっくり。
私はこの角のせいで追放されたけど、仮にも聖なる龍に連なる一族なので治癒力は高かったのであまり使った事が無いけど、一回だけ試しに飲んだらすっっっっごい苦かったので二度と使いたくない。
教わってないので他人を癒す力は無いけど。
「全体的に医療目的の薬品が多いわねこの部屋」
白い布の匂いは確か、腫れた肌に磨り潰して包帯と一緒に巻き付ける鎮痛効果とかがある草の匂いに似てる気がする。
白い粒はよくわからないが、薬品が多いし未来の技術で作られた何かしら体に良いものなのだろう。
売れるか分からないけど、もし回復ポーションのような物だったら多めに持って帰って使い道とか調べたら緊急手段として使えるかもしれないしジャケットのポケットに大目にねじ込んで持って帰ろう。
来た道を戻り上に上がろうとしたが、何か嫌な気配を感じたので息を潜めて通路の影に隠れる。
暫くするとかなり巨大な獣が歩く時のような地響きが地下の通路を揺らし、段々と近づいてきたソレは崩壊した所から外を歩いてるのが少し遠くに見える。
恐らく機械獣と呼ばれるモノ……しかしその体はこの前鉄の狼のような普通の獣の体が一部鉄に覆われていたりするだけの見た目とは違い完全に全身が謎の金属で出来た異形の機械獣が現れた。
強いて言えば長い四つ足の蜘蛛のような見た目をしているそれは、胴体と思われる部分から丸い瞳のような部分がぎょろぎょろと辺りを見渡している。
もしかして、私がここに入ったのがばれた……?小さな機械獣相手なら余裕で勝てたが、流石にあのサイズの全身金属で出来た得体の知れないヤツと戦えるかは少し怪しい。
いやでも頑張ればいけるか?……等と思っていたら、こちらに向かってきた別の機械獣に向かって突然鉄の蜘蛛が光を放ち大爆発。
まぁまぁ遠いのにかなりの爆発の衝撃がこっちまで来た……うわぁ、打たれた機械獣もあの状態でまだ向かってくるんだ……半分以上体吹き飛んでんじゃん。タフすぎ?
追撃の光は最初の光ほど大きくは無かったが瀕死?の機械獣を仕留めるには十分な威力だった。
……うん、これ絶対無理なやつだ!大人しくどっか行くまで隠れとこ。
四足蜘蛛の機械獣が向かってきた機械獣を容易く蹴散らした後、騒ぎを聞きつけたのかどんどん機械獣が増えて大荒れになり、そのうち辺り一面土煙や爆発で何も見えなくなったので隠れてるままではまずいと思い死ぬ気で逃げた。
幸いどいつもこいつも巨大で私みたいなちっぽけな逃げ回る奴は気にも留められず、何とか逃げられた。
「ちょっと奥に入るだけでこれか……そりゃあ誰も来ない訳だって感じね」
今回は運よく遭遇せずに遺跡がある場所に入れたが、大分遺物を持ってこれたし暫くこっちの方に来るのはやめておこう。
……いや別にビビったわけではないけどね?!もうそろそろ日も暮れるし、夜は怖いのでさっさと帰ってこの遺物を換金しましょう!




