4 マオウはボロ布から進化した!※挿絵有り
挿絵あり
今後も気が向いたら挿絵入れるかもしれません
……どうしよう、困ったわね。
ギルドから出てすぐ見えたすべての店に入ったけどすべて入店拒否されてしまったわ……やっぱりボロ布一枚だから行けないのかなぁ。
武器屋の店主たちが言うにはどうやらこの格好、最下層の孤児以下の服装らしい。
表はボロボロだけど裏側は結構きれいなのよ???
そういや下層区域に来る前の最下層区域で見かけたガリガリの子供達でも一応服着てたわね……まぁ別に防護服とか無くても多分闘気を纏った私の体だったら銃弾位ならあんまり効かなそうだし別にいいかなぁとか思ったけど、やっぱり流石にずっとボロ布一枚は嫌だわ!どこか入れそうな店ないかしら……あ!ここなら大分最下層区域寄りだしもしかしたら入店拒否されないかも……今度こそ入店拒否されませんように~!!
────数多く立ち並ぶ開拓者向けの武装を取り扱ってる店舗でもやはりそれなりに格差はある。
この下層区域の外縁付近、最下層区域に近い辺りは特にあまり人も来ずひっそりとやめていく店が多い中、そこそこ長く経営してる店があった。
この店の店主のミスズは一人で切り盛りしているそこそこやり手の商売人。
今日もいつも通りあまり人が来ない時間帯なのでカウンターでうたた寝をしていた。
しかし店の扉を開く音で目が覚め、入口の方を見るとそこにはボロボロの長い布を纏ってる割に奇麗な金髪と見慣れない頭の装備……よく見るとそれは人体改造手術で付けられたのか頭に角を生やした少女がいた。
恐らく北部から逃げ出した子供だろうか?たしか北部の一部の人間は様々な改造手術により体が機械で出来ていたり体から謎の器官を生やしていると聞く。
「お、お邪魔します~?」
おっかなびっくり入ってくるその客人は一見お金を持ってそうには見えない服装だが、しかしよく見ると手元に一万ドーラを握りしめていた。
運よくどこかで拾ったにしては少々額が大きい気もするが、お金を持ってるならちゃんと客として対応してあげよう。
「いらっしゃい~。お客さん、今日は何の御用で来たのかしら?」
「あ、はい、えと……ぼうごふく?っていうのが欲しくて……これで足りますかね?」
たどたどしく話しかけてくる少女にミスズはすこし庇護欲を掻き立てられた。よく見たらこの子、かなりかわいいわ……こんなボロ布を纏ってるのは勿体ない位かわいい。
「防護服ね?それだとギリギリ足りないけど、安めのやつで売れ残ってるのが一着余ってるしサービスしてあげる」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
恐らく孤児のはずなのに意外と、いやかなり礼儀正しい。
深々とお辞儀をしている少女に少し待っててねと言い、店の奥にしまってある防護服を取りに行く。
心配ないだろうが、もし店の物を盗んでもちゃんと防犯用の設備は整ってるので大丈夫。
────何この銃、似たような見た目なのに全然値段が違うじゃない。一体何が違うのかしらコレ……
様々な銃や銀色の紙に包まれた謎の売り物……戸棚の紙には携帯用固形食と書いてある。
この世界に美味しい食事はあるのかな。
贅沢言わないからせめて果物的なやつでいいから食べたいわね。
「お待たせ!大人用のサイズだからちょっとサイズ大きいと思うけど、多分着れるはずよ?そこのカーテンの奥のスペースで着替えてらっしゃい、着方が分からなかったらお姉さんに聞いてね?後その……大事なものだったらごめんなさいなんだけど、ボロ布は……捨てるならこっちで処分しておくわよ?」
「あ、はい…ありがとうございます……別に大事なものじゃないので、着替え終わったら渡すので処分してくれますか?」
「分かったわ」
優しそうな店主のお姉さん、首からかけられてる名札にはミスズと書かれている。
ミスズさんに言われた通りカーテンの奥に行き着替える。
カーテンの奥の小部屋はそこそこの広さで所謂更衣室ってやつだ。
更に大きなガラスもあり自分の姿を確認できるようだ、鏡に映った自分はやはり幼い頃の自分の姿と酷使していたが、勇者と戦闘で欠けた角はちゃんと治っていたし何なら少し大きいような気もする。
開拓者ギルドで見かけた人達が着ていたような服程ではないが、負けず劣らずのサイズが大きいからか少しゆったりした一見すると別々のように見える上下一体の服だった。
何故か更に一枚上に着れそうダボッとした大きな服もあるが……もしかしてこんなボロ布着てたからお情け?
上下一体の服だけど上の部分はダボッとしたシルエットでどうやら首元から胸辺りまでにボタン替わりであろう上下に動かすだけで簡単に開いたり閉じたり出来る留め具がある。
下半身も転生する前の服とは全く違う未来仕様のおしゃれ?な服だ。
うわなにこれ、柔らかいのに固い!しかも着用したら全然ゆったりじゃなくなったし以外とピッチリしてる割にあんまり密閉感とか無いし結構軽くて服を着てる感じがしない……みらいのぎじゅつすげー。
「────うんうん、ちょっと大きいかもしれないけどちゃんと着れたみたいね。ジャケットに入ってる拳銃とポケットの弾薬もサービスしてあげるわ」
なんか滅茶苦茶サービスして貰っちゃった……やっぱり最下層区域に近いから博愛精神的なのが溢れてるのだろうか、ミスズさん、結構綺麗だしきっとそうね!
「色々ありがとうございます……この拳銃とかのお代はまた来た時にでも払おうと思います」
「ぜひ生き残ってまた新しい装備を買ってくれることを祈っているわ。本当に、ね」
ミスズさんはそう言って薄く笑った。
最下層に近いから恐らく最下層で小金でも拾った子供がよく来て、一度限りで帰ってこない事はきっと良くあるなのだろう。
昔人里で武器屋のおっさんが似たような事をぼやいてた気がする、そして恐らく私もそう見られてるのかもね。
「そのうち美味しいご飯食べれる所とか、ぜひ教えてください。本当にありがとうございました。また来ます」
「ふふっ……いっぱい稼げるようになったらね」
微笑んだミスズさんに礼をして店を出た。いい人だったなぁ……ていうかよく考えたらどうやってお金稼ぐんだ?たしかナカノは討伐依頼がどうとか遺物が売れるとかって言ってたし。
とりあえず外でてもっかいさっきの遺跡に行って遺物?とかいうの探したり適当に小さい機械獣倒そうかしら!
ポケットを探ったらさっき店で見た銀の紙が入ってた。
開けると中から四角く細長いクッキーのような物が出たので匂いを嗅ぎ……ほんのり甘い匂い?売られてる物なわけだし食べて大丈夫よね。
コリッと齧り取ったクッキーはぱさぱさしてほんのり甘い気がする程度の味付けだけど空腹状態の今なら問題なく食べれる位の味だった。
……うん携帯食らしいしまぁこんなもんよね。
はぁ、森の果物が恋しいわ……




