3 街に着いたらやる事は一つ!……新しい服が欲しい
町にたどり着くと、建物が立ち並ぶ大きな街が見えてきた。街の奥には壁と巨大な塔が幾つも立ち並ぶ……恐らく未来での貴族支配領域っぽい場所も見える。未来に貴族がいるのかは知らんけど。
「ところで嬢ちゃん。あんた開拓者じゃないらしいけど、行く当てはあるのか?無かったらうちの世話になるのはどうだ?今回のガキ共の訓練は全員あの感染獣共にやられちまったしな。嬢ちゃんみたいなつええ奴が入ってくれたら心強いぜ」
ナカノが歩きながらそう話す。
何も知らない土地で恩を売った相手の世話になるのはとてもいい案かもしれない。
だけど正直人付き合いとかそういうの面倒だし、あんまり得意じゃないのよね……やっぱり一人でのんびりが一番なのよ。転生する前の城の民は勝手に色々やってくれて便利だから良かったけど流石に組織に入るとなるとある程度決まった動きとか色々求められるだろうし……うん、無し。
「うーん、あんまり群れるのは好きじゃないから遠慮しておくわ」
「そ、そうか……まぁ無理にとは言わないさ。まぁでも気が変わったらいつでも言ってくれよな!こいつは救ってくれたお礼だ、今回は特に何の用事も無かったから生憎と手持ちが無くてな……命の報酬としては少なすぎるが許してくれ。それじゃ、またいずれどこかで会えるといいな」
そう言ってナカノは組織に報告に行くという事で別の道へ歩いていく。
私はナカノにまずは壁付近にある開拓者用の施設があるのでそこで開拓者登録をして色々聞けばいいと言われたので素直に従う事にした。
段々と高い建物等で太陽光が遮られているのにギラギラと様々な色の明りを放つ看板等が散乱する暗いのに眩しい場所に来た。
ここが恐らくこの街の下層区域と呼ばれる場所。
しばらく歩くと下層区域と上層区域を区切る壁が良く見える少し開けた場所に出た。
そして教えられた開拓者用の施設、通称「開拓者ギルド」正しくはレンゴウコウシキヨウヘイカンリクミアイとかなんトカ……ながくてよくわかんなかた……が見えてきた。
開拓者ギルドから発行される開拓者証があれば色々と便利だしこの先生きていくには何の保護もない子供はすぐに最下層区域、スラムで野垂れ死ぬから絶対に開拓者証は作っておけとナカノに念を押されたので来た。
正直街の外で生活しても大丈夫な気もするけどよく考えたら外の荒れ果てた大地、荒野には草木はもちろん水も見当たらなかったし、確実に食べられるとしても体に悪そうな機械獣位しかまともな生物はいないらしいし、とりあえずこの街で生活する事にしよう。
そういえば昔人里に行った時に似たようなものあったなぁ、人里近くに現れた魔物の討伐や危険な山の奥地にある素材の納品等の依頼を腕利きの冒険者達に手配する冒険者ギルドとかいうやつ。
最初に登録した時は魔王は代替わり前だったのかあまり活発ではなく特に問題無く色々便利なので冒険者として各地を巡っていたけど、暫く古城で暮らしてて久々に人里に下りたら角で魔族と間違われて冒険者達が襲ってきて以降行かなくなったんだよなぁ。
昔の記憶を少し思い出しながら開拓者ギルドの中に入ると、受付のような場所に人が居たのでとりあえず聞いてみる事にする。
「すみません、開拓者証?ってどうやって貰えるんですか?」
「開拓者証はこのカウンターで発行できます。発行自体は簡単でこちらの用紙の記入欄に名前や生まれ等を記入してください。名前以外は書かなくても大丈夫ですよ」
どうやら結構簡単に発行してもらえるっぽい。
名前以外は書かなくてもいいのか……それでいいのか?って思ったけどどうやら大抵の開拓者は生まれも育ちもはっきりしない最下層区域で生まれ育った者が多く、ここに発行に来る者も多くはすぐに死んでしまうものがほとんどらしいので最初はそこまで情報はいらないらしい。
まぁ今の魔力一切持たない人間達じゃ機械獣とか絶対相手にできないだろうしそれもそうか……
まぁ私も名前以外の欄は記入しづらい……というかこの未来には一族の住んでた土地や古城の民とかはもう無いのかな。
「────記入情報は以上でよろしいですか?……かしこまりました。只今発行しますので少々お待ちください」
ふぅっと一息ついて周囲を観察すると、周りの開拓者は皆やはり強化服のような物を着ており服ですらないボロ布一枚羽織ってるだけの私は非常に浮いてるかもしれない。
見渡す限り……一部顔や体が機械獣のような鉄で出来た者もいるからちょっと怪しいけどギリギリみんな人間族っぽいし魔力を糧にする妖精族は言わずもがな魔族も獣族も竜族も皆滅んだのかな……
すっごい今更だけど、こんなボロ布一枚羽織ってるだけなの何だか恥ずかしく思えてきたわね……どこかで適当に服を見繕おう。
一応ナカノから「救ってもらったお礼だ」と一万ドーラを貰っている。
このドーラというのはこの辺で使われてる共通通貨らしいが一万もあれば多分服の一着くらいは変えるだろう。
「お待たせしました、こちら開拓者証となります」
「ありがとうございます。所でこの辺で服が買える所ありませんか?」
「防護服でしたら、ここを出て少ししたらハンター向けの店舗が幾つかあるので、そちらをご利用してください。看板に銃が描かれてる店であれば防護服以外に銃等も取り扱っております」
どうやら防護服というのは強化服のような動作補助等は無いけど耐刃や耐弾性等、まぁとにかく固めの服の事らしい。
防護服は登録したての開拓者でも開拓者証があれば結構割引して貰えて普通の服を買うより少々安いらしい。
とりあえず受付のお姉さんが教えてくれたのでお礼を言い開拓者ギルドを出て適当に探すことにした。
看板に銃が描かれてる店はすぐに発見した。というかもう出てすぐに色んな所にあった。
これだけあると逆にどこに入るか悩む……あ、あそこの看板の銃の色、私の髪色と似てるしあそこにしよう。
あ、でもこんなボロ布羽織ってるだけの子供は入店拒否されちゃうかな……まぁ店は他にもいっぱいあるしダメだったらまた別の店に行けばいいわね!いざ、お邪魔しま~す。




