23 Cティタラス地下遺跡 その六
ヒサメを吹き飛ばして壊れた壁から出てきた禍々しい見た目の鹿が転がってくるがそこまで速くない為竜気を纏っている今の状態なら避けるのは容易く、そのまま通り過ぎた鹿は壁を破壊しながらUターンし戻ってくる。
流石に最初はそこまで速くなかったが何度か回避し段々速くなっている鹿へ躱しざまにGELで竜気を込めた銃弾を見舞い無理矢理止める事にする。
竜気を込めた銃弾は凄まじい威力で鹿の体を吹き飛ばすが回転の勢いは消えず、しかしグラグラと揺れながら通り過ぎた後は戻って来る事は無く派手に転倒した。
「竜気を込めた銃弾も桁違いの威力ね」
後数発撃ったら銃がバラバラになっちゃいそうな位馬鹿げた威力だけあって鹿の八本ほど生えてる後ろ脚を根元から三本持ってった。
上で相手した木の異形と似たような感じがするので再生能力があるかと思ったがそんな事は無く吹き飛ばした足の根本はぐにょぐにょと蠢いてはいるが再生する気配はない。
転倒から立て直した異形の鹿が口から火のブレスを放つ。
今まで光線やら銃弾やら打ってくる奴等ばかりだったから何だかとても遅い攻撃に見えるがそれでも口が五つとなると範囲がすさまじい。こいつが転がって壁を壊して部屋が広がってなければ一瞬であのブレスの餌食となっていただろう。
ブレスによって火が着いた肉塊を吹き飛ばしながら突進してくる異形の鹿が角を振り回してきたが竜気を纏った蹴りにより角を破壊しそのまま流れで頭部を蹴り上げた。
「ただでかいだけで大して強くないわねこいつ、とっとと片付けちゃいましょう」
竜気を纏った銃弾を放ち口を二つ弾け飛ばす、奴が悶絶しているような気がする。
あのデカい木みたいなやつと戦った時も思ったけど、恐らく神滅闘気や竜気を纏った攻撃であれば此奴等は再生しづらくなるような気がする。
何だかさっきから撃った所がぐにょぐにょと蠢いてどうにか再生しようと頑張ってる感じするもん……余りにも竜気が強すぎてなんだか弱い者いじめしてるになってきちゃったわ……
「食らいなさい!」
そろそろ体が竜気に耐えられなさそうなのでありったけの竜気を込めた銃弾を発射し奴の頭を貫通し胴体を破裂させ……突然現れた異形の鹿はぐじゅぐじゅぶしゅぶしゅと嫌な音を立てながら泡になりながら蒸発していった。
「うえ~きもちわるっ」
しかしあっけなかったなぁ……と思いながら眺めていると突然異形の鹿の肉塊の泡が一気に弾け飛んだ。
何事かと思って飛び退き、暫く様子を見ると……何やら人型?のような物を探知で捉えた。
「……ふわあぁ~。何だか長い時間眠ってたような……はれ??何だか記憶が……う~ん思い出せない……」
煙の中から現れたお腹の大きいとろ~んとしたお目目の巻角が生えた獣脚の小さな子供が何やら寝ぼけたような声を上げた。
「あぁ……そうだ、思い出した……忌々しい竜族め。はぁ……ってもしやそこにいるのは竜族!?!?」
「いや違いますけど……」
ヒサメがぶっ飛ばされる前に我が神とか言ってたしもしかしてこいつはこの化物に封印されてた神か?
神気はほんのりと感じるがあんまり嫌な雰囲気はしないし悪い神ではないのかもしれないが、どちらにせよもう体が限界だわ……慎重に竜気を少しづつ角に戻してっと……ふぅ。うあ~~~どっと疲れが~~……
「私は聖なる龍に連なる一族のムあrゥおうルという者です~~~確かに角は黒いし目は赤いけどこれは生まれつきで~~~そのせいで忌子として龍族の住まう地からも追放されたはみ出し者です~~~~なのでどうかお慈悲をカミサマ~~~~」
ぐにゃ~っと体の力が抜けてその場にへたり込みながら命乞いをする事にした。
流石に神ともあろうものが名を明かして命乞いをする者には手をかけまい。
「お、おおん……何だかお主も中々に苦労しているようだの……まぁどちらにせよ今のわしにも余り力は残っておらぬ、それによくよく思い返せばお主はあの肉の牢獄から救ってくれた恩人。礼を言うん、聖なる龍に連なる一族の……むあおん?とやらよ」
……もしかしたらコイツだったら神なんだし龍語でも聞き取れたりしないかしらとか思ったけど全然伝わってなかったわね。
「マオウ、ヨ。」
「ムン……どうやら相変わらずここを離れる事は出来なさそうだの、折角じゃし助けてくれたお主に加護を授け「いや結構ですいりません断固拒否します」んん……そ、そうなの……」
神から力を授かる時はロクな事が無いので早め早めに断るのが正解。
「……は!?ど、どうなったの!?ってあれはもしや……やっぱり!アナタは我らが神!!ってお前!竜族の尖兵!!!まだ生きてたの!??!」
うげ~~~面倒なのが目覚めちゃった……
「おおん?その翼はまさか妖精族の!?まだ生きておったとは!嬉しいの!この倒れてるのはマオウじゃの!竜族の尖兵ではなく聖なる龍に連なる一族のようで私をあの肉塊から解放してくれた恩人なのじゃ!!丁重に扱うのじゃ!!」
「えぇ!?そうなの!?尖兵じゃなかったの……でも魔角族でもないの……聖なる龍に連なる一族って何なの?」
「うむ~ん、色々話す事は多そうであるのぅ、でも今は目覚めたばかりじゃがこの地を整備しなけらばならぬ……そうじゃ!そっちの妖精族の、お前は私の加護を受け取るかの?」
「えぇ!?私が加護を!?いいの!?ぜひ欲しいの!!!」
「もちろんじゃ!加護を渡しておくのじゃ。と言ってももう絞りカスにも満たない微妙な加護じゃの……ほい!これでちょっとだけ腰が強靭になって人差し指と中指が器用になったのじゃ!あといつでもお話しできるのじゃ!」
「わぁい!うれしいの!ありがとうなの!」
……何かマイペースな奴等だなコイツラ、まぁ妖精族はそういうものだったなそういえば……たまに古城に遊びに来てた妖精族もこんな感じで勝手に盛り上がってた気がする。
「ここは神格化した竜族から隠れる為に作った場所……じゃがどうやら地上から侵入されたという事は見つかってしまったのだの?まぁ受肉に失敗した我々をわざわざ今更排除しに来るとは思えないが、入れないように色々とやっておかねばならぬな。お主らは一度帰るが良いの、そっちのマオウ、色々話したい事もあるしまた今度そっちのヒサメと一緒に会いに来るのじゃ」
「確かに、一度帰って一族に伝えますの……それではまた来るの!!」
……いや私も連れて帰れーーーー!!!!あぁ、意識が……




