18 Cティタラス地下遺跡 その一
エレクトロワームが開けた大穴は、それなりに整備されて頑丈そうな扉で区切られ黒い鉄柵で囲われた大きな螺旋階段で降りられるようになっており、下に付くとあの時みた大きな扉と二つの未来バリスタ……れえるがん?だったっけ?が見える。
ちなみに遺跡の名前は大抵元々使われていたのであろう地名が使われるようで、れえるがんの近くに落ちていたカードキーとやらにティタラスと書かれてあったらしい。
大きな扉は前来た時は完全にしまっていたが今はほんの少し空いており、人が三人位なら横になっても通れるくらいの幅があった。
にしても改めて近くで見ると本当にデカいなこの扉……人族の帝国は大きな壁で覆われており入口には大きな扉があったけど、あれより数倍もデカい。
それにしても、閉じきってたはずなのに一体どうやって扉を開けたのだろうか……いやでも思いっきり押したら意外といけるのか?
「ふんぬーーーーー!!!!」
「……何やってんだ?マオウ……変な事してないでとっとと行こうぜ」
ちょっと闘気を込めて扉を押してみたらコウジロが冷めた目でこちらを見てきた。
ちなみに全く動かなかったのは言うまでもない。
ちなみに今回の遺跡調査の探索班と呼ばれる私達指名依頼を受けた人達は十人程でで、ギルドから決められた三人組だと一人余るのでうちの班は四人組で動くように言われたので、私、コウジロ、重症三人組の一人キリベエと、「ヒサメ」と一言名乗った大きなフードを深々と被り顔を隠している開拓者と行動する事になった。
───内部を慎重に進んでいる、今の所特に気なる事もないし感染獣も出てこずただただ赤黒い肉塊が辺り一面に張り付いた気が滅入りそうな道を進んでいる。
意外と道は真っ直ぐなのだが足元の肉塊が邪魔で進みづらい。
「しかし、通路ばっかりで扉とか一切ねえな……いやもしかしたら肉塊で覆われてるせいで気づかないだけか?」
四人組の中で最もランクの高かったコウジロを班の隊長とし進んでる中コウジロがふと呟いた。
「ねぇコウジロ、この肉塊って壊せないの?隠れてる扉があるかもしれないなら全部壊せばいいじゃない?」
「ん?手榴弾とか使えば壊せると思うが……当たり前だが血渋きが飛ぶんだぜ?万が一血がかかったり破片が肌に当たったらいちいち治癒薬飲まなきゃならねえ。治癒薬は高いし帰ってもう一回買うのも手間がかかるからなるべく節約したいし、むやみやたらと壊すもんじゃないな」
確かに入る前に買わされた治癒薬はとても高かった……おかげで今日の宿代も怪しいくらいには。
「だったらしょうがない……」
「まぁそのうちは入れそうなところがあるんじゃないか?所々壁がむき出しの場所もあるしな……お?階段があるな、気を付けろ。よりにもよって縦型巨大遺跡か……まぁ一層目には何もいないみたいだし下に降りてみるか」
どうやらこの遺跡は縦型遺跡と呼ばれる下へ伸びる遺跡らしい。
一層目は肉塊ばかりで何もなかったが、二層目に降りると早速感染獣と思われる肉塊が……いやただ動くだけの肉塊か?
「お!ようやく感染獣が出てきたな!」
どうやら感染獣らしい……まるでダンジョンの掃除屋と呼ばれるスライムのようなぶよぶよの肉塊がのそのそと動いてる所を素早くコウジロが射撃し、スライムと違って全身が粘液ではなく肉塊なので簡単に粉々に砕け散った。
「目標撃破、他の敵影も無しと……しかし軟体系の汚染獣か、こりゃかなり稼げそうだな。他の隊は別の道を進んでたよな?もしかしたら他の道も階段があって繋がってるかもしれないな。先に行かれる前にどんどん進むとするか」
感染獣は大まかに分類があり、今のような軟体系と呼ばれる感染獣が出る汚染地域は簡単に倒せる割にそこそこ価値が高い遺物がゴロゴロ手に入る為見つかってすぐだとかなり良い稼ぎ場になるらしい。
今回は地上の遺跡ではなく地下遺跡なのでその分面積が狭いと思われるので激戦区になる事間違いなしなので探索班として動ける今のうちに一杯異物を回収しておこうという事でこれまでより足を速める事になった。
「───思ったより狭かったな……しかしまた行き止まりか。大分広いから何かあると思うが……肉壁が邪魔だな」
あれから少し探索したがほとんど道かつ入れても何も無いような部屋ばかりで、三層へと続く階段も見つけ降りたが出てくる軟体系の感染獣も少ないし全く強くないので正直暇だ。
「……あ!ここの隙間の奥、何だか空間がありそうな感じがするぜ!」
キリベエが何かを見つけ声を上げた。
どうやらこの広間の壁の隙間に更に奥に行けそうな空間を見つけたらしい。
「本当か!?……たしかにこの隙間から奥が少し見えるな、よし、一発ぶち込んで壁を壊すか。俺が爆発するから、他の三人は部屋の入口で警戒しててくれ」
───部屋の入口で見張って暫くすると、中から爆発音が聞こえ中から「よし!穴が開いた!行くぞお前ら!」とコウジロが大声を上げた。
「向こうに四層目へ向かう階段が見えるな。ここも広いが特に何も無さそうだしとっとと降りるか」
辺りを見渡すとここも相変わらず肉塊で覆われており所々壁が見えるが他の場所と違いかなり上の方にも開けており何か管のようにも見える肉塊があった、奥の方に下へ続く階段が見える。
階段へ向かおうと歩いてると嫌な気配を感じ周りを見……いやこれは上だ!
「上から何か来るわ!」
咄嗟に声を上げ全員が上を見上げる。
先ほど見た管のような物から飛び出し何かが階段前に落ちて来た。
竜角による生体探知はしていたが天井まで高すぎてうまく探知できていなかったか。
飛び出した棒状の肉塊は階段前に突き刺さると、急激に木の根のような黒い肉塊を伸ばしその場に張り付きその場の肉壁と繋がった。
「何だこいつは!?こんな黒い枯れ木みたいな感染獣見た事も聞いた事もないぞ!ここは一旦退却し───」
肉壁と繋がり操ったのか、いつの間にか来た道は塞がれていた。
「どうやらこいつを倒さないと先にも後にも行けないようね……」
まるでその通りだと言わんばかりに黒ずんだ枯れ木のような肉塊から伸びた触手による先制攻撃で戦いの火蓋が切られた。




