17 まさかの再会
見間違えるはずがない……あの神の祝福を一身に受けた象徴のピンク色の髪、片方溶けていて片刃の剣になっているが相変わらず途轍もない神気を宿す聖剣、そして極めつけはあのちょっと頑張ってキリッとしたような生意気な顔!!!あと今の私と同じくらいちんちくりんな体!!!!
突然私が住んでいた古城に襲来し山を越えた先の魔王と勘違いして私を多人数で追い詰め使った事もない変な秘術に頼らせてこの遠い未来に来る原因となった勇者がなぜこんな所に!?
まさか秘術を練ってる最中に切りかかってきたから巻き込んで一緒に未来に来たのか?
何で気づかずにこんな近づいちゃったんだ私は……こ、これはまずい……あの勇者一度決めた事は中々変えないタイプな気がするし絶対私が生きてるのがばれたら絶対殺される!!ってうわこっち来た!?もうばれてるー!!?うわああやばいこのままじゃまたあの聖剣で自慢の槍をへし折られて鎧ごと足を砕かれて魔法を撃っても雷が帰ってくるし殴ったら痺れて結局またあの剣の聖気で全身ズタ「ねえ君、ここは一体どこ?」
「ボろぇ!?!?!」
「ん?どした?」
……あれこれもしかして忘れてる?
「ぇと……」
「ん-?もしかして私の事を知らないのかい?私は人族の勇者!洗脳と力で魔族領を支配し大陸の完全支配を目論む極悪非道な魔王を倒す為に旅をしてたんだけど、実は魔王と戦っててトドメを刺そうと思って切りかかったら突然女神さまの光が強くなって気が付いたらここにいてさ!見た感じ、君は魔族だよね?何だか見慣れない服着てるけど……女神様からは魔王を倒せって言われてるけど、私的には悪くない魔族は別に倒さなくても良いかなぁって思ってるんだよね!君は洗脳されてなさそうだし見逃してあげても良いよ!それでここがどこか知ってるかい?全く見た事もない場所で困ってたんだ!」
あ、これ違うわ!私が幼くなってて気づいてないんだ!!
よく考えたら出会った時から最後まであのイカツイ呪いの鎧付けてたはずだし、頭もでっかいバケツみたいなヘルム着けてたわけだからそりゃ分からないか……
はあ~何か滅茶苦茶ビビって損しちゃいましたわ~。
ここはばれないように自然に……初対面の振りして……
「いや全然会った事無いですわねめっちゃ初対面ですわ~!まぞく?めがみ?まおう?っていうのは良く分かんないですけれど!この辺は最下層区域で治安が悪いから向こうの下層区域付近に開拓者ギルドっていうのがあるからそこに行けば色々優しく教えてくれるはずですまよ~~~!!」
や、やってしまった~~~!!!ばれないように自然にしようと思ったのに、まさか勇者と再会するなんて思わなかった衝撃と生前(いや生きてるが)に刻まれた恐怖のせいでなんか変な口調になっちゃった~~~!!これじゃ不審に思われて……
「あ、あぁ!魔族領にもギルドがあるんだなぁ。向こうの方か、ありがとうね!やっぱり魔族でも分かり合える子はいるんだなぁ!それじゃ、またね!」
ぜんぜんだいじょぶだった!!!何なのこの勇者……てか私が子供の姿だからって頭撫でんな!撫でるの普通に下手だし!!!!大体そんな大きさ変わらないだろ!!!それにもとは私の方が大きかったし!!
……まぁいいわ、どうやら気づいてないっぽいし、これから先も名前さえばれなければ意外と誤魔化せるんじゃないかしら……?
全く、相変わらずとんでもない神気を垂れ流してたわねあの聖剣、魔力が無くなってる世界なのに……神々は聖女やら勇者やらに与える神気を通して世界を見ているって聞いた事もあるけどもしかしてあの聖剣越しにまだ見てる神がいたりして……まぁいたら世界から魔力が無くなるなんて事起こらないし、きっととっくの昔に居なくなってるわね!
は~勇者も追い払った事だし、依頼依頼~。向こうの方ね、よし!勇者が向かった方とは違う!!よ~~~し!!!
「───たしか、この辺が依頼の集合場所だったはず……お、あれかな?」
今回の指名依頼……新たに見つけた遺跡の内部調査依頼を受けたのであろう人達が集う場所を見つけた。
相変わらず大きい輸送車だったが、前よりなんだか装甲が分厚いしでっかい銃が二つ付いてる……
興味津々で輸送車を観察していると、恐らくギルドの職員であろう男が声をだした。
「そろそろ時間になるな、人数は……ちゃんと全員いるようだ。お前達はこれより新たに発見された暫定名「ティタラス地下遺跡」の内部調査を行ってもらう。今回の依頼は遺跡を見つけた者の一部、それと都市に現存した高位の開拓者数名で構成されている。今回見つかったのはC型の汚染地域との事で、地下遺跡ではあるがあまり広いスペースは見られず中にはそこまで強力な感染獣は出ないと推測される。だが汚染地域なので中に入る際は一人最低でも四つはC型の感染治療薬を持ってもらう!」
どうやらエレクトロワームに落とされて見つけたあの遺跡は汚染地域らしい。
汚染地域とは過去の何かしらの原因により人が容易に立ち入れなくなっている場所の総称とミスズさんが前に教えてくれた。
汚染地域にもある程度特徴があり、今回の汚染地域はC型と呼ばれ赤い肉塊のようなものが辺り一面に広がっているらしい……ちょっと行きたくなくなってきたかも。
───感染獣というのは基本的に汚染地域と呼ばれる場所にいて、場所によって個体差はあれどC型の汚染地域にいる感染獣は、知能は低く動きもそこまで素早いものはいないが攻撃を受けたり血を浴びたりすると段々肌が赤くはれ最終的に赤い肉塊になり……聞いただけでも全身がぞわぞわするわね。
街で生まれたものであれば大体生まれてすぐに感染しづらくなる薬を投与され、感染獣から攻撃されたり血を浴びたりしてもすぐに処置すれば感染せずに済むらしい。
……あれ?私そんな薬投与された覚え無いけど大丈夫か?
ちなみに汚染地域はかなり高値で売れる未知の技術の遺物がゴロゴロ出てくるが、ちゃんと正規の手順に従い作られた入口から入らないと行けないらしく、こっそり忍び込むとそれだけで重罪で莫大な借金を負わされ死ぬまで……いや死ぬよりも恐ろしい地獄が待っているというのを隣のコウジロが教えてくれた。
「それだけ汚染地域で起こる現象が危険視されてるって事だ、未だに汚染地域を完全に浄化できた事が無いらしいからな」
ちなみにあの時の重症三人組も依頼で来ていた、新しい遺跡の調査は必ず遺跡を見つけた者に指名依頼が来るらしいが一応遺跡に入る前の最終確認で依頼を拒否する事も出来るとのこと。
弱い開拓者が運良く見つけた遺跡が超高難易度って可能性もあるからそりゃそうか……等と思っているとエレクトロワームと戦って大きな穴が出来た場所が見えてきた。




