14 荒野のエレクトロワーム退治 後編
地面に潜れない癖に体が大きいからかそれなりの速度を出してエレクトロワームが突っ込んでくる。
こちらに向かってくるエレクトロワームへ早速DHCAを構えて弾を打ち込む。
発射された弾は僅かに電気のような迸る闘気を纏い、エレクトロワームの電磁障壁を容易く貫いた。
闘気は本来魔法のように火を出したり突風を起こす事は出来ず、ただ身体能力を上げたり武器の切れ味を鋭くしたりする程度しかないが、転生する前に見つけた神龍大戦時代の古い遺跡の一つに一竜族とその末裔が持つ竜気と合わせて使う事により神滅闘気と呼ばれるものを使っていたという記述があった。
私は竜族の末裔ではないが、神が竜に対抗する為に作りだした上位互換的な存在の龍の眷属的な一族ではあるのでなので竜気は私の角にも存在し主に探知能力を使用する際に使う。
というか未来へ来る直前まではほぼ無意識レベルで使っていたのだが、それを意識して体に移して竜気と魔力を混ぜて使おうとすると物凄い反発して下手すると反発した勢いで体が弾け飛ぶのだ、というか昔試して実際弾け飛んだ……その時は何とか腕に逃がして片腕を吹き飛ばすだけで済んだので暫く安静にして龍の再生能力で無事事なきを得たのだが。
それからは怖くて、わざわざその神滅闘気を使う必要も一切使わなかったので使ってなかったが、転生の秘術でこの未来に転生してからは少しずつ竜気の感覚を掴んできたので、反発する龍の角の竜気と体の魔力をうまく回しながら制御する事で安定はしないものの何とか神滅闘気へと昇華した!今の所集中して角と腕まで持っていきどうにか銃に込める位しかできないがそれでも十分だった。
反発し合いながらも体の中をぐるぐるとしている魔力と竜気の奔流の制御に気をやりそうになるが頑張って耐え銃に籠め弾を発射するとほのかにピリピリと小さな稲妻が発生しながら運悪く装甲の固い部分に当たったせいでよろめく程度だったがエレクトロワームの電磁障壁を貫き確かに奴へダメージを与えた
神滅闘気は闘気よりも強力である他、使う竜によって様々な力があるらしく、どうやら私の神滅闘気は雷のような性質を持つようだ。
そのおかげで電磁障壁を突破できたのか単に威力が高いのかは分からないが相当な威力であるのは見て取れた。
神滅闘気であればDSLよりかなり威力が低いDHCAでも奴の電磁障壁を貫き当たり所が悪くともダメージを与えられるのであればこの後一発持つかどうかのDSLで撃てば相当のダメージが期待できると思い、先程と同じように反発する竜気と魔力を混ぜ神滅闘気にし構えたDSLへと籠める。
「やっぱり制御がきつい!」
暴れるエレクトロワームの隙をつき、恐らくこれが最後の一発となるであろうDSLを構えて撃とうとした瞬間、ブオン……!と大きな音が聞こえた。
音が鳴ったのはどうやらコウジロ達が向かった三本の棒が刺さったかのようなバリスタもどき……電磁砲?を動かして使えるようにしたのだろうか。
どうやらエレクトロワームはその危険性を察知してこちらへ向かうのをやめバリスタもどきの方へ向きビームを貯め始めた。
「……ふん、こっちを無視するなんていい度胸じゃない……そんなに隙を晒して私に倒されたいってアピール出来るならもっと早く教えてくれればよかったのに!!」
頭の装甲の溝が開き青く光る部分が見え、そこに向かってDSLから神滅闘気を纏った銃弾を撃ち抜いく。
大きな衝撃により空間をビリビリと震わせながら放たれた銃弾はそのままエレクトロワームの電磁障壁をぶち抜き、青く光る部分へと当たるとデカい金属が衝突するような音を出し貯めていた力が暴発したのか爆発を起こす、その衝撃で奴の頭が大きく傾き仰け反った。
そして次瞬間、バリスタもどきから太い光の柱が射出され仰け反った状態で重なった頭と胴体を貫いた。
「と、とんでもない威力ね……」
こんなとんでもない威力のバリスタが二つもある位の技術力なのに、滅んだという過去の文明(私にとっては未来でもあるが)は一体何が起こったんだか……
胴体と頭を貫かれたエレクトロワームはそのまま光の柱によって少し宙を舞い、床に落ちそのまま再び動くことは無かった。
「……うあ~、何だか終わったらどっと疲れがきたわ……もうさっさと帰って眠りたいわね」
床に座り込んで呟いてると、コウジロ達がバリスタもどきから戻ってきた。
「お疲れ嬢ちゃん!……うわ、遠目で見てもとんでもなかったけど流石に旧文明の電磁砲となると威力が凄まじいな!あの固そうな装甲を頭と胴体纏めて貫通してやがる」
コウジロ達はエレクトロワームが倒れた後端末機器の電波障害が治ったのですぐに緊急要請を出したらしく、すぐにギルド職員達がこちらへ向かってくるそうだ。
「このエレクトロワーム、頭は跡形もなく消し飛んだがそのおかげで下の方はほとんど無傷だし大分金になりそうだ。それに新しい遺跡も見つけたからかなりの報酬が期待できる……んで嬢ちゃん、今回の報酬の分け前、どうする?一番貢献したのは嬢ちゃんだ、嬢ちゃんが決めてくれ。出来れば他の奴にも少し分け前を分けてくれると助かるんだが……」
……神滅闘気の魔力消費は相応に大きく、とても疲れてるのでこういう面倒な話はパパっと終わらせてしまおう。
「ん~、じゃあ今残ってるそこの人数+私を二人として加えて全部割って、二人分位の報酬貰おうかしら」
あ、ちょっと神滅闘気を使ったせいか手がぶれたけどまぁちゃんと伝わってるわよね?
「ふ、二人分だけでいいのか!?……まぁ嬢ちゃんがそういうなら構わないけどよ……ちゃんと確認は取ったんだからな?後から文句言わないでくれよ?」
まぁ働き的にもしかしたらその程度では無いのだろうけど貢献度順で見るってなると少々複雑になるし……見た感じ生き残ってるのは私とコウジロ、後ろの重症の三人位か?大した人数じゃない。
六分の二、これで良い。私はもう早く眠りたい。
「文句なんて言わないわ。私はもう疲れたし眠いからちょっとだけ寝るわ……少ししたらギルドの職員が来るんだっけ、後の事は全部任せても良い?来たら起こしてちょうだい」
「……分かった。お前がいなければ全滅していた可能性もある、命の恩人だからもう少し恩を返したいが今回はそういう事にしておこう」
遺跡の発見はそれだけでそこそこの額が入るだろうし、エレクトロワームの残骸もかなりの値段になるって言ってたし、それを独り占めするのも悪い気がするからこれでいいのだ。決して眠くて面倒だから適当に決めたわけじゃないのだ……グウ。
「───本当に眠っちまったよ」
全く、やっぱり凄腕の開拓者ってなると何だか頭のねじが抜けてる連中が多いんだな……
床に寝そべり一瞬で眠りについてしまった少女を見ながらコウジロは少し笑った。
「しっかしこの人数でほぼほぼ報酬を山分けするとは……この程度は端金ってか」
今生き残っている俺達含めて軽傷四名、ほとんど意識が無いが体が少し潰れてたり首が曲がったりしてるが間に合えば蘇生施術が可能そうな重傷七名程か?ほとんど無傷な嬢ちゃんを二として合わせて十三……もしかしたら意識がある俺達だけの事をさしたか眠さ優先で適当言ったって事もあるかもしれないが、確かに俺達とその後ろの重傷者達を指さした。
流石に凄腕の開拓者が重傷と軽傷の違いを間違えたとは考えにくい。
未発見のそれなり昔の遺跡の発見と、最終的に遺跡の使えた電磁砲出倒したが効く銃弾を持ってるのは一人だけだったエレクトロワームの討伐……それをほぼほぼ山分けするってんだから随分懐の広い。
そこで潰れてる重傷者でもギリギリ生き残れればそこそこの儲けになりそうだな。
電磁砲が当たる直前にエレクトロワームが爆発したのが見えた、恐らく発電器官に対して特攻を持つ特殊弾でも使って破壊して誘爆したのだろう。
電磁障壁を突破して発電器官に対する特攻を持つ大型口径拳銃用の特殊弾は確か……一発二百万以上はした気がするな。
まぁそれでも山分けで良いというのだから頂けるのであれば頂く、それが開拓者の流儀。
「流石に他の奴等が貰いすぎな気もするが、本人が良いって言ってたからな……」
暫くして、ギルド職員が来たので色々後処理を行い、この眠ったままの少女……マオウをそっと車へ運び込み、椅子に眠らせた。
「こんなに気持ちよさそうに寝てるガキを、特にする事もないのに起こすってのも何かな。いやでもよく考えたらガキの義体ってだけで相当歳食ってる可能性もあるが……まぁ街に付いたらまた飯でも奢るか。今度は前衛拠点より美味しい飯が食える所にしてやろう」




