1_4ゴリラ女
俺がおかしいのだろうか?家の正面からカチコミかけてきたってことは正面玄関にデカデカと掲げられた『藤夕組』という目立つ看板で極道の家だと気づくよな?しかも大きな組織ではなく地域ではどちらかというと弱小に部類するそしてだけで、何故か影響力と財力だけがデカイ微妙な組織だ。今どき極道なんか流行らないと思うんだがどこに魅力を感じる部分があったのだろうか?
ゾンビのように何度も立ち上がる黒服達を相手に暴れまわるゴリラ女もとい飛鳥を見てるとステータスプレートが浮かんできた。
名前 三千院 飛鳥
年齢 18
職業 グラップラー(剣聖、日本舞踏家、武士)
称号 現代の巴御前 匙を投げられた家庭スキル
スキル 剣舞、見切り、気力操作
状況 激高 物理花嫁修業(免許皆伝)、家庭的花嫁修業(破門)
背中に鬼飼ってるお方かな?ステゴロで大立ち回りするゴリラ女が剣聖ってどゆこと!?
三千院家は由緒正しき日本舞踏の御三家の1つだった。決してグラップラーではなかったはずだ(白眼)
カオス過ぎて帰りたい、なにも見てなかったことにして帰りたい。ここ家だけど
「やあ、三千院さん今日はなんだか元気そうだね」
「瀧君、婚約解消ってどういうことかな?こいつらに聞いても何も言わないんだけど?」
ボロ雑巾になってる黒服が死屍累々なんだが三千院さんってこんなんだったっけ?他の事務所からも応援にきてたようで栗本もぶっ倒れてた。
「もともと家を継ぐ気は無いんだよ。明日には家と関係を絶つから家の為の婚約は自然解消かな?そういう理屈だからごめんね」
「じゃあ瀧君、婿入りする気はない?」
普通の生活がしたいだけなので女性の魅力をどうこう語る気はないけどそれでも露骨な暴力装置をタップダンスする趣味はない。鬼嫁付きの普通の人生では文字通り人生の墓場に行ってしまう。
「おしとやかな子の方が良いかな?」
プチッ、なんかそんな音が聞こえたと思ったら吹っ飛ばされていた。背中から壁に打ち付けられて肺の中の空気が漏れる。そして後から痛みがやってくる。
「瀧君、無防備だったのに反応できたのすごいね」
反応できた?何も見えなかったんだけど!?よく見ると右腕の袖が少し破れかけてた。
「とりあえず帰ってくれない?」
多分俺はかなりひきつった笑顔をしてると思う。完全に今のは俺が悪かった。もともとおしとやかな彼女と婚約解消した結果今の彼女があるのにおしとやかな女の子が良いというのはなしだよな。。。
流石に壁まで吹っ飛ばした相手に追撃するほどイカれてはなかった(?)ようで悲しそうにトボトボと帰って行った。背中に光る模様が視えたので右眼閉じたら光ってなかった。
どうやら飛鳥も目覚めちゃったくちらしい。多分それさえなければ、肉体言語での話し合いという決定打ではなく、お互いに家を出て普通の家庭を持つという道を模索するという別の道があったかもしれない。
ちょっと罪悪感あったけど力を得てしまって感情のままにふるった彼女の自業自得だ。これだけ派手にやらかしたんだから解消の口実には充分だろう。
一方的に婚約解消させたのは確かに最低だと思うけど、ゴリラ女は無理だと思った俺はきっと悪くないと思いますマル