1_3神託スキル
訳が分からないが原因は儀式のせいだよな?
ってことで夜中こっそり儀式の間に忍び込んだ。
念のためすり替えた本物の儀式衣装に着替えてお地蔵さん?を手入れする為にちょっとした布とかも用意した。流石に御神酒は用意できなかったので同じように砂糖水を我慢して飲んだ。
お地蔵さんは磨くと少しずつ表面の汚れが落ちてなんだか光ってる気がする。右目閉じたら光ってないから多分魔眼を通すと魔力的な何かが見えるんだろう。
そのまま祈ってみる。それでも駄目なら舞踊の舞で、違ってても瞑想すればいっか。
祈っても舞踊しても変化なかったから瞑想したら朧気にイメージが伝わってきた。コスプレイヤーさん、ファッションタトゥーしてるお姉さん、アフリカ部族、首長族、黒人さん、サングラスかけた黒服、極道、カジノのディーラー、極道、厨二病っぽいやつ(俺か?)、極道、死にそうなジジイ、革ジャンのおっさん、ちっさい子供、後は万里の長城とか洞窟とかどっかの山とか城の跡地とかヨーロッパの町並みとか色々流れたけどとりあえず特定は無理かな?
『藤夕瀧よ、地球は滅びの道を歩み始めました。滅びの厄災は1人の力では解決できません。もしそれに抗う意思があるなら各地にこれから現れるあなたと同じように力に目覚め始めた者を探しなさい。』
「あなたは誰ですか?」
目の前のお地蔵さんに問いかけたが返事がないので一方通行のようだ。
突然爆音がして慌てて部屋に戻る。
部屋の前には俺の安否確認の為にどんどんと扉を叩く黒服やメイドが居た。
ちょっwww今儀式の格好だから見られたくないんだがwww
眼帯、右手だけイカツイアームガード、白装束という発症しちゃった感のあるヤバい格好。
隣りの部屋の窓から入ろうかな。。。
諦めて声をかける
「何があった?」
「坊っちゃま、許嫁の飛鳥様がカチコミかけてきてます」
スルースキルの高いメイドは嫌いじゃないよ。
「とりあえず着替えるからそこ空けてくれ」
許嫁とかなんかそんなの居たな。相手はうちとは違いどこぞの由緒あるお嬢様でヤクザの家とは明らかに不釣り合いのはずである。もともとどういった事情で婚約までいったのか不明だが俺は前から家を継ぐ気はないと伝えておいたので破局は分かってるはずだ。
相手が相手だけに厨二全開な格好はやめて、黒のサングラスと長袖に黒の革手袋をはめて模様を隠すと、騒がしい音の発生源への近づいて行った。
「瀧を出しなさい。私はまだ諦めてませんのよ。」
なんか1人で大立ち回りしとるやつがおるんだがゴリラかな?あんなにヤバかったっけ?
いかにもお嬢様という感じの印象を抱いていた三千院家の飛鳥嬢にこんな一面があったとは露にも思わなかった。薙刀や和弓位は嗜みとしてやっていたことは知っていたがそれでも常識の範囲内の運動神経だったはずだ。
近づくたびに飛鳥から発せられるプレッシャーが強く押し寄せてくる。
サングラスごしだがなんか背後に虎のオーラが見えた。
先ほどの神託でいう仲間とやらが飛鳥だったとしても、元婚約者だったとしてもこんな物理的に危ない奴は関わりたくないと思った俺はきっと悪くないと思います。
ちなみに御神体の前で聞こえた神託はロシア語で語りかけていたのだが長年の狂った言語変換教育に慣れすぎていた瀧君は気づいてなかった。