0_4閑話 始まりの始まり
「勇者様、どうか滅びに向かう世界を助けてください。」
それはまともな方の勇者召喚だった。
王族も貴族も放漫ではなく、異世界人達は本当に滅びそうであり、女神様が全世界から勇者とそれを補佐するのに必要な人員を召喚した。
「これだけしか準備金を用意できず申し訳ない。どうか我々を見捨てないでほしい。何も返せないが、元の世界に帰りたい時はすぐに帰しましょう。」
女神から事情を聞いていたので一度帰してしまうと再び召喚する余力がない事を女神から聞いていた勇者は誠意ある王の言葉に心打たれ。辛く厳しい戦いに身を投じることになる。
RPGでよくあるわずかな準備金で鉄砲玉のような扱いで勇者を送り出すという状態は同じだが王族も貴族も国民も心の底から自分達が解決するべき問題を無関係な召喚者達に頼るしかない状況を恥ずかしいと思いつつすがるしかなかった。
女神からの祝福で芽生えた英雄達の能力は様々だった。
万能戦闘職の勇者、万能回復職の聖女、特化型戦闘職の剣聖、特化型戦闘魔法職の大賢者
彼らを支える戦闘偵察職の陰陽師やテイマー、補給を担いアイテムボックスの能力を持つ運び屋、薬を作る錬金術師、活躍が限られた魔眼使い、英霊の力を借りるネクロマンサー
他にもあげたらきりがない勇者を支える面々はついに滅びを止めることに成功する。
ちなみに勇者が魔王を倒す物語ではなく、勇者を代表としたそれぞれの滅びの原因をそれぞれが活躍して解決する物語である。
例えば呪いを振り撒くようになった大精霊樹は土壌を直す農家や植物管理人、錬金術師による肥料作りに始まり呪いに対しては聖女や陰陽師が対応し、精霊遣いが精霊達を導き正常な状態を維持できるように協力した。
一連の活動では勇者はただの飾りだったりする。勇者の本当の役割はバラバラな英雄達をまとめあげ、異世界人とのかけ橋となるただの苦労人であり、中間管理職のような存在であり、地味だが確かにリーダーであった。
異世界の女神は勇者や英雄達に感謝し、帰還の際にある祝福を施した。
『もしあなた達の世界に滅びを迎えそうな事態が起きた時あなた達の子孫から滅びに対抗できる勇者と英雄が現れるように祝福を授けましょう』
これは遠い昔の異世界から地球に贈られた祝福
しかしながらたまに、先祖返りで特別な力に目覚めてしまう者も居た。その多くの英雄の子孫は力は支配者層にとって自分達が特別な存在であることを、宗教にとっては信仰(信者)集めに、両方にとって邪魔な存在として教会認定の魔女や悪魔として軍や専用のハンターに迫害されるようになったのである。祝福を持つ者の子孫の最後の1人が死に、祝福の一族が滅亡するとその他で祝福の力を回収するものを待つ地縛霊のような存在となる。
先祖返りしにくい種類の祝福の子孫では他の祝福と違い、祝福の力についての伝承は簡単に途絶えてしまう為、もし先祖返りが起きてしまうと縁起の悪い子や悪魔付きとして物心つく前に殺されるか捨てられてしまう。教会にとって都合の良い存在なら巫女や聖人として奇跡の担い手として神輿にされるのである。
近い地域に祝福の子孫が存在した地域ではもともと数の少ない祝福の子孫同士が混ざり合うようになるようになる、2種類以上の祝福が同時に先祖返りしてしまうと祝福の力が反発しあい奇形になったり障害を持って生まれてしまう。
ちなみに藤夕の一族の当主を引き継ぐ者は他の一族と違って必ず祝福の力を宿す場所に魔方陣《模様》が数え年で19になるタイミングで浮かぶのである、代々当主限定で祝福の力を宿す為、苦肉の策として組に所属する者の身体に模様を敢えて彫ることで異常な力を持つ当主の存在をその他多くの何も力を持たない構成員の中に隠すことで異端狩りの目をごまかしていた。力の謎を解明しようと模様を持つ者を捕らえて調べても何もでず。
先祖をたどれば歌舞伎の一座だったり○山の金さんみたいなことしてるのも居る。。。
そして現在でもその伝統は続いており祝福の印を隠す為に形を変えて極道の看板を掲げている。
一族は好きで極道をやってた訳ではない。
女神様からの祝福を絶やさないように日陰の道を歩んできたのだ。
彼らはただ血を次代に繋げる役割を持っただけのモブだが1人1人が地球を救う英雄だったかもしれない。
ちなみに瀧君の拾ってしまった悪霊は絶滅してしまった英雄の祝福だったりします。
やべえこれ膨らませたら作品作れそう(白眼)