0_1こんな家はもう嫌だ(エピローグ1)
俺は普通の生活に憧れる高校3年生の藤夕瀧だ。
このままでは藤夕家を無理やり継がされる。そんなのはまっぴらごめんだ。
『坊っちゃま、時間です。お召し物をもって参りました。』
俺の朝はメイドの声から始まる。メイドがリモコンを押すと、カーテンが開き強くなりすぎない程度に遮光された朝の光が優しく照らす。優雅な音楽が流れ、どこからか爽やかな香りのする風が優しく頬を撫でる。
昨夜もうまく眠れずぼーっとした頭でされるがままに着替えさせられる。
基本的には朝食はそのままベットの上で食べる。こぼそうが汚そうがどうせ毎日メイドが次の寝具に変えるから。
適当に食べてそこそこ満足したら下げてもらう。どうせ食べきれる量じゃないからな。
使用人一同から見送られ今日も送迎されて登校、学校は退屈だ。受験勉強で必死に机にかじりついてる同級生を横目に最近のマイブームは瞑想に没頭する。
最初の方はただ真っ暗だったがたまに船だったり家だったり人だったりどこかの草原だったりが白黒で浮かぶようになってきた。そのうちほんの数秒だがアニメーションのように動くようになってきた。
起きてながら夢を見れるようになるかもしれない。
なんていうなんてことない暇潰しだ。
『瀧、悪いけどここの解き方教えてくんない?』
『この前教えただろ教科書135ページの公式で解けるぞ普通に勉強してれば余裕だろ?』
『いやいや普通の奴は教科書の何ページにどんな内容かまで覚えてないからなwww』
こいつの名前は光世、去年の秋位まで遊んでた取り巻きのような親友だ。馬鹿(瀧視点)だけど俺を色眼鏡で見ない貴重な存在だ。本当は遊びに行きたいが受験勉強でガチで頑張ってる親友だから応援の為に我慢してる。
本気でヤバそうなら不本意だが小学生の時の家庭教師にマンツーマン指導つけるように命令するがこの様子なら必要ないだろう。
『まあヤバかったら児童の時の家庭教師紹介すっから遠慮するなよwww』
『プロなのは分かるけどそこだけ聞くと学習帳やるみたいでなんか嫌だわwww』
学年トップだが特待生ではない。わざわざ学費免除の枠を金持ちが奪うのは、非合理でアホくさいしな。そんなのは苦学生にくれてやれ。同じように生徒会とか進学に有利な肩書きも肩書きがないと受験戦争で戦えない可哀想な奴らにくれてやった。(推薦しようとしてた教師や後輩は肩を落としてたがな)
家の名誉の為に肩書きコレクションしてるアホを見てるとしらけてしまう。背伸びして学歴つかんでイキりたいんかな?
基本的には俺は授業中、授業の妨害しない限り何しても許される。
別にサボってる訳じゃないが授業内容なんて教える事が無くなった家庭教師から小学生~大学卒業までの内容の全ての出版社が出してる教科書はもう10回位受けてるからなwww
教えることが無さ過ぎて終わった学年の教科書の改訂版を持ってくるのは勘弁して欲しいがな。小学生の時に大学まで終わったが毎年どこぞの出版社の教科書が改訂版が出るたびに数日だけ全内容を叩き込まれる。といってもほとんど変わらないから最初にその教科書を軽く速読して、念のために変わった部分だけ叩き込まれてからすごい速度で問題を出されるだけだ。だからだいたいの問題はすぐ答えも出るし、学校と同じ教材は全て暗記している。
そんなこんなで暇だが天国な学校が終わり送迎の車に乗り帰るんだが、本当にこの家は嫌だ。
『父上、ただいま帰りました。』
『うむ。』
『本日の監視役は16名であってますか?』
『うむ。』
『この後はどこの事務所に足を運べば良いですか?』
『今日は何もないが来週のどこかで抜き打ちで栗本と佐賀の所を監視してくれ』
『承知しました。』
父親との本日の会話が終わりため息をつく。
あ~まじで意味分からん。普通の生活がしたい。
うちの家は何やってる家だろうか?小さい頃は謎に15ヵ国語習わさせられて1時間ごとに切り替わるからそれに対応しないと部屋からも出られないし、飯も食えんし、部屋で漏らしたのはかなりのトラウマだ。
なんか武闘派っぽい感じな空気がすごいするけど何故か日本舞踊やら華道やら習字やら歌舞伎やら叩き込まれるが現役のプロより上手くなるとデビューせずにダイビング、ロッククライミング、サバイバルやらまたまた意味不明に色々なことを習わさせられる。盆栽なんかなんの役にたつんだよ!
せめてなんでこんなことやるのか説明してほしい。
どこの金持ちのボンボンとかなら良かったんだが、家の門には藤夕組と書かれたいかにもな看板が掲げられてる。
どう見てもヤ○ザです。
ありがとうございます。
泣いて良いですか?