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宿命に抗う者たち  作者: パテンリ
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第二十四話 未知なる侵略者

 フィポリタス、リレイラス、パンドルスたちの活躍によって装甲車を倒すことができた戦いの翌日、同盟軍の責任者たちは毎度の如く集まって作戦会議を行っていた。

「昨日はあれだけの犠牲を払ったが、要塞は攻略できず、よくわからん機械の車を倒しただけだった」

「認めたくないが、犠牲は仕方ない。それとあの機械を倒したのは十分な成果だと思うよ」

「あれを残しておけば被害が増えただろうしな」

「それならいいが、俺とリレイラスとパンドルスは昨日の傷が癒えておらず今日は戦えないが、どうする?」

「俺は……いや、確かに今日は戦えない。すまねぇ」

「君たちは十分働いたさ、謝る必要はない。さて、昨日の如く、猿帝国軍はまだ何か戦力を隠しているかもしれないが、今日も昨日と同様、要塞に突撃をする」

「何か他の手はないのか?」

「あの要塞は地形的にそれほど守りやすいものではなく、猿帝国軍の火力によって補われている。連日彼らに攻撃を続けさせれば、彼らは疲労するし、弾薬が尽きるかもしれない。それを見計らって攻撃すれば成功するはずだ」

「それがいいかもしれないが、俺の作戦を試してみてもいいか」

「君の作戦とは?」

「俺たちトリ族が上空より要塞へと侵入し、内側から敵を崩壊させる。俺の率いる精鋭部隊はこれまで危険な飛行を数多くこなしてきて、今回の戦でも生き残ってきた。そして、昨日まで敵の攻撃をかわす練習をしてきて自信たっぷりだ」

「そうか。ならばやってみよう」

 そういうわけでカルバトロスはトリ族の精鋭を率いて上空へと飛び立ち、要塞へと乗り込もうとした。地上にいる同盟軍は狙いが分散するように要塞への攻撃を継続した。猿帝国軍の銃弾は上空も射程圏内であり、トリ族たちに銃弾を浴びせていたが、彼らは見事にそれを回避して要塞へと近付きつつあった。その時要塞より飛行機械が4機程飛び立ち、トリ族の方へと凄まじい速さで向かってきた。トリ族は飛行機の突撃をなんとか回避したが、飛行機は旋回してトリ族へ銃弾を浴びせてきた。トリ族は要塞からの攻撃を回避することは可能であったが、その飛行機からの攻撃は回避できず、次々と撃ち落されていった。そこでトリ族は飛行機へ反撃しようとしたが、飛行機は彼らよりも速く、たとえ攻撃が出来たとしても相手は金属の塊であり、彼らの攻撃は殆ど通用しなかった。カルバトロスはトリ族の集団の先頭にいたが、飛行機を無視することはできないと考え、後方へ向かい、飛行機と対峙した。

 一方、地上では昨日と同じような戦況の中、戦いが継続されていた。パンドルスは自陣にて戦場を眺めながら、もどかしそうにしていた。さらに彼は空を見上げ、トリ族が飛行機によって攻撃されているのを確認し、悔しそうにこぶしを握り締めていた。そこへフィポリタスとリレイラスが現れた。

「パンドルス。どうした?」

「お前ら、あれを見てどう思う?」

「口惜しいな。俺が不甲斐ない為に彼らは死ななくてはならない。俺は彼らを守ると決めたのに!」

「昨日、地面の爆弾をあらかた取り除いたから、俺の力が使えると思っていたが、この体では戦えない」

「俺はもう我慢できない。今から戦いに行く」

「待て、俺も行こう」

 リレイラスはパンドルスの危険な行動を止めると思いきや、彼も一緒に行こうとしていた。フィポリタスは呆れた表情を見せ、二人の行動を制止しようとした。

「お前ら、その体で戦うのは危険だ」

「俺はここにいるより、戦場で死ぬ方がいい」

「俺もパンドルスと同意見だ。フィポリタス、悪いができるだけ要塞の近くまで穴を掘ってくれないか。俺たちはそこから要塞を目指す」

 全く話を聞こうとしない二人にフィポリタスはため息をつくと、改めて二人を顔を眺めた。二人とも決して考えを変えることは無いような顔をしており、フィポリタスは諦めたような顔を見せると、彼も二人と同じような覚悟を決めた顔をして言葉を発した。

「それはできない。なぜなら俺が掘る道はあの要塞の中まで続くからな。お前たちだけでは不安だから、俺も共に戦おう」

「フィポリタス、ありがとな。よし、行くぞ」

 パンドルス、リレイラス、フィポリタスの三人はすぐさま穴掘りを始めた。そこへアルクルフが来てしまった。ちなみにアルクルフは自陣の守備を任されており、戦いが始まってからずっと自陣にいた。

「なにしているの?」

「アルクルフか。今から敵を倒しに行くところだ。お前も一緒に来いよ」

「いく」

「パンドルス、いいのか。自陣の守備が居なくなってしまうぞ」

「大丈夫だ。敵が攻める前にこっちが攻め落としてしまえばいい」

 彼らには多少不安があるようであったが、そこは気にせず穴掘りを再開し、主にフィポリタスが穴を掘り進め、四人は遂に要塞の地下へと到着した。彼らはそこから地上に出て要塞内へと侵入し、暴れ始めた。猿帝国軍の兵士たちは想定外の出来事に混乱し、彼らの襲撃に上手く対処できず、次々と倒されていった。パンドルスは炎をまき散らしながら戦い、彼の炎が偶然、火薬庫かなにかに命中し、大爆発が起こった。それは要塞の外で戦っている同盟軍にも聞こえ、彼らは何が起きているのかわからなかったが、要塞からの攻撃が緩慢になったので、好機と捉え要塞へと突き進んだ。

 さて、上空ではトリ族たちと飛行機が戦いを続けていたが、大爆発が起きた直後から飛行機の動きが悪くなった。カルバトロスはそれを見逃さず、飛行機の推進機のような部分を攻撃し、単独で二機撃墜し、他の二機もトリ族たちによって撃墜された。行く手を阻む敵を撃破したトリ族たちはそのまま要塞へと直行した。

 その頃、要塞内では四人が継続して暴れていたが、アルクルフ以外は無理して戦っていた為、猿帝国軍の兵士たちの反撃を受け、危機的な状況へ陥った。しかし、そこへトリ族たちが襲来し、彼らの危機を救うこととなった。さらに地上の同盟軍も要塞の目前へと迫り、猿帝国軍は要塞を放棄し、裏手より脱出し始めた。同盟軍は彼らを追撃し、猿帝国軍の兵士たちを数人捕虜とした。こうして同盟軍は猿帝国第二の砦を陥落させることに成功したのであった。

 その夜、同盟軍の責任者たちは集まり、パンドルス、フィポリタス、リレイラス、アルクルフは他の責任者たちから注意を受けていた。しかし、彼らの働きは大きかった為、それほど問題にはならなかった。

「お前たちは独断で行動したな。本来は厳罰を科す必要があるが今回は多目に見よう」

「まぁ、行動自体は褒められたものではないけど、今回は助けられたし、お礼を言っておくよ。ありがとう」

「だが、お前たち三人は怪我がさらに酷くなったな。見た所、復帰に数日かかるぞ」

「それなりの犠牲が必要だからな」

「要塞を攻略して軍全体も休む必要があるから丁度いいぜ」

 そんな風にして彼らは軽い注意を受けたぐらいで重い処罰はなかった。その後、彼らは兵士たちと一緒になって戦の後始末などをしていた。パンドルスは怪我をしていたが、自分にできそうな仕事を率先して行っていた。するとリレイラスが現れ、アルクルフが落ち込んでいるので彼女を励ますよう言い残して立ち去った。そこでパンドルスはアルクルフのもとへと向かった。

 パンドルスがリレイラスから聞いた場所へ行くとそこにはアルクルフがいて、彼女は黙って一人空を見上げていた。パンドルスは彼女にどう話しかけようか若干迷っているようであったが、意を決し、彼女に静かに近寄っていった。アルクルフはパンドルスがかなり近づいても気付いていない様子であり、パンドルスは彼女を脅かそうとした。ところが、いざ脅かそうとした時、アルクルフが振り向いてパンドルスに飛び掛かって来た。パンドルスは素早く反応し、アルクルフの飛び掛かりを受け止めた。

「アルクルフ、どうした?」

「シェドアンに怒られたの。嫌われた、悲しい」

「あいつはあんたの事を大切に思っているからな。それで少し厳しく言ってしまうんだ。俺も両親に何度か叱られたからな。それと似たようなものだぜ」

「それじゃ、嫌われていない?」

「もちろん。むしろ大好きだ」

「よかった。ありがとう、パンドルス」

 アルクルフはパンドルスの言葉を聞くと上機嫌でその場を去って行った。パンドルスは彼女を笑顔で見送っていたが、しばらくその場に留まり、物思いにふけっていた。

 それから二日後、同盟軍は要塞を出発し、次の要塞を目指していたが、移動中、パンドルスは久しぶりにレオと二人きりで会話をしていた。

「痛っ、力を使い過ぎたせいか、傷の治りが遅いな。そういえば女王様は無事かなぁ」

「第二の要塞を攻略した時、猿帝国の通信機器を入手した。それを使用して各国の都と連絡がとれたのだが……」

「そんな話聞いてないぜ」

「軍を混乱させてしまうかもしれないからな」

「ふーん、それでどんな状況は?」

「猿帝国軍が各国の都近くに襲来したらしいが、彼らが積極的に攻めることはなく、被害はそれほど出ていないらしい。しかし、彼らを排除しようとこちらから攻撃すると反撃してきて手が付けられないそうだ」

「あまり良くはなさそうだな。やっぱり、俺たちが早く猿帝国そのものを倒さなくちゃ」

「パンドルス、お前は猫王国にいた頃、俺や女王様から意図的に遠ざかっていただろ。何故だ?」

「えっ!それは任務で忙しかったから……」

「理由はそれだけか?」

「そうだ。いや、実は……やっぱ何でもない」

「そうか。話せない事情があるのなら仕方がない。だが、この戦いが終わったら俺たちに話してほしい。俺と女王様はお前を信じている、何事も一人で抱え込むなよ」

 そう言い残し、レオはパンドルスから離れ、自身の持ち場へと戻って行った。パンドルスはレオの背中を見ながら何か言いたそうにしていたが、結局何も言えなかった。同盟軍はその日、第三の要塞まであと半日の距離まで進み、夜が近付くと軍を停止させ、敵の襲撃を警戒しながらその日を終えた。

 結局、敵の夜襲が無かった翌日のこと、特殊能力者たちは以前のように再び体調不良になってしまった。パンドルス、リレイラス、フィポリタスは特に元々、体力を消耗していた為、かなり辛そうであった。そこで、彼らは治療を受ける為、犬共和国まで下がることになった。幸いなことに先日捕虜とした猿帝国の兵士により猿帝国の自動車が使用可能となっていたので移動にかかる時間は大幅に短縮できた。自動車により徒歩なら五日程度かかる道のりを一日に短縮してしまった。パンドルスたちは犬共和国の国境付近の町へ到着し、そこで治療を受けることになったが、怪我は治っても体調不良は治らなかった。パンドルスは病室にてリレイラスと会話をしていた。

「そういえば、あんたは他人の記憶が見えたり、声が聞こえたりすることがあるか?」

「それはどういうことだ?」

「俺には他の能力者を倒せって声が聞こえてくるし、以前の能力者たちの記憶の断片みたいなものが見えるんだ」

「なるほど、では俺も同じだ」

「やっぱりそうか。それでさ、あの猿帝国の皇帝エプリフィアだっけ。あいつの名前は記憶の中の奴と同じだけど、顔や声は似てないよな」

「そうだな」

「あいつに会えば、わからない事が色々とはっきりすると思っていたんだが……」

「別に本人である必要はないだろ。俺たちのように記憶を引き継いでいる奴を見つければいい」

「その手があったか」

「俺はそれよりも早く復帰して兵士たちを守らなくてはならない」

「そうだな、早くこの体を治さなくちゃ何もできやしない」

 パンドルスとリレイラスはそのように少し会話をしながら体調の回復に努めていた。フィポリタスは別の病室にいたが、彼も二人と同じく体調の回復に努めており、彼らは戦場のことばかり気にしていた。夜になっても彼らは不安そうにしており、中々寝付けなかったようであった。

 翌日、三人は復調し、前線へと復帰する為、病院を出て準備を整えようとしていたが、ふと世界樹のある方向より、大山脈を越えていくつかの飛行物体が各地へと飛び去って行くのを目撃した。三人はそれを見た直後、目を丸くしていた。

「今の大山脈の内側から来たよな」

「以前、シェドアンが言っていたように、猿帝国は世界樹のある地域も支配下としているのか」

「それよりも、あの大山脈の上を通過していったぞ。あれはあんな上空を飛行することができたのか。それにあの大きさとあの量、本国が心配だ」

「俺たちは国にいる奴らを信じて、俺たちのやるべき事を果たそうぜ。ん?」

 パンドルスは空を見上げながら会話をしていたが、飛行物体の一機が彼らのいる場所へと向かってきた為、驚き、他二人も同様の驚きを見せた。飛行物体は彼らの上空を通過しながら何かをバラバラと落としていった。三人は目を細めてその落下物を見ていたが、それがどのような物なのかわからないようであった。しかし、それが危険であることは薄々感じ取っていた為か、咄嗟にフィポリタスとリレイラスは特殊能力により防護壁を作り出し、そこに身を潜めた。直後激しい爆発があちこちで発生し、まばゆい光と共に強い衝撃波が辺りに広がった。その町は爆発によって発生した煙によって包まれたが、その煙が晴れた時に町の様子を見てみると建造物はボロボロに崩れ、あちこちから火の手が上がり、そこら中に黒焦げた物体が転がっていた。

 一刻前の町の様子と比較すると恐ろしいほどの変わりようであり、パンドルスたちの姿も見えないが彼らはどうなってしまったのだろうか。

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