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師匠は少し怖い

ジークフリートという少年を鍛え、既に一年と言う月日が立つ。もう時期に彼は十五歳だ。子供っぽさが徐々に抜け、少しづつと凛々しくなっていく姿に私は胸を高鳴らせていた。


「____________師匠、『c』級に昇格出来ました!」


約束通り、この少年を『c』階冒険者へと鍛え上げてしまった。


(『f』ランク冒険者はど素人。『e』ランクは素人に毛が生えた程度。『d』ランクはようやく冒険者としての自覚を持ち始める。そして『c』ランク冒険者は一人前であることが認められる階級だ。)


バルドル領には二人の『a』級冒険者が存在する。現バルドルギルド長を務める『恋する怪力無双』こと大男【トールギス】。そして現バルドル辺境伯が息女【ヘズ・バルドル】である。


「バルドルのギルドには『b』級の冒険者はいない。実質、君がナンバー3だ。」


誇らしい気分と同時に寂しさも感じる。


「師匠________ここまで鍛えてくださって本当にありがとうございます。」


感謝の言葉。冷や汗がでる。


(この流れは良くない...........)


目の前にいる少年が次に言わんとする言葉が予測出来るからだ。


「巣立ちの時が来たようです。これ以上、師匠にご迷惑をお掛けする事は出来ません。」


迷惑など感じていない。むしろ、私の元から離れる事が迷惑だ。


(この一年片時も離れずに過ごしたじゃないか。食事も一緒に取り、鍛練や座学も全てワンツーマンで教えた。)


ジークフリートとの記憶が頭を巡る。エル・ミアはただ唖然とした表情で頭を下げるジークフリートを見ていた。


(毎日一緒にお風呂に入ったじゃん。睡眠だって一緒のベッドで寝てたじゃん..........)


それが修行の一環であると、鉄の心でこなしていたジークフリート。


「...........いつ襲われるかなと心持ちにしていた私の乙女心を無下にするつもりかい?」ボソッ

「師匠、今なにか言いました?」


そうか。この少年は難聴系主人公でもあったかとエル・ミアは拳をぎゅっと握る。


「何を言っている、馬鹿弟子と言ったんだ。」

「.............................エル・ミア師匠?」


ジークフリートを押し倒し、鼻と鼻をくっつける程に顔を近付ける。


「し、師「黙れ。君はまだまだ未熟者だ。このエル・ミアから師事を受け、『c』級で卒業にするわけがないだろう。最低でもバルドル冒険者ギルドに所属する『a』級二人を倒すまでは私の元から離れる事は許さない。」


圧倒的な圧を掛け、ジークフリートを脅迫する。


(君との生活は私が生きてきた三百年という長い時間で最も華々しく、心踊るものだった。毎日が楽しいとこれ程思った事はないほどに。)


そんな生活を手放す程、私は愚かではない。


「...........分かりました。師匠の言う通り、焦りすぎていたのかもしれません。師事を引き続きお願い致します。」


そうだ。それでいい。もう二度と先ほどのような事は口にするな。


(___________君を鎖に繋いで、監禁紛いな事はしたくない。)

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