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師匠の弟子となる

エル・ミアはギルド長としての立場を大男トールギスへと引き継がせた。トールギスは小者のように見えるが『a』級冒険者ととして名を馳せており、十分にギルド長を引き継ぐだけの実績があるのだ。冒険者界隈では『恋する怪力無双』などと二つ名がつけられている。


(ふふ........いい拾い物をしたよ。彼の事は前から知っていたからね。)


世界に四人としか存在しない『s』級冒険者の一人でもある。その立場は大きく、貴族の社交界に何度も招待される程であった。


(盟約の縛りでバルドル領で行われる社交界にしか参加は出来なかったとはいえ、その際に私は君を見ているんだ。今よりもずっと幼く、可愛らしさも兼ね備えた綺麗な子供だった。噂通り、生きた『宝玉』さ。美形が揃うアルフヘイム人である私でさえもそう言わざるを得ない程だった。)


ジークフリート以上の美しさを持つ男を見たことがない。だから、バルドル領へ逃げ込んでくれたことには感謝している。


「ここが私の城だ。自分の家だと思って過ごしてくれればいい。」


誰もが羨む最高峰の男の子と同棲ができる。


(なぁ、バルドル.......私は思うんだ。百年もの間、お前との約束を律儀に守り続けたのだからご褒美くらい合ってもよいものだろうと。)


生まれてから三百年、処女を拗らせたアルフヘイム女には刺激が強すぎたのだ。



「あの..............距離感が少しバグってませんか?」


リビングにある大きなカウチに座るジークフリート。その膝の上にお姫様抱っこをされる形で座る。


「やはりゴツゴツして痛いな。鎧を脱ぎたまえよ、ジークフリート。」


『ジーク』として冒険者ギルドに登録をした筈だが、素性がバレていることに最大限の警戒を向ける。


「................知っていたんですね。」


エル・ミアは立ち上がりクスクスと笑う。


「知っていたも何も小さい頃に会っているだろう、私たちは。」


ジークフリートは一度考えるがエル・ミアについて思い出せない。これ程整った女性を忘れる筈はないのだが。


「バルドル領で行われた社交界は仮面舞踏会だったかな。ほら、こんな仮面をつけた女がいただろう?」


仮面を何処からともなく取り出し、自分の顔へと被せる。


「..........すいません、思い出せないです。」


エル・ミアは申し訳なさそうに謝るジークフリートの頭に手を置く。


「冗談だよ。私と君は初対面だ。」


そして兜のフックを外し、ジークフリートの素顔を露にする。


(ヤッバ...........可愛い過ぎかよ。この少年とこれから寝食を共にする事を考えるだけで、年甲斐もなく濡れるな。)


エル・ミアは内面で悶えるが、外面には出さない。


「____________勇者シグルドとは面識があるんだ。その意味はわざわざ言葉にしなくとも理解出来るだろう。」

「兄さんと.........そうか、バルドル領で困らないように色々と手を回してくれたんだ。」


ジークフリートは彼女の言葉をそう解釈する。


(ジークフリート........チョロ可愛すぎかよ。こんなに簡単に騙せては直ぐに変な女が寄って来てしまうよ。あぁ、既に私と言う処女を拗らせた長耳女が寄っていたね、くく。)


一方、エル・ミア本人は口元を押さえジークフリートに見えないように邪悪な笑みを浮かべていた。


(ネーデルラントの長子が勇者シグルドであることは周知の事実だ。そして弟思いのブラコンであることも事実と平行して噂されている。)


ならばそれを利用すればジークフリートの信用を勝ち取ることなど造作もない。第一嘘は吐いてない。シグルド・ネーデルラントとは過去に一度だけ会話を交わした事がある。


(もっともすれ違った際にこんにちわと互いに挨拶する程度のものだったがね。)


勝手に解釈をし、私への警戒を解いたのは君だよ、ジークフリート。


(______________だから私は悪くない。)


ジークフリートは立ち上がり、エル・ミアへと頭を下げる。


「失礼な態度をとってしまい、申し訳ありませんでした。これからお世話になります、エル・ミアさん。」

「敬いを込めてさんをつけてくれることは嬉しい。だがやはり年上に見られているようであまり好きではないんだ。親しみを込めてエルちゃん、それかミアちゃんとでも呼んで欲しいが..........君は私の弟子になる新人冒険者だ。」


エル・ミアはジークフリートへと近付き、妖艶に笑う。


「_______________________だから私の事は師匠と呼びなさい。」

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