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宰相の一目惚れ

「_______________代表生、スノッリ・ストゥルルソン。」


クラキ国宰相の息子、スノッリ・ストゥルルソン。宰相の職業適正に選定され、新年生代表として挨拶を行う黒髪の青年。


(新入生代表の肩書きを任されることは分かりきっていた事だろう。)


学園に通う生徒は戦闘職に偏りがちだ。新入生を代表してのスピーチに宰相適正者以上に務まる者がいないのだろう。故に適材適所でスノッリ・ストゥルルソンが学園側から選ばれたのである。


(俺は職業適正が宰相であろうと戦場に立ち、指揮をとって見せるさ。父の様に王宮でのうのうと職務をこなすだけの日々は窮屈だろうからな。俺は俺の力でのしあがって見せる。)


それくらいの欲深さを持ち合わせてもいいだろう?と心の中で静かに思う。



「____________スノッリくん、お疲れさま」ボソッ



壇上を下り、自分の椅子へと着席する。すると、隣の生徒から声を掛けられた。


「気安く名前でっ__________」


声がする隣の席へと目を向ければ、大海の様に透き通った明るい蒼色の髪をした美しい女性がそこには存在した。


「ん?」


彼女は優しい笑みで小さく微笑む。


「__________あ、あぁ。」















「いやああああああああああああ!!はにゃれたくないよぉおおおおおおおおおお!!!!」


先ほどまでとは打って変わって違う人物なのではないのかと思う程に乱れている蒼髪の乙女。


『またかよ.....』『なんなんだよ、あいつ.....』『聖女に選ばれた者がこれか.....』『終わってんな』『あれが七英雄.......?』


昨日から噂になっていた聖女が彼女であることを知ることになる。


(平民出の聖女............ブリュンヒルデ。)


「α」クラスの名簿に目を通した際にも聖女の名前はブリュンヒルデと書かれていた。間違えない。彼女こそが今代の聖女なのだ。


「___________________聖女、行くぞ。時間だ。」

「え、え?スノッリくん!!?待って、ジークくんがぁ!!!ジークくぅうううううん!!!!」


真っ直ぐとブリュンヒルデの元へと向かい、襟根っこを引っ張り、引き摺って行く。


「彼女の手綱をしっかりと、離さないようにしてくださいね。」ボソッ


従者らしき男の隣を通り過ぎる際にそう忠告される。


「_________黙れ。従者風情がしゃしゃり出るな。」


銀鉄装備を着こんだ戦士へ睨みを利かせる。戦士は両手を上げ、降参のポーズをわざとらしく見せた。苛立たしい事この上ない。


「あぁ..........ジークくんがどんどん離れてく........」


あれ程叫んでいた聖女は心此処に在らずと言った様子で放心としてしまった。取り敢えず、頬をぺちぺちと叩き意識を覚まさせることにする。


「目を覚ませ、授業が始まるぞ。」

「んあ?スノッリくん?どこ.........ここ?ジークくんは?」

「αクラスの教室だ。従者の男はζクラスに向かった筈だ。」


ブリュンヒルデは落ち込んだ様子で机へと項垂れる。スノッリ・ストゥルルソンの座席はブリュンヒルデの前に位置する。


「はぁ、そっか.........でもよかったよ。知ってる人と一緒のクラスになれて。これからよろしくね、スノッリくん!」


嬉しそうに挨拶をするブリュンヒルデに耳を紅くする。


「あぁ、こちらこそ宜しく頼む。」


照れを隠すように身体を前へと向け、彼女から表情が見えないようにするのだった。

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