道化師の友達
「_____________なんだよ、友達は嫌か?」
ラグナロク後、オーディンの敷いたルール(職業適正)のせいで神としての能力に制限が掛かってしまった。大幅な弱体化だ。以前のように無制限に幻術は使えない。職業適正というクソシステムのおかげで。
(___________道化師は子供騙しの無能な職業。)
それがこの世界が下した道化師の評価だった。この職業を天啓で得てから数千年、道化を演じて来た。イカれ野郎だと何度も罵られ、刃を幾度と向けられた。僕はただ、死体の山の上でヘラヘラと笑い、嗤う。
「ぼ、僕は.......」
ラグナロク以前もそうだ。神族に見捨てられ、裏切られ続ける人生。僕の人生は無価値で必要のない道化の様な哀れなものだったのさ。ならば道化は道化らしく世界を欺き、混沌に陥れよう。
(自分の存在を証明するために。)
と昔はそんな尖った考え方をしていた。殺し、欺き、冥界へと誘うことが嗜好の喜びだと。僕は嗤いながら血を浴びた。何度も、何度も何度も。
「.................なっても、いいのかな。」
なんて情けない声で聞くのだろう。今日出会った人間に対し、何故、こうも臆病になれる。
「飯を一緒に食ったんだ。俺たちはもう友達だろう?」
なんて事のないように言うジークフリート。唖然とし過ぎて固まってしまう。
(僕は憧れていたんだ.........友達と言うものに。)
学園に入学した理由もそうだ。暇だなんだと言い訳をして、本当は人恋しいだけの寂しがり屋なんだ。
(友人として、語り合いたい。談笑がしたい。一人でいるのは窮屈で寂しくて孤独だ。その願いが叶うのなら.........)
ジークフリートの手を取り、強く握り締める。
「ひ......ひっひ、ひっひっひ!僕たちは今から親友だ!語ろう!話そう!世界が終わるその時まで!」
初めての友達。初めての親友。ラグナロクの再来を解放しようとも彼だけは助けよう。君は選ばれた。僕の特別に。
「おいおい、大袈裟だな。」
はしゃぐ僕を見てジークフリートは笑ってくれた。小馬鹿にするような笑いじゃない。ただ友人に向ける優しい微笑みで。
(出会いは何時だって人を変えると詩人はいう。)
まさにその通りなのかもしれない。ラグナロクの再来の解錠は先送りにしよう。混沌よりも今は友人との青春を楽しみたくなった。




