第59話 天上天下唯我独尊焦熱咆禍絶死魂爛永業辿氷火天終烙炎
360度から円形に展開された黒い魔力がサンダージョーたちへと殺到する。小さな黒いドームが出来上がる。開戦当初のサンダージョーたちの横広がりの陣形からしたらあまりにも小さすぎる黒いドームが。バエルが笑う。
「玄咲のためにも破壊規模は抑えないと。でも、最後はやっぱりドカンと行きたいわよね。だから――」
バエルが胸の前の虚空を両腕で圧搾する。呼応して、黒いドームがバチバチと電圧のような魔力を迸らせて轟震する。色濃くなっていく。バエルが虚空を握り潰す。原色の黒が生まれる。
世界にぽっかりと奈落の穴が空いた。
その場にいる誰もにそんな錯覚を覚えさせる黒だった。
「さぁ行くわよ! 見てなさい玄咲! これが私が封印されている間ドロドロした倦怠と絶望感の中で考え出したオリジナル魔法! そ・の・名・も!」
バエルは高らかに詠い上げる。両手を広げて地獄の最終楽章を。
「天上天下唯我独尊焦熱咆禍絶死魂爛永業辿氷火天終烙炎 (ヘヴンズ・ヘル)ッ!」
黒い柱が天に突き立った。
「――あー、すっきりした♪」
――――綺麗な真円の空いたドームの天井の向こう側。
快晴の空が姿を現した。




