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第42話 天使のアルマ2 ―Precious Time―

「シャル、今日は俺の部屋に泊まるんだ」


 廊下。玄咲はシャルナに単刀直入にそう切り出した。


「へ?」


 思いもかけなかった言葉をかけられた。そんな表情。恐怖を振り切り玄咲はさらに踏み込む。


「その、どうしても、泊って欲しい。嫌というなら、なんて今回ばかりは言わない。多少強引にでも泊めるつもりだ。と、とにかく。俺は君にずっと一緒にいて欲しいんだ。今日は、いや、明日の決闘の時間まで、ずっと」


「……うん。いいよ」


 頬を赤くして俯くように頷くシャルナ。玄咲は安堵した。


「よかった。シャルを1人にするのは心配で心配で仕方なかったんだ。サンダージョ―の手の者に襲われないとも限らないからな。学生寮のセキュリティはしっかりしてるから十中八九杞憂だとは思うが、一応、念のためだ。大丈夫、俺が必ずシャルを守る。だから安心して俺の部屋に泊まってくれ。ああ、もちろん寝床はうんと離す。そこはちゃんと考えてる。俺は部屋の隅で寝よう。シャルはベッドを使ってくれ。それなら安心して寝れるだろう」


「……はぁ」


 シャルナがため息をつく。最大限シャルナの心情に配慮した提案だったのだが、なにか不満があるらしい。玄咲は慌てた。


「言いたいことがあるならなんでも言ってくれいくらでも改善するどこまででも君に合わせる」


「いや――玄咲は、そういう、人、だったな、って」


「どういう、人」


「とても、強くて、優しい、人」


「――」


 不意打ちに、心臓が跳ねる。繋いだ手がドキドキを加速させる。シャルナの顔も見れなくなる。そんな玄咲に、シャルナは悪戯っぽく、


「好意的に、捉えれば、ね?」


 そう、付け足した。


 シャルナはからかうような冗談を好む。だからその言葉はいまいち捉えどころがない。真意の定まらない言葉。自分を翻弄させる言葉。蠱惑し惑わせる言葉。好意の片鱗を覗かせる言葉。


 ――もう一生、離れないん、だもんっ……!


 好意しか、取り出せない、言葉――。


「……じゃあ、好意的に、受け取らせてもらう。シャルは、そう捉えてくれたって、ことだから」


「……うん。当たり。当たり前、だよ。だって、玄咲は、私の」


 そこで一旦、言葉を切って。


「命の恩人、だもん」


「……そうか」


「……うん」


 シャルナが自分に抱く感情は恩義か。


 好意か。


 どっちでも良かった。


 やることは変わらない。


 シャルナが天国に召されるまで。


 自分が地獄に落ちるまで。

 

 シャルナを守り抜く。


 そのためにはサンダージョーと、そして雷丈家を潰さなければならなかった。


 雷丈家。CMAのストーリー上で暗躍する諸悪の根源。アマルティアンを狩り、亜人を商売道具にし、サンダージョーを有する、プレイアズ王国に根を張る亜人迫害の温床。雷丈家を潰さないことにはシャルの平和な学園生活は訪れないだろう。何かしらの手で介入してくることは確実だ。


 潰さなければならない。


 イベントが起こる3学期末など待っていられない。だから前倒しにすることにした。サンダージョーとの決闘を。その後のお家取り壊しを。なるべく確実に再現するために状況を近づけて。ゲームの知識を過度に当てにせず、介入を入れる前提で。


(サンダージョー。お前は俺が必ず)


 シャルナ(天使)に二度と穢れた手で触れれないように。もう二度と幸せが繋いだ手から零れ落ちかけないように。

 

(雷丈家ごと、葬る)



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