第36話 グルグルのAD補足
グルグルが作業机の引き出しをゴソゴソ漁っている。そして2枚のカードを取り出して玄咲たちの元へと戻ってきた。2人に渡す。
「はい。これがお兄さんのカードで、こっちがシャルナちゃんのカードね」
ランク3
シュヴァルツ・ブリンガー
適応属性 火・水・風・雷・土・闇・光
補正値50
右上にランク。真ん中にカード名。左上に適応属性。左下に補正値。適応属性は丸い円型のアイコンを色で等分して表示している。円グラフのような見た目だ。シュヴァルツ・ブリンガーは7属性なので7等分。赤・青・緑・黄・茶・黒・白が円アイコンの中でひしめき合っている。色鮮やかな虹色のアイコンだ。
「玄咲。見て見て!」
ランク3
エンジェリック・ダガー
適応属性 闇・水
補正値50
「やっと私も、自分だけの武装解放機能付きAD、持てた! 夢が一つ叶った!」
「この世界の人間にとってオーダーメイドの武装解放機能付きADの所持は憧れだもんな」
「うん! それでさ。前から気になってたんだけど」
「なんだ」
「補正値って、そもそも何?」
「……」
グルグルに解説させた方が適格。だがシャルナに数少ない、というか唯一の知識的な長所であるCMA由来の知識でいいところを見せたい。迷った末、玄咲はいいとこどりすることにした。
「グルグル。間違ってたら補足訂正してくれ」
「いいよー。にひひ。またエアプ晒したら遠慮なく指摘してあげるね」
グルグルはちょっと悪い顔をする。気を許してくれてるサイン。玄咲は安心する。
「補正値ってのは要するに基本攻撃力だ。スペルカード・適応属性の数値・様々な物理魔法演算。その全ての計算式の基本となる数値だ。魔法の威力は魔符士の魔力×ADの補正値。それに色々な要素が幾何学的に組み合わさって決定する。だが、その根本にあるのはいつだって魔力×補正値の単純な計算式。だから補正値は重要なんだ」
「うん。大体あってるね。補足――するにしても魔法の威力の最終計算値はあまりにも色々な要素が嚙み合って単純には導き出せないし、細かく解説すると日が暮れるし専門知識のない人には理解できないだろうし、お兄さんの解説くらいの理解で十分かな。とにかく魔力が高くて補正値が大きいほど魔法の威力は上がる。今回はまともな解説だったね。お兄さん」
「俺はADに詳しいんだ。この前のは、たまたまだ」
「うん。基本詳しいみたいだね。ちょっと見直したよ。今度ADについて話し合ってみたいな」
「! お、俺も実はグルグルと話し合いたいと思って」
「玄咲、話が逸れてる。今度はこのランクについて教えて」
「ん? ああ。いいぞ。話を逸らして悪かった。ランクは凄く簡単で補正値の数値で決まる。具体的には
ランク1。 10~24
ランク2。 25~49
ランク3。 50~74
ランク4。 75~99
ランク5。 100~149
ランク6。 150~199
ランク7。 200~249
ランク8。 250~274
ランク9。 275~299
ランク10。300~999
となる。ランク8~9だけちょっと法則が崩れてるのはこの補正値帯になると1上げるのも一苦労だからだな。1の重みが違うんだ。レアな高級素材をたくさん使わなきゃいけなくなる。ランク10はざっくり補正値300以上だ。もともと補正値300が最高だった時代に決められた区分だから、300以降は対応していないんだ。だから一纏めにランク10とされている」
「なるほどなー」
「コスモちゃんがその言葉多用してたなー。ロボットなら当然の嗜みですとかよくわかんないこと言って」
「えっ。じゃあ……なるへそ?」
「なるほどでいいんじゃないか」
「なるほど……」
「ほかに質問はないか?」
「うん。もうないよ」
「それじゃそろそろ実際にADを見てみるとするか。武装解放――」
カードを胸の前で銃を持つときの手つきに挟んで構え、玄咲は詠唱した。
「シュヴァルツ・ブリンガー」




