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第31話 登校

 4日目。朝。


「玄咲、SDでの簡易召喚は、学校では、もうやめてね。冷や冷やした」


「うん……」


 通学路。シャルナに注意されながら歩いていると、前方に見知った金髪が見えた。


(ッ! アルル……!)


 ふらふら歩いてなんだか元気がない様子。らしくない。だが、間違いない。玄咲は意気揚々と声をかけた。シャルナも続く。


「アルル! おはよう!」


「おはよう、アルルちゃん」


「……おはよう」


 ゆらっ。


 アルルはゆるりと後ろを振り返って、その顔を見せた。


「うっ!」


 アルルはげっそりとやつれていた。眼の下にはなぜか隈がある。キララ程ではないがはっきりと。玄咲は一瞬で察した。


(プ、プライアだ。絶対プライアに襲われたんだ……)


「……何も聞かないでくれると、嬉しいかな……」


「あ、ああ。何も聞かない」


「う、うん……」


「ありがと……じゃね」


 アルルはふらふらと先を行く。シャルナは心配げに玄咲に尋ねた。


「何があったんだろうね? 心配、だね」


「……そうだな。心配だな」


 アルルはプライアの本性を人に明かしたがらない。好感度が低い状態で秘密を追求する選択肢を選ぶと好感度が下がってしまう。だからという訳ではないが、黙した。隠したがっていることをわざわざ暴露するのは人として間違っている気がしたからだ。


(誰にでも語りたくない秘密の一つや二つはある。俺のヒロインの胸キュンセリフランキングとか、な)


「ま、とにかく、登校しよっか。もう嫌われては、なさそうで、良かったね」


「ああ、シャルのお陰だ。ありがとう」


「――うん。じゃ、お礼、貰わないとね」


「え?」


 キュ。


 突然、シャルナが手を握ってくる。小さくて柔らかい至福の感触。玄咲はちゃんと手を握り返しながら慌てた。


「な、なぜ、急にっ!」


「だから、お礼だよ」


「なぜ、俺と手を繋ぐことがお礼に――」


 シャルナがとても恥ずかしそうに俯き顔を赤らめた。玄咲も流石に無粋を悟ってそれ以上何も聞かなかった。


 結局、学校に着くまでずっと手を繋ぎ続けた。ささやかで、暖かで、幸せな、一日の始まりだった。

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