第二話
(山葉のやつ、よくこんなところ一人で行けたな。)河村
トンネルからは雫がポタポタと落ちる音がする。
すると俺の後ろから突然、“タタタタタタタタタ”と誰かが走り込むような音が聞こえ、振り返った。
「・・・ちょっと、何見てるんですか?早く進んでくれません?」
と山脇が俺に言った。
「あ、えっ、えと、すいません。」
と弱々しく謝った。
「ゆあ先輩、あの人キモくないですか?まったく。」
山脇が立花に小声で愚痴を言った。
「流石にそれは言い過ぎでしょ。」
立花が山脇に注意する。
「はぁ〜い、すいませぇ〜ん。」
山脇が軽く謝った。
「もう少しで抜けれるぞ。」
と小野が言った。
視界の先が開け、何かの建物が見える。
「・・・何あれ。」
河村が視線の先に指を指す。
トンネルを抜け出した先には、古びた洋館がポツンと聳え立っていた。
皆んなが、その洋館を見やり困惑していた。
「もしかして山葉。この建物の中に入ったりしてよな?」
と河村が恐る恐る言う。
「んなわけねえだろ。こんな不気味な洋館、脳内花畑のアイツでも入んねえよ。」
と小野が額に汗を垂らして言う。
「・・・どうせならあの家の人らに山葉が来たか聞いてみる?ついでにキャンプ場のこととかも。」
と河村が提案する。
「嫌よ!あんな不気味なところ‼︎」
と山脇が喚き散らかす。
「じゃあここで待っとけば?さっから鬱陶しい。」
河村が睨みながら山脇に言う。
「こんなところで女子1人待たせるつもりなんですか⁈」
「ハァ・・・来んの?来ねえの?どっち?」
と河村は少しイライラした感じで言った。
「ひっどぉーい、そんなこと言わないで下さいよ!せんぱぁ〜い!」
「うるせえ、早く聞きに行くぞ。」
と小野が山脇に向かって言った。
「はぁ〜い。」
と不貞腐れた感じで山脇は返事をした。
そして皆んな、洋館へと足を進めた。
「インターホンねえけど、何で鳴らすんだ?」
と小野が戸惑う。
「ドアノッカーよ。」
と立花が答えた。
「ドアノッカー?」
「そのリング状やつ。」
「あぁ、これか。」
小野がドアノッカーで扉を叩く。
「すいませぇーん!誰かいますか?」
と小野が叫ぶも反応が無い。
「まず、こんな古い建物に人住んでんのかなぁ?」
河村が言う。
キィエエエエエェェェェ!!
突然、洋館の中でかん高い声が鳴り響く。
「何よ‼︎さっきの変な声⁈」
と山脇がヒステリックに言った。
「今の山葉の声か⁈」
河村が俺に聞いた。
「今のは山葉の声?・・・・・じゃないと思う。」
と俺は言った。
「じゃあ今の声はなんだッ!」
河村が焦ったように言う。
「んッ?おい!この家鍵かかってないぞ。」
小野が皆んなに呼びかける。
「なにか嫌な感じがする。」
と立花が呟く。
「声がしたんだ。人がいるってことだろ?」
「えっ、でも。」
「何かあれば逃げればいいだろ?ほらっ、行くぞ。」
小野が立花の制止を振り切って、扉を勢いよく開け、中に入っていく。
「あの!誰かいますか‼︎」
小野が叫ぶ。
「どう?」
河村が小野に尋ねる。
「いや、やっぱり返事がねえ。」
皆んなが洋館に入ってきた時。
「おい!玄関を閉めるなッ‼︎‼︎」
ガチャッン
山脇が玄関ドアを閉めてしまった。
「・・・なんてことをしたんだ!お前のせいで外に出れるチャンスが無くなった!」
と山葉が山脇に詰め寄る。
「えっ?なにッ⁈意味わかんない!」
「なら扉を開けてみろ!」
山葉が山脇に開けるよう指示する。
ガチャンガチャン
「開かないんだけど!どうして⁈」
山脇が喋る。
「私は悪くないわ!寒いから閉めた方がいいと思っただけよ!ねぇ!先輩!」
と山脇が立花に縋り付く。
「ねぇ!先輩!私のせいじゃ無いですよね⁈そうですよね⁈」
山脇が叫ぶ。
「ん?まあ、悪く無いんじゃね?」
と小野が言う。
「それにしても、どうしたんだ?山葉。」
河村が山葉に語りかけた。
「ずっとここで彷徨ってて外に出られる方法を探してたんです。」
山葉は言葉を続ける。
「扉はびくともしないし、窓は蹴ったり、物を投げつけたのにも関わらず・・・・・割れなかったんです。」
と山葉が震えながら言った。
その瞬間、左の棚にあった花瓶が割れた。
皆んなが驚愕の表情浮かべている一方、山脇は
「もう何なのよ‼︎この家⁈」
と叫んだ。
そして、ところどころにある蝋燭の火が大きく揺れ、ダッダッダッダッダッと誰かが走って来ている音がする。
しばらくすると、右の廊下の角から何かがやって来た。
「なんだ、アイツ。」
と小野が言う。
皆んながその何かを見ようと目を窄めると
「あぁ・・・もぉ、くそ。早く‼︎走って!」
と山葉が怯えるように叫び、俺たちを誘導する。
「早く!・・・殺される。」