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米ナンバトラー米波敗守(まいなみばいす)と雷張(らいばる)と南波菜舞奈(なんばなまいな)(短編版)

作者: 聡務省(そうむあきら)

 米ナンバトル! それは米ナンバーカードを使ったバーコードバトラーみたいな遊戯。

 登録と還元の手続きが面倒な米ナポイントを賭けて行われる刺激的な遊びである。


 これは、米ナンバトルに魅了された少年少女達が繰り広げる、ひと肌くらいの熱さの物語である。


①難波小の米波敗守はその日もバトルに敗北した。

 ライバルである雷張の米化物(マイモンスター)が繰り出す攻撃は激しく、今回も攻勢に転じることが出来なかった。

 翌日、美少女転校生の南波菜舞奈がクラスの話題となる。

 雷張は彼女に良い所を見せようと敗守にバトルを挑み勝利する。

 放課後、落ち込む敗守に舞奈が声をかける。

「自分の米ナンバーを信じられない者がバトルで勝てるわけがないわ」

 その夜、敗守は自問する。

 米ナンバーとは、番号の意味とは――そして彼は気づく。

 米ナンバーを信じる事は、自分の力を信じる事でもある、と。

 翌日、敗守は雷張にリベンジ。激しい闘いの末に勝利を収める。

 敗守は勝利で得た米ナポイントの半分を舞奈に譲ろうとするが「決済は基本現金だからいらない」とアッサリ断られる。


②雷張一家が経営するラーメン屋に危機が迫る。

 店の向かいに大手フランチャイズ店が出来たのだ。

 店を手伝わされ、バトルの時間を割けない雷張を哀れに思った敗守は、舞奈を誘ってフランチャイズ店に乗り込む。

 翌日、敗守は味やサービスでは例の店に決して勝てないことを雷張に報告し、ぶん殴られる。

 雷張は起死回生の為、舞奈に看板娘になってくれと頼み込む。

 バトルに負ければ生涯ラーメン無料券を発行する、という条件で敗北。舞奈は強かった。

 その場のノリで敗守も舞奈に勝負を挑み敗北。

 翌日から女装した敗守が看板娘になり、ヘンな常連が付くようになった。


③米ナンバーカードを賭ける闇バトルを仕掛けてくる、悪の組織が出現したと教室で話題に。

 そんなある日、敗守がコスメ店に寄った帰り道、変な奴から米ナンバトルを申し込まれる。

 敗守が勝負を受けると、変な奴は米化物を2匹召喚した。

 彼は米ナンバーカードの紛失届を市役所に提出した後二枚目を再発行し、さらにリーダーを改造していたのだ!

 この変な奴こそ世間を騒がす悪の組織の一員だと確信した敗守は、善戦虚しく敗北。

 米ナンバーカードを奪われる。


④暗い顔で女装しながらバイトする敗守に、常連のおじさんが声をかける。

 敗守は昨日、市役所で米ナンバーカード紛失手続きをしてきたのだ。

 おじさんは自らが米ナンバーカードリーダー機器の開発関係者だと明かし、敗守のカードリーダーを通知カードを読み込めるよう改造した。

 新たな米化物を手に入れた敗守は、悪の組織への再戦を誓うのだった。

 後日、敗守はおじさんからオムライスにケチャップで文字書くやつを頼まれ、好評を博した結果、ラーメン屋にヘンなサービスが一つ増えた。


⑤舞奈が下駄箱にて、恋文と米ナンバーカードを発見。

 恋文には、自分の事を知って欲しいからカードを置いた、と綴られていた。

「米ナンバーカードを何だと思ってるんだ」

 相談を受けた敗守はそう憤ったが、舞奈はそのカードのある部分に着目していた。

「ここ――書かない人もいるのに立派だわ。会ってみようと思う」

 しかしそこで雷張が登場、そんな奴に会うのは止めろと米ナンバトルを吹っかけ敗北。


 その後、差出人と舞奈はちょくちょく会話を交わすようになったという。

 全く他人の心というものは、何が切っ掛けで動くかちっとも予測ができない。

 雷張はラーメン屋で一人麺を啜りながら、米ナンバーカードの臓器提供意思表示欄を眺めるのだった。


⑥色々あって悪の組織アジトに潜入した敗守は、変な奴と再会する。

 己の誇りを賭けて再び挑むも、二体の米化物による攻撃は激しく劣勢に追い込まれる。

 しかし敗守には秘策があった。通知カードと再発行した米ナンバーカードをダブルリードし、二体の米化物を召喚したのだ。

 ラーメン屋常連のおじさんが一晩で改造してくれました。

 敗守は勝利するが、変な奴は「お前はボスには勝てない」と負け惜しみ。

 そしてボス登場。最後のバトルが始まる。


⑦ボスは偽造米ナンバーカードの使い手。最高値の能力を持つ米化物に傷一つつけられない。

 諦めかけたその時、雷張と舞奈と常連のおじさんと恋文差出人が駆けつけ、敗守を鼓舞。

 負けるわけにはいかない。

 敗守は起死回生の一手を閃く。

 ハンドバッグから化粧水を取り出し、ボスのカードリーダーにぶっかけたのだ!


 カードリーダーに耐水性はない!!!


 こうして敗守は勝利し、組織のボスは負けを認め町を去った。


 しかし、米ナンバトラーの闘いはこれからだ。

 闘え、米ナンバトラー米波敗守! 勝利せよ!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ひと肌くらいの熱さの物語である。」 このぬるさ、嫌いじゃない!(むしろ好き) 『遊☆戯☆王』をオマージュしているのですね。 米ナンバトラーが覚醒したら髪が立ったり風もないのにコートがぴ…
[良い点] 大事なことを言い忘れてました。 冒頭の、 「ひと肌くらいの熱さの物語である。」 この一文のセンス、素晴らしいですね!
[良い点] このノリ、嫌いじゃないです(笑) コロコロコミック……いやガンガンかなw 地味で命がけではないゲームバトルを小説でというのはかなり難しいと思いますが、短編連作形式でエピソードを区切り、コ…
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