22話
投稿が遅れてました。申し訳ございません。
とりあえず交換のできる三つの班から、それぞれ三人ずつが俺達の班のテーブルに集まった。
そのメンバーは、俺と浅海、七瀬と高島、涼と雛野だ。
まだ、時間はたっぷりとの残っているがさっさと終わらせて楽しむとしよう。
「はぁー、でもまさかここまで少ないとは思わなかったな」
「ほんと、亜希や彩月の料理は食べたことあるしね。もっと他の人の料理を食べてみたかったわ」
俺と浅海がそう言うと高島と雛野も同じようなこと思っていたらしい。
だが、七瀬と涼は呆れたような表情をしていた。
「あのさ、四人は違うのかもしれないけど普通は食べきれない量は作らないから」
涼の言葉に七瀬や会話には参加していない同じ班の右京や女子達もうんうんと頷いている。
俺達は納得いかないが、俺よりも涼の方が常識人だからきっと涼の言っていることが正しいのだろう。もう一度言うが俺は納得していない。
「そんなことより早く決めようよ。私、彩月や真田君達の料理を食べたいんだけど」
七瀬の言葉でとりあえずみんな落ち着いた。変なことでもめて時間を潰しては元も子もない。
「私に提案があるのですが、発言いいでしょうか」
「いいぞ。雛野、言ってみてくれ」
控えめに手を挙げた雛野に対して、司会的な立場だった俺が発言の許可を出した。なんで俺が司会なのかはよくわからない。
話をまとめるなら浅海あたりがいいと思うのだが。
「はい。一つの班が料理を振舞って、残りの二つが食べるというのはどうでしょうか」
「それいい。彩月、ナイスアイデア」
「僕も雛野さんの意見に賛成かな」
高島と涼がその意見に賛成であると示した。
七瀬と浅海も異論は無さそうだ。勿論、俺もそれでいいと思う。逆にそれ以上にいい案は浮かばない様な気もする。
「みんな賛成みたいだし、決定でいいな。それじゃあどの班から回ることにする?」
「私の班でいいですよ。提案したのは私ですし」
「みんなもそれでいいか」
俺がそう聞くと四人はしっかりと頷いた。
それからそれぞれ、自分の班へと戻って決まったことを説明した。
俺と七瀬の班は自分達で器を持って涼達の班へと向かった。
何を作ったのか知らないからとても楽しみだ。
「さて、みなさんお配りしますので並んでください」
雛野の言葉に従って俺達はきれいに一列に並んだ。
「小早川君、配るのを手伝ってもらえますか」
「わかった」
涼と雛野によって全員の手に料理が渡っていく。雛野達が作ったのは肉じゃがだった。
このチョイスは少し意外だった。
雛野の弁当はいつも和食より洋食の方が多かったし、一回振舞ってもらった時はフランス料理だった。だからてっきり洋食の方を作っていると思っていた。
「真田さん、驚きましたか。実は私の一番得意な料理は和食なんですよ」
雛野にしては珍しく俺をからかっているようだ。全くしてやられた。
「やられたとしか言えないな」
「そうですか。それは黙っていたかいがあったというものです」
小さく笑う雛野は俺をだませたことが相当嬉しいらしい。
「真田さんをからかうのはこれぐらいにして、全員行き渡ったようなのでどうぞ召し上がってください」
雛野の言葉を合図にして揃って肉じゃがを食べ始める。
食べることのできないクラスメート達はどこか悔しそうな表情をしていた。
一口食べた感想は、うまいとしか言いようが無かった。
しっかりと出汁が効いていて、中身まで味が染みている。食感も硬すぎず柔らか過ぎず最高の硬さだ。特にジャガイモはやばいぐらい美味しい。
俺でもここまで美味しく作るのは無理だと思う。
「こんなにおいしい肉じゃがは初めて食べた」
「ありがとうございます。真田さんのお料理も楽しみにしていますね」
「それは、中々プレッシャーになるな」
あっという間に食べ終えてしまった。
正直もう少し食べたい気分だった。
他のみんなもまだ物足りない様な表情をしている。でも、それぐらい雛野の料理は美味しかった。
果たして俺が作ったものはこれを超えられているのだろうか。
でも、まだ俺達の班じゃない。次は七瀬と高島の班の番だ。
「次はうちらの番だね。ここあっち準備手伝って」
「わかった。みんなも手伝って」
高島と七瀬に続いて他の班員も二人について行って、準備を始めた。
高島がやはり中心となっているが、七瀬も十分動けている。
毎日の特訓の成果がしっかりと出ている。
「一体、何を作ったんだろうね、幸人」
「うーん。高島は家庭料理が得意だからそっち系じゃないか」
俺と涼はそんな話をしながら作業の様子を眺めた。
様子から何か揚げているようだが、何の揚げ物かまではわからなかった。
「よし、完成!みんな配って行って」
高島の言葉と共に一人一人に皿が配られる。
皿の上に載っているのは、見事にカラッと揚げられたエビフライだ。
揚げたてでまだ、しっかりと熱を感じる。
わきにはケチャップとタルタルソースが添えられている。
早速、一尾手にもって一口食べる。衣のサクッと感がたまらない。だが、エビの食感もしっかり残っていて、凄い美味しい。
タルタルソースは、エビフライの味を際立たせるような味になっている。多分、高島の手作りだと思う。
「やっぱり、亜希のエビフライは最高だわ」
「はい。とてもおいしいです」
浅海と雛野は初めて食べるわけではないらしい。二人とも久しぶりらしくしっかり堪能しているようだ。
誰もが美味しそうに食べている。
雛野の料理の料理と言い、高島の料理と言い俺はこの二人を超えることが出来ているのだろうか。これだけのものを見せつけられると凄い不安になってくる。
「真田君、そろそろ準備を始めない」
「ん、そうだな。するか」
「じゃ、俺も手伝うぜ」
右京も含めた三人で自分達のテーブルへと戻った。
「で、どうするの。今のままだとあの二人に勝てないわよ」
「えーと、浅海は二人と勝負してるのか?」
「ええ。勿論よ」
浅海は、雛野や高島と勝負していたらしい。全く気付いていなかったが、俺の責任が予想よりはるかに重要だとい今、分かった。
授業が変な方向に向かっているような気がしなくもないが。きっと大丈夫だろう。
「まぁ、でも今のままじゃ勝てないのは俺も納得なんだけど」
「えっそうなのか。俺は真田の作ったのが一番うまいと思うんだけどな」
右京の言葉は嬉しいが、あの二人に勝つのは少し難しい。
少し改良を加えればいいかもしれないが、そんな案もまだ思いついていない。何かいい案があればいいのだが。
「なぁ、それなら卵追加とかどうなんだ」
「うーん、それが出来ればいいだが、人数分も卵が余ってないと思うんだ」
俺も半熟卵を追加すればいいと思ったが少しは余っていも全員余っているとは考えづらい。それに、食材はすでに片づけられていて確認のできない。
「なら、俺が先生に余ってるか聞いてくる」
そう言い残して右京は、優し気な表情でみんな見守っている先生の所へ向かって行った。
その背中を俺と浅海は心配しながら見ていた。
先生と何か話していた右京は頷くと、こちらを向いた。その顔は、誇らしげな表情で満ち溢れていた。
その表情のまま右京は俺達のもとへと戻って来た。
「いやー、やっぱ聞いてみるもんだな。あるってよ人数分の卵がな」
「マジか‥‥‥」
その言葉を聞いて俺はそれ以外の言葉が出てこなかった。浅海も驚きの表情を浮かべている。
多くの班が卵を使っていたから絶対ないと思っていたのに、一体どれだけ用意されていたんだ。
でも、これでどうにかなるかも知れない。




