21話
「わっ、うまっ!」
そう言いながら右京はカルボナーラを口の中に運んでいる。
声からも、その食べっぷりからも右京が美味しそうにたべているのがわかる。
それが自分が作ったものならなおさらうまいはずだ。
「生クリーム使ってないとは思えないぐらい
右京の言葉に女子達は驚いたような表情を見せる。
「えっ!?生クリーム使ってないの」
「ああ、使ってない」
浅海の言葉に俺は即答する。
まさか、気が付いていないとは少し意外だった。浅海なら何となくでもわかるんじゃないかと思っていたから。
「でも、そういわれたらお店のより卵の風味が強いわね」
「莉乃わかるの」
「私、全然わかんないんだけど」
ここは、流石浅海だ。
意識して食べれば少しの違いも分かってしまうのだから。
俺的には、生クリームのアリと無しでは、味が結構変わると思っていたのだがわからないもの何だな。
そんな、こと思いながらも自分と右京で作ったカルボナーラを口の運ぶ。実際、かなりうまく出来たと思っている。
できれば、涼や七瀬達にも食べさせたいものだ。
「真田君。あたし達が作ったスープとサラダはどう?」
舌鼓をうっていると、浅海が彼女達の料理に対しての評価を求めてきた。
「そうだな。スープを今日の気温に合わせて冷たいのにしたのは凄いと思うし、サラダで足りていない栄養を補っているのは凄いな」
俺は素直な感想を口にするが勿論出てくるのはいい評価ばかりだ。
それぐらい、浅海の考えた二品は良かった。
今日が気温が高いから熱くない冷たいかぼちゃスープ。隣で作業しているのだからお互いに作るものはわかっていたが、足りていない栄養素をきっちりと入れたサラダ。
どこにもマイナス点がない。
浅海も勿論のこと凄いが、それにしっかりとついて行った二人もすごいと思う。
「流石、よくわかってるわね」
「それは、どうも」
浅海をほめていたつもりなのにいつの間にか対象が俺に変わったのは何故だろう。よくわからない。
それにしても、他の班のがかなり気になる。
特に、七瀬と高島の班、それに涼と雛野の班だ。涼と雛野の班に関しては少し危なそうなやつが一人混じっているが大丈夫なのだろうか。
「あたし、心愛たちの気になるわ」
近くに俺と同じ意見の人物がいたようだ。
「それは、俺も思った。気になるよな」
俺も同意すると二人で他の班の料理を食べる方法はないか考え始めた。
右京と女子二人にはかなり引かれていたが。三人は今のぶんだけで十分らしい。
そうして、浅海と二人で考え出したのが交換だ。調子に乗った俺と浅海は全く気付くことなく分量を五人分より多く作ってしまっていた。
俺と浅海がやらかしたのだから、他の四人も同じ可能性が高いと思ってそれにかけてみることにした。
だか、そんなことをしてはいいのかわからないからとにかくまずは先生に聞いてみることからだ。オッケーならそのまま、まず七瀬と高島が居る班に自分達の品を持って直行。
ダメなら頑張って先生を納得させればいいと思っている。
俺と浅海は二人で先生のいる一番前のテーブルへと向かった。
「あの、先生いいですか」
「はい、何でしょうか?」
家庭科の先生は、五十代で優しげのある女性の先生だ。そして、授業を毎回俺達が楽しめるようにしてくれて人気のある先生の一人だ。
「他の班と作った料理を交換できないかと思いまして」
「それはまた何故ですか」
「実は俺達ついつい作りすぎてしまって余っているんです」
「それならあたし達で全部食べるより、他の班と交換するのもいかなって思ったんですがどうですか」
「そうですね。わかりましたいいでしょう」
先生が許可を出してくれたことに二人で小さくガッツポーズをする。
「今からこのことを皆さんに言うので真田君と浅海さんも一回自分の出来に戻ってください」
「「わかりました!」」
俺達は元気によくそう言って自分達の席へと戻る。
戻った時に様子を見ていた右京達が呆れていたが俺達が気にするわけがない。
席に座ったことを確認した先生はみんなにおれと浅海の提案を話してくれた。細かいことは先生がきめてくれた。あの一瞬でそこまで考えたのかと思うと先生は凄いんだなと思わざる負えない。
だから、色々決まりがあって沢山は食べれないが食べられることに問題はないからさほど気にしていない。
七瀬と高島が作ったもの、涼と雛野が作ったんものが食べられるのだから。悪いがその二つの班のしか食べる気はない。
交換タイムが始まった。
交換できるのは、料理が余ってる班だけ。
そして、できるのはまさかの俺達の班も含めて三つだった。
その残り二つが、当然の様に七瀬と高島の班と涼と雛野の班だった。
残りの班は見事に鍋やフライパンは空になっていた。




