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17話


「やはり知らなかったんですね。私の事」

「えーと、ごめん」


 どうしていいかわからず取り合えず謝ると雛野は目を丸くした。


「いえ、私の事を知っても離れて行ったりしないんですね」

「どういことだ?」

 

 俺は言葉の意味を理解することが出来ず首をかしげる。

 そんなえぇー!みたいな表情をされても困るんだけど、知らなった俺が悪いのだが。


 騒がしい俺達の様子に気が付いた七瀬が食べるのをやめた。と、よく見てみると弁当の中身は空になっていた。


「あっ言い忘れてたんだけど、真田君って私の事を変な目で見なかったんだよね」


 あっけらかんと話す七瀬に三人の女子は驚いているようだった。そんなに驚くことなのか俺にはよくわからないが。


 七瀬は三人の反応を気にすることなく話し続ける。


「だから真田君なら私達の友達になれると思ったの」


 七瀬が俺の事をそんな風に評価してもらえるとは嬉しい限りだ。

 クラスの中で話しているのだから、今教室の中にいる生徒には聞えるわけで男子からの視線が強くなった気がする。


 もう少し七瀬には周りを気にして話をしてほしい。あとで言っておこう。


「心愛がそう言うなら間違いないわ」

「確かに、ここあっちの言う事なら間違いないわ」


 浅海と高島も七瀬の言葉に納得しているようだった。


「それではお友達としてよろしくお願いします。真田さん」


 友達が増えることは普通に嬉しい。数少ない友人が一気に五人も増えた、それも女子がだ。


「こちらこそよろしく」


 俺は雛野と握手を交わした。

 雛野の手は、小さくてずっと握っていたいと思えるような手だった。


「よし!うちらとらいん交換しよう」


 高島がそう切り出した。


「あっそうね」

「私もしておきたいです」


 浅海と雛野も同意してくれた。

 教室はざわめき出しているが気にしたら負けだろう。俺は周りに反応することなく三人と、らいんを交換した。


 交換も終えたところで残りの弁当に手を付けた。


「予想していた通りだけど、真田君のお弁当すっごくおいしいわ」


 俺の肉巻きを食べながら浅海は笑顔でそう言った。


「予想ってどういうことだ?」

「あれ、忘れたの真田君。四人でおいしそうだなって話をしたって言ったの忘れたの」

 

 そういえば七瀬がそんなことを言っていたな。


「あぁー、思い出した七瀬がそんなこと言ってたな」

「真田君って意外と忘れぽっいよね」


 俺と七瀬がそんなことを話していると、三人から変な視線を向けられているのに気が付いた。


 俺と七瀬がそちらに向くと一番興味ありげな目線を向けてきていた浅海が小声で話しかけてきた。小声なのは周りに聞かれてはいけないと判断したからだろう。


「ねぇ、二人って友達同士だよね。親しい雰囲気を感じるんだけど」

「「‥‥‥」」


 隠すつもりはなかったがこんなに早くばれてしまうとは想定外だ。

 何も言えない俺達は三人から目を逸らすだけだ。


「やっぱり二人とも仲良かったんだ」

「うん、まぁ‥‥‥」


 高島に問われてしどろもどろに返事をする七瀬は明らかに顔から血の気が引いていた。元々、知られる予定じゃなったから戸惑ってるんだろうな。


「えーと、家に帰ってから『らいん』でこのことは話してもいいか。他の人に聞かれたくないから」


 俺が提案すると四人とも納得してくれた。


「私達に言わなかったのは沢山の人に知られたくなかったからですよね」

「あぁ、その通りだ。まさかばれるとは思ってなかったけど」

「でも、案外わかりやすかったわよ。ただの人見知りではないことは見てまるわかりだったわ」


 浅海にそう言われて普通に驚いた。

 できるだけ他人を演じていたのにまさか何となくでも気づかれていたとは、演技の才能ないな俺。


 そこでこの話は打ち切りになった。ずっと小声で話していては流石に周りから怪しまれると判断したからだ。


 とりあえずグループを作って帰ったら直ぐに五人で会話ができる用にはしておいた。


 そこから話題は沙夜の事に移ってしまった。


「幸人の妹ってどんな子。うち興味あるんだけど」

「そうだな‥‥‥」


 俺が話そうとすると七瀬が凄い勢いで割って入ってきた。


「沙夜ちゃんはね、とっても可愛いの。なんでもできて完璧な所が可愛くて

、実はできないこともある所とか最高に可愛いの」

「う、うん。わかったからいったん落ち着いてここあっち」


 七瀬の勢いに押され高島の顔が引きつっている。あんな勢いで言われたら誰だって引く。


 だが、俺の話そうとしたことはだいたい七瀬が全部言ってしまった。可愛い言いすぎだとは思うクラスメイトも引いてるし。


「真田さん。妹さんの写真を見せてもらってもいいですか」

「あぁ、分かった。少し待ってくれ」


 俺はいつか七瀬にも見せた写真を三人に見せた。

 写真を見た三人は息をのんで見つめている。


「嫉妬するぐらい可愛いです」


 雛野の言葉に教室がまた騒ぎ出す。いちいち反応する生徒の皆さんも大変だな。


 雛野ほどの美少女が嫉妬すると聞こえれば騒がずにはいられないのかも知らないが。


「うちもこんなかわいい子は見たことない」

「庇護欲を掻き立てる可愛さね。守ってあげたくなっちゃうわ」


 高島と浅海をそれぞれ言葉をこぼす。

 改めて自分の妹が美少女だと再確認した感じだ。

 そして、何故七瀬がドヤ顔しているのかよくわからない。七瀬の妹ではないぞ。


「来年ここに入ってくるはずだからその時はよろしく頼む」


 今いるこの四人はタイプは違えど学年でもトップクラスの美少女達だ。

 きっと学年は違えど沙夜と仲良くしてくれるに違いない。すでに七瀬は親友と言っても過言ではないほど仲良しだし。


 四人は快く引き受けてくれた。彼女達も沙夜に興味を持って仲良くしたそうにしていてよかった。


「真田君、時間があるときに沙夜ちゃんに合わせてくれないかしら」

「あっ、りのっちだけずるい。うちも合ってみたいのに」

「私もお会いしたいです」


 三人は早く沙夜に会ってみたいらしい。

 ちなみにしばらく毎日会える七瀬は何も言ってこなかった。


「わかったわかった。都合がいい日に沙夜に会わせるから」


 俺がそう言うと三人は笑顔になった。

 七瀬は不満そうな顔をしている。沙夜が取られるとでも思っているのだろうか、別に七瀬のでもないんだが。


「ありがとう。真田君」

「ありがと」

「ありがとうございます。真田さん」


 美少女からお礼を言われるのはやっぱりなかなか慣れない。それが笑顔なら余計に。


 それから昼休みがもうすぐ終わるということで、それぞれ自分の席に戻った。

 俺が席に着いてから話しかけようとしてくる男子が居たが俺のもとへ来る前にチャイムが鳴り悔しそうに自分の席に帰って行った。


 放課後になって俺は涼と一緒に素早く教室を出た。

 昼休みに声をかけられなかった男子が来ると思ったからだ。明日、聞かれるかも知らないが今日のうちに作戦を考えるとしよう。


 下駄箱で菜月と合流して三人で帰路に付いた。

 帰る間、涼と菜月から昼休みの事について聞かれたのは言うまでもない。


 

 

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