16話
投稿遅れましたごめんなさい。
それと、背景の色を変更してみました。
七瀬と一緒に昼休みを過ごすことになってしまった訳だがクラスメイト、特に男子からの視線が痛い。
とりあえず、いつの間にか七瀬が用意していた椅子に座る。と、その前に自分の弁当を持ってくる。
食べる前に軽く自己紹介をすることになった。
俺は七瀬以外の三人の事をよく知らないし、向こうも知らないだろうからちょうどいい。
「俺は真田 幸人。よろしく」
「うちは高島 亜希。よろしく幸人」
俺の次はさっき俺に絡んできた女子。着崩した制服に丈の短いスカートに後ろで一つにまとめた金髪で気の強そうなギャルだ。それに身長が女子だとかなり高い方だろう。さっき立った時、身長が百七十の俺とほとんど変わらなかった。
「あたしは浅海 莉乃。仲良くしてね真田君」
七瀬と同じような雰囲気の少女でこのグループの中のまとめ役らしい。
確かにクラスでもリーダー的な存在だったはずだ。
腰の長さまで伸びている黒髪に整った容姿は、大和撫子と言う言葉が一番合うだろう。瞳はまるで猫を連想させるような力強さがあって容姿と相まってクールな印象を与えている。
「私は雛野 彩月と言います。よろしくお願いします真田さん」
最後はこの中で一番、清楚で真面目そうな少女だ。容姿は俺の想像するお嬢様だ。七瀬と浅海の中間ぐらいの長さの栗色の髪は、たまに沙夜がしているの多分同じで、ねじってルーズにまとめている。
雛野って名前どこかで聞いたことがあるような、ない様な‥‥‥。
三人とも七瀬と並んでも引けを取らないぐらいの美少女と言ってもいい容姿をしている。それぞれタイプは全く違うタイプの美少女達で性格も似ていないと思う。なぜ、まるで違う四人が一緒に居るのかは何となくわかるけど。
でもそう考えると、とんでもないメンバーと一緒になってしまった。
男子からの視線が痛いわけだ。女子の視線もあるけど興味の方が強い気がする。
「三人と真田君の挨拶も終わったし、お弁当食べよ」
七瀬の言葉に俺達は頷くとそれそれ自分の弁当を取りだす。
予想はしていたが全員自分の弁当を持ってきている。
自分で持ってきてないのは七瀬だけの様だ。
「すごいな‥‥‥」
俺は思わずそうつぶやいた。
味の方は食べないと分からないが見た目だけで言えば、どの弁当もすごい美味しそうだ。どうやら七瀬以外の三人は料理が得意らしい。
高島の弁当ははギャルの要素はどこへ行ったと思わせる位、丁寧に一つ一つ作られている。ギャルだからと言って少し舐めていたが、俺の予想以上に女子力が高い。
浅海の弁当は彩り豊かだ。
色のバランスやおかずの置く場所がしっかりと考えられて作られてるような気がした。俺でもこんなに見ていて飽きない弁当が果たして作れるだろうか。
最後は雛野の弁当。
豪華というのが一番しっくりくる弁当だ。使われている食材は多分、全部が高級品だ。それをうまく調理している雛野は十分凄い。
と言うか相当のお金持ちのお嬢様と言うことが分かった。
俺の弁当はあの三人に負けている気がする。
地味ってわけではないが特に目立つところもないし、高級食材を使っているわけでも無い。
なのに美少女達の視線は俺の弁当に集まっている。
弁当箱を出して蓋を開けるとこまで行ったのはいいが一向に食べるような素振りを見せない美少女達。
俺がおなかがすいたから早く食べたいのだが、この雰囲気は凄い食べづらい。それに、彼女達が見ているのは俺の弁当だから。
「えーと食べないのか」
俺がそう聞くと前に座っている雛野が顔を上げた。
その顔は真剣な表情をしているが何にそんな真剣になることがあるのか。
「あと五分だけ待ってください真田さん」
「あっ、はい」
俺の反応が面白かったのか雛野はクスッと笑った。
彼女達は宣言通りに俺の弁当と俺が作った七瀬の弁当を五分間無言でじっくり眺めていた。その表情は真剣でまるで俺の弁当を四人で品評しているように見えた。
「観賞はこれぐらいにして食べよっか早くしないと昼休みが終わちゃうしね」
浅海の言葉に俺は賛成を示すが他の三人はご不満の様だ。
それでも、雛野がこちら側に代わり多数決で勝った。高島と七瀬はまだ不満そうだったが。
「「「いただきまーす」」」
「「いただきます」」
五人で一緒にいただきますをする。
こういうのは忘れずにするのが大事だと俺は思う。
楽しそうに言ったのが、七瀬、高島、浅海。落ち着いた感じで言ったのが俺と雛野だ。
「亜希、その唐揚げを私にくれませんか」
「いいよ。それじゃあひなっちのえーとこれ頂戴」
楽しそうに雛野と高島がおかずの交換をしている。
おかずの交換なんて小学校の遠足以来していない分、目の前で行われている光景が懐かしく思えた。
そんなことを思いながら自分の弁当を食べ進める。
やっぱりいつもより作りすぎた。
俺は問題ないけど七瀬は全部食べ切れるか心配だ。
「心愛、おかずくれないかな」
今度は浅海が七瀬の弁当のおかずをねだっている。
「嫌。これは私が全部食べるの」
七瀬はおかずを一つも渡すつもりはないらしい。
守るように弁当箱を手で覆っている。
「あっ、うちも食べたーい」
「心愛さんだけずるいですよ。私も食べてみたいです」
高島と雛野も加勢し始めた。
三対一になっても七瀬は負けじと頑張っている。
このままだと埒が明かないと考えたのだろう三人は俺に助けを求めてきた。助けると言っても七瀬を説得するだけなのだが。
「なぁ七瀬。少しぐらいみんなにあげてもいいんじゃないか」
「うっ~‥‥‥」
俺がそう言うと七瀬は駄々をこねるような声で唸っている。
この様子だと説得するの難しくない。
「ねぇ、心愛がダメなら真田君からもらえばよくない」
高島の言葉にその手があったかみたいな顔を全員しているに違いない。
よく考えてみれば俺と七瀬が食べている物の中身は全く同じなのだから問題ないのか。
「俺のいいんなら好きなの物を取ってもらって全然いいけど」
俺がそう言うと彼女達の目が怪しく光ったのは気のせいだろうか。
高島、浅海、雛野の三人はお礼の言葉と共に俺の弁当からおかずをぬきさっていった。
高島がハンバーグを浅海が肉巻きを雛野が卵焼きを取って行った。
七瀬はおかずが安全だと理解して隠すようなことはせず食べ始めた。
「夢にまで見た物が食べられるとは夢のようです」
うっとりとした表情で雛野はそう言った。
俺の弁当そんなすごくはないはずなんだけど、雛野の弁当の方が俺のより豪華だ。
そこまで期待されると困る。
そんな俺の心配をよそに雛野は卵焼きを一口食べた。
もぐもぐと口を動かして考えるような仕草をする姿に、よくわからないが緊張を覚える。考えてみると俺の料理を食べておいしそうな表情を見ないことが無いからそのかもしれない。
食べ終わった雛野は真剣な趣で俺の方に向く。
どんな小言を言われるのかと覚悟を決める。そんな心配をよそに今の顔を何だったのかと思わせるように雛野は固い表情を崩して笑顔を浮かべた。
「とてもおいしいです。流石真田さんですね」
その言葉を聞いて俺がほっとしたのは言うまでもない。
「あの彩月からおいしいと言わせるとはやるねぇ、真田君。これは期待できるね」
そんなことを言いながら自分も肉巻きを食べ始める浅海の言葉に俺は首をかしげる。
雛野に評価されるのはそんなに凄い事なのだろうか。
「あっ幸人。まるでりのっちの言葉が良くわまらないみたいな顔してる」
「‥‥‥」
図星で何も言えない俺を見て余計に悪そうな笑みを浮かべる高島。
「ひなっちは、雛野グループの一人娘なんだよ」
「マジか‥‥‥」
驚きのあまり言葉を失う。
雛野グループと言えば日本で一、二を争う大企業ではないか。
俺の様子を眺めながら高島はにやにや笑っているし、その雛野も微笑を浮かべている。
まさかそこの一人娘がこの学校に通っていたとは、同じクラスなのにまったく知らなかった。今度、涼にも知っているか聞いてみよう。




