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初投稿です。面白い作品にできるように一生懸命頑張ります!完結まで書くか正直わかりませんがこれからよろしくお願いします!
「兄さん。起きてください」
その声で俺、真田 幸人は目を覚ました。起こされるということは目覚まし時計をセットするのを忘れてしまっていたらしい。
俺を起こしたのは中学三年生の妹、沙夜だ。セミロングの黒髪に、ぱっちりした瞳。兄のひいき目を無しにしてもかなりの美少女だ。
普段は大人びたクールビューティーな雰囲気だが、俺の前では甘え上手で可愛い妹になる。
「兄さん、おはようございます」
「ああ、おはよう沙夜」
「朝ごはんは作り終わっているので早く降りてきてくださいね」
「わかった、着替えたらすぐ行く」
沙夜が部屋から出て行ってから俺は制服に着替えた。
それから、洗面所に行って顔を洗う。洗い終わって顔を上げると、少し長めの黒髪に、力強い瞳の俺の顔が映っていた。俺はまだ少し眠そうな自分の顔を見て苦笑する。
朝の用意が終わった俺は、沙夜の待つリビングへと向かった。
「あ、兄さん。ちょうどですね」
「今日は和食か」
「はい、そうです」
テーブルには二人分の白飯に味噌汁、焼き魚、漬物といった和食がきれいに並べられていた。どれも沙夜が一人で作ったものだ。
「「いただきます」」
二人そろって「いただきます」をして食べ始める。
「流石今日も完璧だな」
「ふふ、ありがとうございます」
俺と沙夜は幼い頃から料理が好きだ。親が別に料理関係の仕事をしているというわけではないが、小学校に入ったころには母親と一緒にキッチンに立って手伝いをしていた。
料理の腕は、学校の調理実習で家庭科の先生の予想をいい意味ではるかに上回るぐらい俺と沙夜は料理が上手だ。どちらの方がうまいかについてはほとんど一緒ぐらい。
今は二人でマンションに暮らしていて料理は交代制になっている。
なぜ二人暮らしかと言うと、警察官の父さんが県外へ赴任になった時に、家事がほとんどできない父さんを心配して母さんも付いて行ったからだ。
その代わりに防犯設備完璧のマンションを俺達のために新しく借りてくれた。
「兄さん、今日の夜の分を頼んでもいいですか」
朝食を食べながら沙夜は俺にそんなことを言ってきた。沙夜から頼み事とは珍しい。
「いいけど、何かあるのか」
「はい。生徒会の仕事で遅くなるので」
沙夜は十月の後半には引退するが、生徒会で生徒会長を務めていてる。だから、生徒会の仕事で帰りが遅くなることがある。
だから、そうなった場合は帰宅部の俺が代わりに作っているのだ。その代わり、俺の当番の日に沙夜が暇だったら沙夜が作ることになっている。
「わかった。仕事頑張れよ」
「はい。ありがとうございます!」
そう笑顔で返す沙夜に俺も微笑んで答える。今の沙夜の笑顔で、何人ノックアウトするかな。それぐらいの威力がある笑顔だった。
「何か食べたいものってあるか」
「そうですね‥‥‥」
俺がそう聞くと、沙夜は唸りながら考え始めた。何を食べたいのか真剣に考えているようだ。
「チキンカレーが食べたいです」
「ん、分かった。チキンカレーだな。材料は俺が勝手に買ってくるけどいいか」
「問題なしです」
「そうか、楽しみにしといてくれ」
それからは、沙夜の生徒会の仕事の事とか、普通の兄妹がするような話をした。
「兄さん。もう一ついいですか」
食べ終わって二人で洗い物をしていると、沙夜が二度目のお願いをしてきた。二回目とは、本当に今日は珍しな。
「ん?まだ何かあるのか」
「生徒会があと少しで終わるので私も本格的に受験勉強に集中したいと思いまして」
俺が聞き返すと少し恥ずかしそうな表情をしながらそう言った。沙夜も今年は受験生だ。勉強に集中したくて当然だろう。勿論、兄としては応援するだけである。
「そうか。頑張れよ」
「はい。それで私の当番の日を少し減らしてほしいのですがいいでしょうか」
「まぁ、沙夜がそうしたいなら俺は全然大丈夫だけど」
「そうですか。ありがとうございます」
沙夜は俺と同じ高校を受ける予定らしい。俺の通う高校は県内でも有数の進学校だ。
沙夜は入学してからずっと三位以内に入っているし、問題なく合格できるだろ。そもそも今から本格的に受験勉強ってなかなか遅い方なのではないだろうか。
「兄さん。また勉強見てくださいね」
「別に俺が見なくても沙夜なら問題ないだろう」
俺がそう言うと頬を膨らましながら上目遣いに見てくる。睨んでいるのだろうが、別に怖くもなんともない。と言うか無茶苦茶可愛い。
ここで折れてたらシスコンだと言われそうだ。勿論、俺はシスコンだから、折れるけど。
「俺でいいなら、いつでも見るよ」
「流石は兄さんわかっていますね。ありがとうございます」
そう微笑む沙夜。普段は大人びているけど、こうしてみると普通の女の子なんだよな。
「沙夜。嬉しいのはわかったから手を動かして続きしないか。遅れるぞ」
「あ、そうでした」
慌ててまた洗い物を始める。完璧に見えて以外とどこか抜けているところも可愛いものだ。
それから、さっさと残りの洗い物を終わらしてほんの数分だが沙夜の勉強を見てやった。
「兄さん、行ってきます!」
笑顔で手を振って沙夜は家から出て中学校に行った。いつもは一緒に家を出ているが、今日は生徒会で始業式の準備があるとかで俺より先に家を出た。
一人暇になった俺は、ハマっているスマホゲームのニュースを見つけて家を出る時間になるまで読んで時間を潰した。
「よし、俺もそろそろ行くかな」
すっかり読みふけってしまったようでいつの間にか家を出る時間になっていた。
高校には徒歩と電車を使って登校していて二十分ぐらいで着く。今ぐらいの時間に家を出ると、電車の時間にいい感じで駅に着くことが出来るがちょっと今日は急がないとやばいかもしれない。
俺は急いで鞄を掴むと「行ってきます」と我が家に声をかけて家を出た。
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