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8.理香の恋を応援するために、俺は。


朝の九時、タイマーをセットした時間通りに俺は目を覚ます。

今日は遊びに行く約束をしているので、二度寝をするわけにもいかないのだ。


俺は、一階の洗面所に行き歯磨き等を済ます。

玄関には、二足靴があったので母さんがいるのだろう。


そう思いリビングの扉を開けるとそこには……


「あ、彩人!おはよう!」


えっと、何でここに母さんじゃなくて理香がいるの……?何故か、ソファーに座ってるし。


数秒思考停止してから、俺はようやく目の前にいる理香が本物であることに気付いた。


「おはよう、それで母さんはどこに行ったの?」


「彩人ママはね、なんか私が家に来た瞬間あとはお願いねって言って急いでどっかに行っちゃったよ」


そういえば、昨日『明日は忙しいから起きても私はいないから』と言っていたのも思い出す。

ていうか、そんなことより……


「何で、理香がここにいるの?集合場所はここじゃないよね?」


これが、一番の疑問だった。

いつもは、理香がここに来るので特に何も思わないが、今日は休日で、しかも樹と遊ぶ日なのだ。

まさか、一緒に行こうとか言わないよな?一緒に行っても俺と理香の距離が友人的な意味で縮まるだけで、樹との恋は進展しないと思うんだけど……


「えっと、その、一緒に行こうと思って……」


本当に、恋する乙女の考えは意味が分からない。


もしあの時、理香の告白しているところを見ていなかったら、俺はもしかして両想い?なんて、ポジティブに考えてしまうのでは?と思うくらい、グイグイ仕掛ける相手を間違えていると思う。


理香は樹が好きなはずなのに、何で俺にグイグイ来るんだよ……


「いいよ、少し待ってて」


俺は、外出用の服装に着替えて玄関で待ってくれている理香のもとに行く。


「それじゃあ、行こうか」


「うん!」


そう言って、俺と理香は集合場所である駅を目指して歩いた。


***


「到着~!もう、すごい時間かかったね!」


電車を乗り継いで、徒歩七分近く歩き今回の目的地であるショッピングセンターに辿り着いた。


理香は、息遣いは荒いながらも笑顔で俺の袖を掴んできた。


「それじゃあ、早速行こ!」


何故か、俺だけ理香に引っ張られてショッピングセンターの中に入っていく。

理香、袖掴む相手間違ってるって。


「ねぇ、彩人!この服似合ってるかな!?」


「彩人!どうかな?この眼鏡かけると頭よく見えるかな!?」


と、なぜか俺ばかりに似合っているか質問されたが、本当にどれも似合っていたので素直に

「似合っている」と言うと、理香は恥ずかしそうにしていた……


って、これじゃあまるで、俺と理香のデートみたいになるんだけど。樹は黙って後ろからついてくるだけだし。


理香の恋を応援するために、いるのに。

何で俺が楽しんでんだよ。理香は、本当は樹と一緒にいたいのに……


「ごめん、お腹痛いからトイレ行ってきていいかな?」


「あ、それなら、近くで待ってようか?」


「いや、二人で遊んでていいよ、あとから合流するから」


俺は、それを言い終えると、急いで角を曲がりトイレに向かう。


そして、角を曲がり立ち止まる。


よし、これで完璧だ。

理香と樹、二人きりのデートをさせてあげたいので俺はお腹が痛い演技をしたのだ。

そして俺は、同じ建物内にあるとある場所に向かって歩き出す。


普通なら、理香と樹のデートを見守るのだろう。

でも、そんなこと俺にはできない。

理香が、樹と仲良く話し合って笑いあっているところをあまり見たくないのだ。


本当に、未練たらたらで。

友人キャラになるって決めたのに……

何でまだ、諦めきれてないんだよ。俺。


二人きりになるわけだし、きっと理香なら頑張ってくれるだろう!ガンバレ理香!


本心なのに、吐き捨てるように心の中で理香を応援する。


そして、いつの間にか目的地である。

映画館に着いていた。


何故映画館に来たかというと、俺の好きなラノベ原作のアニメの劇場版がやっているからだ。


先程まで、理香たちと一緒にいた場所よりかは少し遠いため、目撃される心配もあまりないのだ。


「よし、まだ上映はされていないようだな」


俺は急いで券売機でチケットを購入する。


そして、入場口に並ぼうとすると誰かが俺に当たってきた。


「あ、その、ごめんなさい、本当にすみません……」


「大丈夫ですよ……って」


彼女は、何度も頭を下げてから俺の顔を見てきた。

えっと、どうしてここに……


「あれ、どうしてここに彩人くんが……」


そこには、俺の友達である……菜乃がいた。


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― 新着の感想 ―
[一言] あの日以降に何となく様子がおかしい 彩人に、理香が練習通り告白すれば誤解も 解けて万事解決なんだけどね 理香がまるで彩人と恋人同士にでも なったかの様に振る舞うから、誤解している とはいえ…
[一言]  彩人は本人も言っている様に二人の事をこれ以上見ていたくない、だから理香たちに連絡することまで気が回らないという事ではないでしょうか。  勿論この場面では連絡するのが筋、しない等という事は絶…
[一言] 合流の約束したけどそのまま帰ると連絡するのかな。そして菜乃と映画で盛り上がる。こうして見ると彩人は理香の想いより自分の都合だけで動いているように感じる
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