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7.理香からのデートの誘い。


「そういえば、昼休みそろそろ終わるから帰ろうかな、さっきは本当にごめん」


昼休み終了まであと十分もなくなった頃、彩人くんは立ち上がりそんなことを口にします。


「また、何かありましたら是非来てください!私がいつでもお話を聞きますので」


久しぶりに彩人くんと話せて私は嬉しかった……

けど、今度はもっと違う話がしたいな…


「それなんだけどさ、俺も今度からここで食べていいかな?」


ここで今後一緒に食べる……

という事は、これから話す機会が増えるということ!


「はい!いいですよ!一緒に食べましょう!」


私は嬉しくなり、つい勢いよく返事をしてしまいました。


「ありがとう、それじゃあ、さようなら」


そう言って、彩人くんは部屋の扉を閉めました。

そして、私以外誰もいなくなった部屋で


「彩人君……」


私は、彼の名を呟きます。私の初恋相手であり、失恋相手である彼の名を。


「好きです……」


伝えるつもりのなかった言葉。

隠そうとしていた気持ちはもう……

抑えられなくなっていました。


諦めようとしていたのに、何で諦めないんですか私は。


彩人くんが理香さんの事が好きだというのは、分かっていました。

だから諦めたのです。彩人くんに迷惑なことはしたくありませんでしたから。


でも、失恋するなんて思わないじゃないですか。


私は、どうしたらいいのですか?

諦めずに、彩人君に近づいたらいいのですか?

それとも、彩人くんの事をこれまで通り友達として接すればいいんですか?


「ふふふっ、もう限界のようですね……」


分かっています。

諦めると彼は言っていますが、心の中では未だに理香さんのことを好きでいることを。


それでも、私は、彼の事が好き……なんです。


彼は、当時髪が少しだけボサボサで、読書ばかりしている私に図書室で、話しかけてくれました。

あの日から、徐々に私は。

彼に惹かれていったのです。


もう、あの時、あなたが私に話しかけなければ、こんな気持ちは抱えずに済んだんですからね!?

だから、責任を取ってくださいなんて言いません。

その代わり、好きでいさせてください。


彩人くん……好きです。大好きです。


***


昼休み、菜乃に慰めてもらい今は放課後になっていた。

教室には、理香とその友達が仲良く談笑していた。


いつもなら、下駄箱付近で待っていたが今は違う。

俺は靴を履き替えて昇降口を出る。


「彩人~!ちょっと待って!」


聞き覚えのある声を聴いて、つい後ろを振り向いてしまった。

後ろを振り向くと理香が慌てて上履きを脱いでいた。


名指しで呼ばれたので、仕方なく待っていると理香は不機嫌さを醸し出しながら近づいてきた。


「もぅ!何で先に帰ろうとするの?」


「眠いから、早く寝たいんだよ」


俺が適当に言い訳をすると、理香は「へぇ~」と言いながら俺のことを見つめてきた。


「まぁ、いいや!早く一緒に帰ろ!」


理香が、俺を置いて歩き始めたのでそれに追いつこうと俺は少し走った。



***


少し歩いてから、理香が突然話しかけてきた。


「そういえば、彩人はさぁ、明日の予定とかあるの?」


明日は、バレンタインの日なんだけど。

わざわざその日に渡しに来てくれようとしているのだろうか。そんな事しなくていいのに。


「ないけど、どうしたの?」


「ないんだったらさ!明日、休日だし、ででででデートしない!?」


恥ずかしそうに、そんな事を言う理香の顔を、俺は立ち止まってただ見ていた。

で、デート?何を言っているのだろうか。誘う相手を間違っているとしか思えないんだけど。


「え、誰と……?」


「私と……彩人……の二人で」


バレンタインの日を好きでもない幼馴染と過ごすつもりなのだろうか。


それは、ダメだ。

二人で行きたいけど、行ったらもう、この気持ちは制御不能になってしまう。そんな気がした。


「それだったらさ、樹も呼ばないか?」


だから俺は、三人で遊びに行くことを提案する。

友人キャラになると決めたから……

理香の恋を応援するって決めたから。


「樹くんも……?」


「いいかな?三人で遊んだほうが楽しいと思うんだけど」


きっと、樹のことを誘うのは恥ずかしいから、誘えていなかったのだろう。

ここで俺は、友人キャラとして助けてあげないと。


「……うん、いいよ」


こうして三人で遊びに行くことが決まった。

でも俺は、三人での遊びを楽しむつもりはない。


何故なら、理香の恋を陰ながら支えるつもりなのだから。


よろしければ、ブックマークとポイント評価をよろしくお願いします。


これは、昨日の分なので、今日の20時にもう一話投稿する予定です。

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