23.手作り料理!
今回作るものを決めたので、私はそれに必要な材料を冷蔵庫から取り出す。
卵は確かここに……あった!
「えっと、まずはケチャップライスから作らないと……ピーマンと玉ねぎ入れようかな!」
手際はよくないけど、できる限り早く作れるように一生懸命早くピーマンと玉ねぎを切る。
うっ、涙が……おのれ玉ねぎめ!
そんなことを考えながら、切り終えた玉ねぎとピーマンをフライパンで炒める。
「あっ、そろそろご飯いれないと……ケチャップも隣に置いといて!」
今更だけど、こんなに忙しくなるなら事前にもっと調べとけばよかった…!
料理自体は、何度も練習したはずなのに……本番ってだけで緊張が凄いよ……!
こ、これで完成した料理、彩人に美味しいって言ってもらえるのかな?
***
それから私は、何度も焦ったりはしたけど、失敗することはなく無事料理は完成した。
「ど、どうかな?味見したいけど……もう、既に形が出来ちゃってるから崩したくないなぁ……」
ケチャップライスだけでも味見したかったんだけどなぁ……味見するの忘れちゃった……
で、でも愛情はたくさん入れてるから美味しい……はず!
冷めた料理を食べてほしくないので、私はリビングの扉を開けて彩人とお母さんを呼ぶ。
「彩人~、お母さ~ん!お昼ご飯できたよ~!」
呼んでからすぐに階段を降りる音がした。
あ、彩人に料理を作る……こ、これって……夫婦みたい……!
そんな妄想をしている私を、彩人は不思議そうな目でジッと見つめてくる。
えっ、何か顔に付いてるのかな?私。
「顔赤いけど……どうしたの?大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ!ちょっと別のこと考えててそれで……!」
あ、彩人と夫婦になるとか考えるのはやめよう!
これ以上考えるとニヤついちゃうかもだから……
それに、夫婦になれない可能性も全然あるし………そんな事考えたくないけど……
恥ずかしくなった私は、彩人に目を合わせずにリビングの扉を開ける。
「そ、それよりご飯ができたから早く食べよ!」
「う、うん」
私は、彩人の背中を押して私の座る反対側の席に座らせる。
「へぇ~、オムライス作ったんだね!上手だね!」
その一言で私は嬉しくなって、彩人の顔が見れなくなる。
まず第一関門の見た目は突破だよね!
ふぅ~、よかった~!
「ま、まぁね!が、頑張ったもん!」
私が胸を張ると彩人は、笑ってくれた。
「そういえば、理香のお母さんは……?」
お母さんもさっき呼んだんだけどなぁ……
お母さんの分もしっかり作っているので私は、お母さんを再度呼びに行く。
「お母さん!ご飯食べないの?」
どこにいるか分からないので、二階にも聞こえそうな声で言う。
「先に食べてていいわよ~!」
そう言われたので私は、リビングの扉を閉めて彩人の反対側の椅子に座る。
「お母さんは後で食べるらしいから、先に食べちゃお?」
そういうと、彩人は「うん、そうしようか」と言って手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます!」
どっ……どうかな?
味見してないから分かんないよぉ~!味見しておけばよかった……!
人によって個性が出るオムライスをわざと選んだのに……味見し忘れるなんて……
でも今回私は、それだけの理由でオムライスを作ったわけじゃない。
今回、そのオムライスにしようとした理由は……!
「あ、彩人、待って!私がケチャップかけるから!」
「え、理香がかけるの?」
「うん!私がかける!」
そう!今回私がオムライスを作った理由は、ハートが書きたかったから!
子供の頃から、一度はしてみたかったのだ。
彩人にいつの日か、手作り料理を食べて褒めてもらいたい、そして夫婦になったら毎日手作り料理を作って彩人に食べてもらいたい!その夢のために私は昔から、よくお母さんの料理を手伝っていた。
その成果が無事発揮されたかはまだ分からないけど、オムライスにケチャップでハートを書いたら……
うふふっ!ど、どうなるかな~?流石に気付いてくれるかな!?
ハートが書いてあって、オムライスも美味しかったら私のこと、好きになってくれるかも……!
そんな期待をして私は、ケチャップをかけ始める。
よ、よし、ここからがハートって分かる部分に差し掛かる頃、リビングのドアが開いた。
お、お母さんが来ちゃった……どうしよう、ハート書こうとしてたなんて恥ずかしすぎるよ……
「ふふっ、綺麗にオムライスができてるわね!」
そう言ってお母さんは私の隣の席に座る。
うぅっ、仕方ないけど……ここは、マルを書こうと思い書こうとしたら彩人が「ちょっと待って!」と言ってきた。
「えっ、何が……?ってあぁぁぁぁ!」
彩人にハートマークを書くはずだったオムライスには、大量のケチャップがかかっていた。
ハートマークの事だけ考えてて見てなかった……や、ヤバいよ…
「えっと、その、ごめんね……?」
申し訳なくなって私は、少し頭を下げて謝罪する。
それに対して、彩人は手を横に振る。
「そ、そんなに気にしなくても大丈夫だよ?」
やっちゃった……!せっかく作った料理の味を台無しにしちゃった……
味、大丈夫かな?ただでさえ、味見し忘れて心配してるのに、心配事が増えたよ~。
これ以上、ケチャップをかける訳にもいかないので席に座る。
「それじゃあ、いただくわね」
そんな私と彩人の会話を見て微笑んだお母さんは、スプーンを手に取って、一口食べる。
「うん、美味しくできてるわよ、理香!」
「ほっ、本当?よっ、よかったぁ~!」
まだ、彩人のオムライスが美味しい保証はないけど、お母さんに作ったオムライスが美味しかったってことは彩人のも大丈夫なはずっ……!
彩人は、スプーンでケチャップのかかった卵とご飯を掬って食べる。
どうかな……美味しくできてるかな……?
「うん、本当に美味しいよ、理香!」
えっ!?い、今美味しいって言ったよね!?
よっ、良かったぁ~!
安心した私は、安堵のため息を吐く。
私も食べたいのでスプーンで掬って食べる。
うん!美味しい!
彩人が黙って美味しそうに食べてくれるので、私は嬉しくなり顔がつい赤くなる。
そんな私を見てお母さんは、私の耳元に話しかけてくる。
「よかったわね、彩人君に褒めてもらうために昔から料理の練習してたかいがあったわね……!」
それを聞いて私の顔は更に赤くなる。
だっ、大丈夫だよね!?今の聞かれてたら恥ずかしすぎるんだけど!?
チラッと彩人の顔を見ると、彩人は不思議そうにこちらを見つめていた。
「何かあったの?」
「う、ううん、何もないよ!それより食べよ!」
あ、彩人は少し不思議そうな顔をしながらもまたオムライスを食べ始める。
美味しそうに食べるその顔をつい私は、肘をついてジッと見つめてしまうのだった。
まさかの投稿!今後は21時とかに更新したいですね(したいだけです)
あと、今まで感想には特に制限をかけずにいましたが、一話にも書いた通り今後は、僕や読者が読んで不快になるような感想は書かないようにしてくださると嬉しいです。
傷つくような内容もやめてください。
それでは、次回もよろしくお願いします!