20.幼馴染を独り占め。
あの四人で一緒に勉強してから数日たったある日の休日。
俺は、理香に呼ばれて、理香の住む家に向かっていた。
「あ、ここだ、懐かしいなぁ……」
理香の家を見て、昔を少しの間懐かしむ。
家を出る時間が早かったせいか、約束の時間より早くついてしまったが、時間丁度まで待つのも嫌なのでインターホンを鳴らそうとする。
すると、『ガチャッ』と勢いよく扉の開く音がした。
「あ、彩人、来てくれたんだー!」
扉を開けた理香は、嬉しそうに俺を出迎える。
えっ、まだインターホンならしてないんだけど、よく気づいたな……
「まぁ、約束したからな、まさか二人きりで勉強会とは予想してなかったけど…」
実は今日、理香の家で勉強会を二人きりでしようと約束したのだ。
最初は行きたくなかったが、理香が泣く演技を校内でしたせいで断れなくなり、今に至る。
そんな俺の言葉に対して、理香は。
「だっ、だって、あの時彩人、菜乃ちゃんとずっと話してて私に勉強教えてくれなかったじゃん!」
「ご、ごめん……」
「まぁ、いいよぉ!?だって今日は私が彩人のことを独り占め……」
「……独り占め!?」
理香から、衝撃発言が飛び出したので、驚いて口に出してしまった。
「……きっ、気のせいだよ!私がそんなこと言うはずないじゃん!」
恥ずかしいのか赤面状態の理香は、慌てて否定する。
そうだよな、理香がそんなこと言うはずないよな!
だってそれだとまるで俺のこと……いや、もうこれ以上考えるのはやめておこう。
「その話は終わりにして、早く一緒に勉強しよ?」
問い詰められたくないからか、話を逸らして理香は、俺に家に入るよう腕を強引に引っ張る。
「わ、分かったから、腕を離してくれ!」
俺がそういうと理香は、ゆっくりと手を離して玄関に入るように手招きをする。
「早く入ろ、彩人!」
「あ、うん……入るよ、お邪魔します……」
俺は、ゆっくりと理香の家に入る。
すると、リビングから徐々に足音が近づいているのが聞こえた。
「あら、その声は彩人くん?久しぶりね~!」
足音の正体は理香のお母さんだった。
そういえば、この家に入るのも五年ぶりくらいか……
「あ、理香のお母さんお久しぶりです」
「久しぶりに彩人くんの顔を見たけど、随分イケメンになったのね」
なんて、言って俺の顔をじっくりと見つめる理香のお母さん。
それに対して何故か理香は胸を張って嬉しそうにしていた。えっ、何でそんな喜んでんの?
「そういえば彩人くん、高校生になって彼女はでき「できてないから!」たの……?あら、そうなの……」
……彼女、できるわけ……
と思いながら否定しようとすると、食い気味に理香が否定した。
いや、何で理香が食い気味に否定してんだよ。まぁ、事実なんだけど。
「でも、彩人くんモテそうだから告白くらいはされてそうね……」
いや、告白なんてされるわけと思って、今度も理香が否定するのかと思い、理香の方を見てみると。
理香は、潤んだ瞳で心配そうにこちらを見ていた。
「あ、彩人、ここここ告白されたこと…………あるの?」
「……いや、ないけど…」
俺が否定すると、理香は安心したのか安堵に近いため息を吐いた。そして、そんな理香を見て理香のお母さんは微笑ましそうに理香のことを見ていた。
俺と理香のお母さんが見つめていたからか、理香は恥ずかしそうに顔を赤くする。
「そ、そんなことより!私の部屋は二階だから……先に行ってて!」
え、俺一人で入っていいの?
流石に無警戒過ぎない?何もしないけど。
邪な事とか一切考えてなかったから、うん。
俺は、そんなことを考えながら理香のお母さんに軽く会釈をしてから理香の部屋へと移動する。
ここが理香の部屋……
ゆっくりとドアを開けて、久しぶりの理香の部屋に入る。
ドアを開けると、意外にも理香の部屋は俺の想像していた部屋よりかはだいぶ大人しめの部屋だった。
まぁ、それでも女の子感満載の部屋ではあるけど。
久しぶりに理香の部屋に入ったので周りを見てみると、机の上に一つのノートが置いてあった。
表紙には、幼い字で。
『ひみつノート』と書かれていた。
えっ、なにこれめっちゃ気になるんだけど……
でも、流石に中身を見るのはダメだよな。
見たい気持ちを抑えて俺は、机から少しづつ離れる。
すると、突然ドアが開いた。
「彩人!お茶持ってきたよ!」
「あ、ありがとう」
「今机持ってくるから、好きな場所に座っていいよ!」
そして理香は、勉強会が楽しみなのか嬉しそうに机を取りに行く。
てきとうに座って理香を待っているとすぐに理香は部屋に戻ってきた。
「よし、じゃあ、一緒に勉強しようか!」
そう言って、理香は俺の隣に座って勉強を始めようとする。
えっ、何で横にいるの?普通は正面に座るんじゃないの?
「理香……何故こっちに座って……」
「ほら、えっとさ、あれだよ、分からないところがあった時に聞きやすいじゃん!こっちの方が!」
絶対それが理由じゃないよね?
明らかに考えてる時間みたいなのあったし!
ま、まぁ、勉強するだけだし、理香の部屋で勉強する以上、俺にとやかく言う資格はないな。
「わ、分かったよ……」
俺が渋々了承すると、理香は満面の笑みで突然俺にくっついてきた。
「ち、ちょっと理香、何してんだよ!」
「ふふっ、何でもない!それより早く勉強しよ?」
そう言って教科書を開いて勉強を開始する理香。
えっと、勉強に集中できる気がしないんだけど。
やっと20話いきました!ありがとうございます!
今後も更新していきますよ!今日か明日にもう一話投稿しようと思います!
あ、あと、何時投稿がいいとかありますか?
あったら教えて下さい。
因みに今日か明日は多分20時投稿です。
最後に、いつも感想ありがとうございます!
誤字報告してくださった方も、ありがとうございます!