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19.恋する乙女の表情。


理香に看病してもらってから二日経った、ある日の放課後。

理香が突然、帰宅しようとしている俺の袖を後ろから掴んできた。


「理香……?どうかしたのか?」


反応するが、理香は何故か恥ずかしそうに俯いて黙っている。

黙ってしまって話が進まないのでもう一度聞こうとすると、理香は俯いたまま小さな声で話し始めた。


「あ、あのさ、彩人……今日、予定空いてるかな?」


「今日……?空いてるけど、どうしたの?」


俺の予定が空いていたからなのか、理香は安堵に近いため息を吐いた。


「えっとさ……もしよかったらなんだけど、今日一緒に勉強会しない?ほら、テストも近いしさ!」


ん?俺は今、勉強会に誘われたのか?いつもなら、即お断りするけど突然家に来たからとはいえ、二日前にするはずが俺のせいで出来なくなったからな……


「いいけど、他に誰か呼ばないのか?勉強会なら大人数の方が良いと思うんだけど……」


「やっぱり……そうだよね……」


そう聞くと理香は、俯いてから小声で何かを呟き、悲しそうな表情に一瞬なった後いつもの笑顔に戻り、「う~~ん、どうしよっか!」と言って考え始めた。


「彩人はさ、誰か来てくれそうな人に心当たりとかあるかな?」


心当たりか……

樹を呼ぶのは確定事項だとして、樹を呼んだ場合、理香と樹を恋人にさせるために頑張るけど、勉強もちゃんとしたいよなぁ。


勉強できる人で俺と関わりのある人と言えば……


「来てくれるか分からないけど……一応、誘ってみるよ」


***


私は今、彩人が誘ってくれた人を待つために、ファミレスの前に立って待っていた。


彩人を勉強会に誘って、まぁ二人きりで出来ないことは分かってたからそこはいいんだよ。

来るのも樹くんだってことくらい分かってたからそれもいいんだけどさ……!


「なんで、可愛い女の子呼んでるの!?そんなの予想外すぎるんだけど……!?」


えっ、彩人こんなかわいい女の子と知り合ってたの……

あっ、もしかして、この人がバレンタインの時に彩人にチョコを渡した人……!?

もしそうなら、私のライバルの可能性も……


「細かな紹介とかは後にして、とりあえずファミレスに入ろうか」


「あ、うん、そうだね」


そう言って、彩人の後ろについていく。

意外と客足は少なく、待たずして席へと案内された。


「席は……理香と樹がソファー側に座って、俺と菜乃でこっちに座ろうか」


…………彩人の隣、私じゃないんだ……

多分、彩人の事だから、初対面の菜乃さん?のことを気遣ってのことなんだろうけどさ……

彩人の隣は、私がよかったな……


ドリンクセットを注文し、各々好きなドリンクをコップに注いで席に座る。

そして、自己紹介タイムに入った。


「えっと、野坂 菜乃っていいます!よろしくお願いします!」


野坂 菜乃さん……よし、覚えた!

彩人と樹君はさっき自己紹介してたから残りは私だけだよね。


「佐伯 理香です!野坂さん、よろしくね!」


「あっ、はいっ、よろしくお願いします!佐伯さん!」


「理香で大丈夫だよ?野坂さんの事、菜乃ちゃんって呼んでもいいかな?」


「分かりました、よろしくお願いします!理香さん!」


そんな感じで自己紹介タイムも終わり、本題の勉強会が始まった。


彩人にスムーズな感じで聞いて、イチャイチャしようと思ってたのに……

樹くんと菜乃ちゃんがいて出来ないんだけど!

恥ずかしくて出来ないんだけど!どうしよう!?


「菜乃さ、ここの問題分かる?」


彩人は、自然に菜乃ちゃんに話しかける。

菜乃ちゃん、頭いいんだ……


あ、彩人にアピールしないと……!


「彩人、ここ分からないから、教えて!」


解いていたページを彩人の前に置き、教えてもらう。


「あ、そういう意味なんだ!ありがとう彩人!」


「またなんか分からなくなったら聞いてね」


そう言って彩人は、自分の勉強に戻る。

イチャイチャしたかったが、この真面目な空気の中でする勇気が私にはない。

こ、この後一緒に帰るわけだし、その時にそれとなく彩人の気を引かせればいいから、今はしっかり勉強しようかな!


彩人はきっと、私の成績が上がれば、褒めてくれると思うし!

よし、頑張ろう!


注いできたオレンジジュースを飲んでから私は、シャーペンを握り勉強しようとする。

そして、それと同じタイミングで菜乃ちゃんがシャーペンを落とす。


菜乃ちゃんはゆっくりと落としたシャーペンを拾おうとする。

そして、自分で拾おうとしていることに気づいていないのか、彩人も落ちたシャーペンを拾おうとする。


こっ、これって、もしかして………


「あっ、手触れちゃってごめんな、菜乃」


「わ、私こそ、ごめんなさい!」


机の下で何かあったのか、彩人と菜乃ちゃんは、お互いに謝っていた。


そして、落ちたシャーペンは彩人が拾ったらしく、手には女の子が使うような可愛らしいシャーペンが握られていた。


「これ、菜乃のだよね?」


「あっ、そうです!拾ってくれて、ありがとうございます!」


彩人は、シャーペンを返してすぐに、また勉強モードに入る。

菜乃ちゃんはと言うと、彩人が拾ったシャーペンをジッと見つめていた。


そして……嬉しそうに、顔を真っ赤にしながら触れた手をもう片方の手で隠した。


その表情は、まるで恋する乙女の顔で……


もしかして菜乃ちゃん……

彩人のこと…………


ここまで、読んでいただきありがとうございます!


新作でもないのに、投稿再開してから短い間にこんなに多くの方にポイント評価をしてもらえると思っていませんでした!

おかげさまで、めっちゃモチベ上がりましたよ!ありがとうございます!


最後に、ドリンクバーで炭酸を飲む方、もしくはコーヒーを飲む方。あとは、ジュースを飲む方!

それ以外の方も、今後も読んでいただけると嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
[一言] 朴念仁の彩人は置いといて 何で理香さんは「まるで告白成功して 彼女になれました」風に妄想出来るの だろうか? まだ何も始まってやしないよw 樹は全くしゃべってないし
[一言] 菜乃ちゃんと理香はライバル(理香優勢?)で、多分その内菜乃は、理香と彩人の両片思いに気づいて...? 樹はその内理香が好きになっちゃって...あーーーーーーーー! 妄想がとまんねー!!!!!…
[一言] 小説家になろうではじめて読んだ作品だったので、更新されなくなって寂しかったですが、再開されて本当に嬉しいです!! 頑張ってください!
感想一覧
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