第7話:魔人襲来
資料室から出た俺たちは、ギルドの慌てた状態を目の当たりにした。
先程までの賑やかな空気とは一変しており、その様子はまるで、魔王が現れた時のそれと似ていた。
「勇者殿、ハイル殿、これより緊急会議を行います故、大会議室に来てください!!」
ギルドマスターに手を引かれて大会議室に連れていかれる。
俺は周りの冒険者を見ていたが、それぞれ武器を持ってギルドを抜けていくのがわかった。
冒険者たちの表情は先ほどまで見ていた和気藹々としたものではなく焦りを感じさせるものだった。
会議室には俺とティール、ギルドマスターと銀級冒険者達が集まり、状況が呑み込めていない俺とティール以外は先の冒険者達と一緒で焦りを感じさせていた。
「先ほども言ったが、冒険者ギルド本部より通達があった。……魔王が新たに生まれた」
「あ、あと三百年は猶予があるんじゃなかったのか!?」
「そんな、確かに僕が魔王を倒したのに……まさか、復活した?」
周りにどよめきが走る中、俺は一人謎の違和感に包まれた。
そもそも、魔王が倒されたというのはほぼ事実で間違いない。
隣にいるティールが俺を追っかけてくる暇があるほど、今の彼ら七極星と呼ばれる勇者パーティーは自由に動けている。
それに、魔王が倒された後三百年の猶予があるというのは所謂伝承の域。
しかも、資料室にですらまともな情報は無い。
つまり、定期的なスパンで現れることは確定ではないのだ。
「そして、もう一つある。アージア神聖国の王都が……陥落した」
ギルドマスターが言った一言によって会議室全体の空気が凍り付いた。
特に、ティールの表情は徐々に青くなっていき、目からは雫をこぼしていた。
ティールは王都の貴族だ。
家族が居れば、最愛の人も居るかもしれない自分の故郷が陥落したと聞いたらその反応はおかしくない。
しかし……これはまずいな。
勇者の戦意喪失が周りに伝わり始めている。
それをなんとかせねば。
そう感じた時、事は起きた。
ドゴォォォォォォォォン!!!!!
街の南側、俺がこの街に入るために使った門の方から爆発音が聞こえてきた。
それは一種の恐怖でしかない。
俺は会議室を後にして南側に向かうことにした。
後ろから俺を止める人たちを一瞥もせずに。
――――――
「……ここにヴェルズビュートのいるのか」
私はその翼を翻してつぶやく。
魔族と人間の間に生まれた子供、もしくはその子孫の中に『七つの権能』を発現する奴がいる。
私はその候補者のいる街に来たのだが、私が降り立った衝撃で目の前の門は壊れてしまった。
これは、また怒られるかもな。
「さぁ、ここにおいで。ヴェルズビュートの資格者。この『憤怒の破壊者が見定めてあげるよっ!」
翼を翻して更に門を粉々にしていく。
( ^ω^)……。
また、やっちゃった。
次回は来週金曜日に更新を行います。
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