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閑話:それぞれの話

 サクラ編


 神界に連れてこられた時は正直、またかってなった。ハイルと会って数日。ハイルはあの極悪人『人斬り』に遭遇したり、迷宮ではなんかやばそうな魔物に会うし。でも、それでもハイルと一緒にいるのは楽しかった。もちろん、白金級冒険者だからっていうのもあるけど、人を包み込むような優しさが一番だ。


 私は昔、父に売られそうになった。それ以来、人の優しさが怖くなった。優しさの裏には何かがある、そう言い聞かせて過ごしてきた。それがスキルに現れたのか、私には『心視眼』を信託スキルと同時に得た。いわゆる魔眼の類の能力である。


 私はその『心視眼』の力で人を見てきた。……やはり、人は皆心に悪を抱いていた。私に対して下心を優しさに隠すもの、父と同じように飼い慣らして奴隷として売ろうとするもの。どいつもこいつも心には必ず悪があった。


 でも、ハイルだけは違った。優しさに邪な感情がない、いや、人と関わるときに一切の悪がないのだ。私はそれを視た時にその清さに驚きと喜び、そしてあまりに白すぎることに恐怖を感じたのだ。無条件の優しさ、それは時として恐怖になりえる。そう、私は知ってしまったのだ。


【ハイルはすでに狂っている。】


 狂気にも似たその優しさの中にハイル自身は含まれず、ただただ人の幸せだけを願って行動する原理。それでも、今の私はその優しさが愛おしい。だから、創造神セクターさんの話を聞いた時に私自身も狂気に飲まれた(決意をした)


「私は、どんな手を使っても彼を、彼の心を守りたい」


 その言葉に驚きを隠せていないセクターさん。当たり前かもしれない。ハイルの過去を聞いたからと言って私にできることはハイルを裏切らないことだけだ。今だけは。


 私が彼にとって大切になれば、特別になれば、唯一無二になれば、私はもっと彼を救える。支えられる。だからこそ、私はハイルに決意の表明をした。


「ハイル……私は必ずそばに居続けるよ。人を裏切るような家族の一人に渡しなんてしない。私が幼馴染だったらよかった」


 最後のほうは恥ずかしさのあまり声が小さくなってしまったがそれでもやることは変わらない。私は必ず彼の下に居続ける。


 ――――


 アル編


 いやーハイルさんはすごいな。サクラさんから聞いたけど半年で白金級に上がった『斬撃の剣神(グラディオ・カイジム)』だって聞いた時は納得した。同い年ぐらいなのにクールだし。でも、あの女、『剣星』様だっけか? あいつは許せねぇな。あと勇者、あいつも。伝説の通り女たらしとはびっくりだったぜ。


 それにしても、俺はどうするかな。『ダンダリオン』はほぼ壊滅、一応町にテマだけ置いてきたものの二人でやるには大きすぎた。ハイルさんに頼んで俺たちもパーティーに入れてもらおうかな。


「サクラさんなにを言ってるんですかね? あ、ハイルの兄貴! 俺も兄貴に付いて行きますよ!!」


 サクラさん怖いっす。一人で殺気出さんといてください。


 ――――


 勇者編


 彼を探し始めて三日たった。冒険者ギルドによれば、彼は地下迷宮の探索依頼に行ったままらしい。……最悪の事態を考えてしまうこの頭を俺はどうにかしたい。彼を追い詰めたのは間接的にであれ僕が原因だ。許してもらうわけじゃない。でも、誤解を与えたこととそれによって人生を狂わせてしまったことに対して僕は人として、謝罪をしなければならないのだ。


 彼女、レナも最近心が戻ってきたものの『術星』の宮廷魔術師のアリアが支えてやっと歩けるようなものだ。……ここ最近色々なことがあって皆参ってしまっている。


 王国の崩壊から貴族たちの圧力、さらにはイラーニア村での暗殺事件。すでに僕の手では有り余る問題がいくつもあった。

 だから。


 君を見つけた時にこれは神からの救いだと感じたんだ。


 ――――


『剣星』レナ編


 ハイルがいるハイルに会えるハイルと愛し合えるハイルのそばにいられるハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルハイルっ!!




 閑話終

この後すぐに第二章に入っていきます。次回の更新日はそちらに記載します。

この度題名の方をしっかりした形に変更をしようと思います。

楽しみにしていてください。

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