光竜王ファルヴァード
暇つぶしに書きました。
物語書くの初めてなのでアドバイスくれると嬉しいです。
第1話
「それ」は如何にもな禍々しいオーラを発していた。
まるで紫色の煙のような、致死性の毒ガスのような、そんなオーラ。
ファンタジーの世界ならば確実に魔王が放ってるような圧倒的なパワーが肌をビリビリと刺激していた。
しかし目の前の少年はそんなオーラには全く怯んでいなかった。
「所詮はまがい物だな。」
余裕たっぷりの表情で高宮旭は呟いた。
それは勝ちを確信している表情で、目の前の化け物も自分にとっては恐るるに足らない存在だということを示しているようだった。
高宮は見たところ平凡な高校生だ。
グレーのオーバーサイズのパーカーに黒いスキニーパンツ、
黒いVANSのスニーカーというとてもシンプルなファッションだ。
少し癖のある黒い髪は目の辺りくらいまで伸びていて、気だるげな様子の目元の半分辺りまでに被さっていた。
そんななんてことない見た目だから、周りの目はまるで、自殺志願者をみるような目になっていた。
自分たちの街を壊して回った強大な敵、
「それ」の目の前に突如姿を現した少年。
例え何かしらの能力者であっても大抵の能力者は手も足もでなかった相手だ、
丸腰の平凡な高校生を、
遅れて登場したヒーローのようには扱えないだろう。
「なんだテメーはァ??」
街を次々破壊して行った黒いオーラのドラゴンが長い沈黙を破り口を開いた。
黒い鱗に黒い翼、皆が想像するドラゴンをそのまま形にしたような風貌で、
見ただけで、その圧倒的な力を予想し、恐怖を抱かせるのは容易だった。
モンスターの警戒レベルはSランクにまで引き上げられていた。
防衛省はこのドラゴンを天災とまで比喩したほどだった。
「なんか、よく分かんないんだけど、お前を討伐しに来た。まあ、すぐ終わらせるからそんなに詳しい情報もいらないんだけど。」
高宮は頭をポリポリとかきながら、面倒くさそうに発言した。
「アア?寝言は寝て言えよ。お前みたいなガキに何が出来んだよ。
ヒーロー気取りの防衛省の能力者を、俺は何人も葬ったぜ。」
下卑た笑いを零しながらドラゴンは叫んだ。
笑い声だけで地面が揺れた。
「あっそ。まあ。じゃあ、冥土の土産に少し本気出すわ。よいしょ。」
高宮がパーカーの袖を捲ったと同時に、眩い光が辺りを照らした。
コンマ数秒の間、目が開けれなくなるほどの光が高宮を包んだ。
その光量は流石のドラゴンも目がくらむほどだった。
スタングレネードのような光が止み、現れた高宮の姿に皆が驚いた。
高宮の背中からは翼が生えて、腰からは電柱ほどの尾が生えていた。
それは白く光り、玉虫のような綺麗な虹色を光の中に隠していた。
その姿はまるで月から来た使者のようだった。
動揺しながらドラゴンは高宮に向けて声を上げた。
「その翼、その尾、まさか、、、、竜王のコア保持者か??」
「そうだ。僕は光竜王ファルヴァードのコアを保持している。しかも僕とファルヴァードの適合率は100%だ。お前は、せいぜい60%ってところか??」
相手にならないなと呟き、翼を上下に動かし、高宮は宙に移動した。
狼狽えながらドラゴンは叫んだ。
「だったらナンだってんだ?!!?俺はもう無能力者じゃねえんだ!!見下してんじゃねェぞゴラァ!!!!!!」
言葉を言い切るのと同時に、ドラゴンは高宮目掛けて赤黒い炎弾を数個口から発射した。
二人の距離はメートルにして約100程。
あっという間に炎弾は高宮の体を直撃した。
メラメラと燃える高宮の身体を見ながら、ドラゴンはニヤリと声を出した。
ざまあみろ。
そんな言葉もつかの間、
赤黒い炎がみるみる白い炎に侵食されていく。
まるでそれは悪しき力をを聖なる力が浄化していくようだった。
炎がはじけて、高宮が姿を現した。
ふーっと息を吐き、
右手を横に差し出した。
掌には空間から青白い光が集まり、それがひとつの球体になった。
「光属性の特徴は再生と浄化だ。お前じゃ俺とは分が悪すぎるな。じゃあな。」
刹那、高宮の右手から発せられた青白い光線がドラゴンの胴体を貫いた。
ドラゴンの断末魔が東京の街に響き渡った。
終幕。
呆気なく勝負は着いた。




