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花食症  作者: 柏井彫刻
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 学校にいるときは誰も何も言わなかったし、自分も特に気になることはなかった。ということはつまり、学校からの帰り道に何かがあったというわけだが、はたして全く身に覚えがない。

 いったい何が――私の身に、いったい何が起こっているのだ

 不安、恐怖、焦り

 いくつもの感情が私の体を侵食する。

 「なにかあったの?」

 と、そこへ母親がやってくる。私の顔から不安を察知したのか、その声は少し震えていた。

 私は母親に助けを求めるべく口を開けた。

 だが

 「あ、赤い……の……」

 意志とは裏腹に、それ以上を発言することは叶わなかった。


 「ちょっと、どこ行くの?」

 何かを言いかけた娘は、口を噤んだと思えば次の瞬間にはどこかへ歩きだしていた。呼びかけても反応する様子はない。向かっている先はどうやら自室らしい。

 「ねぇ、何があったの?」

 どう考えても異常だ。

 ダメ、それ以上は

 直観的にそう思った。これ以上進んではいけない。取り返しがつかなくなる。ダメ。ダメよ。

 「お願い止まって……」

 娘を制止させるためにその肩を掴もうとすれば、己の手には電流が流れたかのような衝撃が走る。

 「何が……何が起きてるっていうのよ!!」

 私が声が荒げた時にはもう既に娘は目の前から姿を消していた。

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